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俺女子高生に興味ないから、君達とは結婚できません!!  作者: 心乃助(Initium・Godpiece)
第二部『愛』
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第106話『美娃の限界』

「さーやってまいりました! 二週間前に中断された争奪戦を再開しようと思います! 司会は引き続き『田中 ルーガ』がお送りします! なお、解説のゴッドマン氏は現在行方不明なので、今回は特別に解説は美娃お嬢様の執事である『時真』さんにお願いします!」


「どーもどーも、僕なんかが解説していいのか分かりませんが、誠心誠意解説をさせていただきます」


 場所は小院瀬見財団が保有する屋敷の敷地内に作られた仮設の会場。


 なお、今回は観客は少数のみである。


 観客だった学校の生徒や教師は、まだマカヤの刀から立ち直れていないし、前回は学校の関係者全員の注目を集める為の作戦であった為、今回はその必要性がなくなったので、観客は護世衆次期当主の六波と秋歌、そして車椅子に乗せられて意識不明のままの月名子と真奈だけであった。


「……」


 会場で対峙する美娃とアヤナ。


 しかし、アヤナはずっと難しい顔をしていた。


「どうしましたのアヤナさん?」


「確認なのデースが、美娃は健也さんを助けたいのですよね?」


「当たり前じゃないですか、そのためにこうして争奪戦を再開して……」


「これが仕組まれた事だったとしても?」


「どう言う意味ですの?」


 アヤナの言葉に表情が変わる美娃であったが、アヤナは続けた。


「これはあくまでマカヤを救う者を決める儀式であって、健也さんを助かるものじゃない。そこんところ理解……できてないデースね。今の美娃は危険です、もう覆らない未来に対して必死に抗おうとしてる。それは素晴らしい事ですが、こっちから見たら見苦しいデース」


「……アヤナさんが何を言いたいのか知りませんが、これ以上ワタクシを苛立たせないでほしいですわ」


 とうとう怒りを露わにした美娃であったが、アヤナは理解していた。


 六波によるマカヤの話、マカヤの子孫である健也から発せられていたフェロモンによって健也に好意を抱いていたと勘違いしていたと言う現実。


 正直、美娃だけでなく真奈も秋歌も受け入れ難い真実なのだ。


 彼女達は10年間も健也を思い続けていたのだ。


 その愛を全否定されたのだ。彼女達にとって10年は重すぎる。


 だから否定されたくないし、勘違いだったなんて思いたくないのだ。


 アヤナは健也に好意を抱いてないが、友人である美娃を止めたいと思ってる。


 アヤナの推理では、美娃の運命はデッドエンドへと直行している。


 恐らく、これが美娃の限界なのだ。これ以上彼女を苦しませない為に、ここで美娃を倒す。


 イニティウムが作った運命のボードゲームから美娃を退場させる。


 ロクでなしのエセ探偵で散々やらかしたアヤナでも、美娃を少しでも楽にさせたいと願っているのだ。


「さーてでは、準決勝の競技を抽選で決めようと思います! 時真さん! お願いします!」


「わかりました。この抽選箱から選べば良いのですね……はい、選びました」


「それでは、競技名をお願いします!」


◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯


「負け……た……?」


 そう負けたのだ。美娃はアヤナに完封負けしたのだ。


 競技は『早押しクイズ』全部で5問出題されたのだが、問題文の頭文字だけ出た瞬間にアヤナがボタンを押して答えを言ったのだ。


 一回も間違えることもなく正解し、アヤナは決勝戦へと進出した。


「あ……あ……ありえませんわ! こんなのイカサマです! アヤナさんの本業が探偵だからと言って、『た』とか『い』だけで問題文を理解して答えを言えるなんておかしいですわ!!」


