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俺女子高生に興味ないから、君達とは結婚できません!!  作者: 心乃助(Initium・Godpiece)
第二部『愛』
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第101話『嵐の後』

 健也が居なくなってから一週間後。


 健也がマカヤ・ハームレスと言う存在になった後、その行方は不明のままとなっていた。


 マカヤが居なくなった後、健也争奪戦を開催していた会場は大変な事になっていた。


 当日集まった全校生徒、教職員はマカヤが放った『刀』と言う謎の力で心に深い傷を負わされてしまった。


 中には心が壊れて未だに動けなくなった者や発狂した者までいた。運良くその両方を免れたとしても、あの場に居た全ての人間の心の奥底に圧倒的な恐怖を植え付けられてしまった。


 最早誰もマカヤに逆らえない、いや逆らってはいけない、あれなるは人の形をした災厄そのものであった。


「はぁ、この一週間大変でしたわ」


 病室の一室で溜息を吐く美娃。


 美娃だけでなく、秋歌とアヤナと月名子も同じ病室に居た。


「無理しないでね美娃」


 唯一マカヤの刀から逃れられた真奈は一人で四人の容体を見続けていたのだ。


「なん、とか、気持ちは、落ち着いた、が、まだ震えが、止まらん、な」


「まったくデース、まさか健也さんが悪堕ちしちゃうとは思わなかったデース」


 秋歌とアヤナは普通に話しているが、この一週間は大変であった。


 四人は錯乱状態となって病院に運ばれ、そのままベッドに拘束される程にまで尋常ではない精神状態であったのだ。


 四人だけではない、当時あの場に居た全ての者は全員病院送りとなったのだ。


 あまりにも人数が多すぎたので、美娃の父親の采配で、小院瀬見財団が保有する巨大病院に運ばれたのだ。


「三人は落ち着いたけど……月名子ちゃんは全然起きないね」


 真奈が心配そうにベッドで寝ている月名子に目線を送った。


 そこには、目は開いているが、完全に心を失った人形みたいな状態の月名子の姿がそこにあった。


「月名子さんなら大丈夫ですわ。うちの医療は最先端なものですので、そのうち意識を取り戻しますわ」


 と、美娃は真奈を気遣うように言った後、美娃は真剣な顔で続けた。


「それより問題はマカヤとイニティウムですわ。現在両名の行方は分かっていませんが、この二人はヤソカなんかよりも危険な存在であることは確かです。それに健也がマカヤになった原因が全然わかりませんもの」


「はいはーい、そこでワタシから一つ疑問がありまーす」


 アヤナが挙手をしたかと思うと、一つの疑問をこの場に居る全員に伝えた。


「結局『偽善悪(イビルスター)』ってなんですか? たしか謎の占い師、仮にその占い師がイニティウムだとして、そのイニティウムが全人類共通の悪になる為に作った集団ですよね? それだとおかしくないデースか?」


「おかしいって、何がですの?」


「偽善悪なんて名前、歴史で見たことないデース。もちろん、ヤソカもマカヤもイニティウムの名前も、どの文献にも記されていないデース。イニティウムが本当に運命を操れる超越者で、マカヤは一度に複数の人間を殺害できる程の力があるなら、何かしら大規模なテロとか事件を起こしててもおかしくないはずデース」


「たしかに、ワタクシは当初ただの宗教集団だと思ってましたが、今回でハッキリしましたわ。アイツらは人類の敵だと、なのになんで歴史にすら残ってないのでしょう?」


 美娃とアヤナが頭を悩ませていると、真奈が間に入った。


「もしかして、歴史的事件の裏で暗躍してた、とかは?」


「それはないですね」


 真奈の意見を否定しながら病室に入ってきたのは、『時骸(ときから) 六波』であった。


「あーら、負け犬が何の用ですのー?」


「ちょっと美娃、煽らないの」


 六波は美娃の挑発に乗ることなく、病室の椅子に腰を下ろした。


「偽善悪は我々が代々隠蔽してきたのです。何故ならアレは本当に全人類共通の悪になれるだけの力