「別におかしくないデース。ワタシこう見えても毎日50問近くの問題を解くのを日課にしてるので、相手が次に何を言うのか予想できまーす」


「だからって、一回も間違えないのは変ですわ!!」


「変なのは美娃の方ですよ?」


「え?」


 負けた事で取り乱していた美娃であったが、アヤナの一言でキョトンとした表情を浮かべる。


「小院瀬見財団って、確か10年前に美娃のお父さんがやってた株をこっそり美娃が操作したら偶然多額のお金をゲットしたのがキッカケでしたよね?」


「そ、それの何が変なのですの?」


「その後も株で勝ち続けたのですか? もしかして10年間無敗だったとか?」


「そんなの当たり前……!?」


 アヤナが何を言いたいのか理解してしまった美娃の表情が見る見る内に青ざめていく。


「まさか……」


「そのまさかです。そんな都合の良い現実は有り得ません。この世界は漫画でも映画でも何でもないのですよ? 疑問に思わなかったですか? プロの投資家やトレーダーですら株で勝てる時と勝てない時があるのに、全くの素人である美娃が10年間も勝ち続けるなんて異常デス」


「やめて、やめて、聞きたくない!」


 美娃はその場でうずくまって両耳を塞いでしまったが、それでもお構いなしにアヤナは続けた。


「美娃も小院瀬見財団も、何もかも最初っから運命を操作できるイニティウムによって作られた虚構の財団でしかなかったのデス。イニティウムの加護が無くなれば、一瞬で小院瀬見財団は消滅します」


 耳を塞いではいたが、アヤナの言葉は美娃の耳に届いてしまった。


「あ、あぁぁぁ!! そんなわけないですわ! そもそもアヤナさんはイニティウムが運命を操作できると本気で信じてますの!? そんな非現実的な事があるわけないですわ!!」


「そうでーすね。多分ワタシなんかより美娃のお父さんの方が詳しいじゃないでしょうか? ほら、イニティウムと手を組んでましたし」


「そんなわけないですわぁぁ!!」


 パンッ! と乾いた音が響き渡った。


「真奈?」


 真奈がいつの間にか会場に上がってアヤナの頬を平手打ちしていた。


「アヤナさん、それ以上美娃を追い詰めるようでしたら、私が貴女を許しません」


「……事実を言っただけなのですが、たしかにやり過ぎた感はありますね。ごめんなさい美娃、後はお父さんと話し合ってくださいデース」


◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯


 放心状態となった美娃は、そのまま時真によって屋敷の中へと運ばれていった。


「さっきはありがとうございましたです真奈。あのままだと美娃をもっと追い詰めていたと思いまーす」


「い、いえ、こちらこそ叩いてしまって、ごめんなさい!」


 真奈はアヤナに頭を下げ、アヤナは真剣な顔となった。


「残念ながら美娃は既に六波の話で心が折れかかっていたのデース。ここから先は美娃や小院瀬見財団を頼るのは無理かもしれないデースね。ある意味、美娃はここで退場して良かったのかもでーす。これ以上イニティウムに運命を弄ばれるのは友人として心苦しいデースし」


「それじゃ、私達でどうにかするの? イニティウムの力が強大なのに」


「たしかにイニティウムは脅威デースが、イニティウムの未来確約とか運命操作には何かしらのトリックがあるはずデース。ワタシはそれを必ず解明します」


 アヤナが真剣に語っていると、六波が間に入ってきた。


「できるのですか? イニティウムの能力は全然分からないのに、例え分かったとしても対抗手段はあるのですか?」


「それは分かってから考えまーす。それよりワタシが一番許せないのは運命を操作できるからと言って個人の人生をいじくり回す行為が許せないデース。これでハッキリしました。イニティウムが何の悪なのかが」


 少し間を置いてから、アヤナはイニティウムの悪性を指摘した。


「『天命悪』自らが神になったつもりで人間の未来の可能性を潰して、自分のシナリオ通りの人生を歩ませる。これは人間の可能性を全否定した許し難い所業デース。必ずイニティウムをワタシ達で倒してみせます」


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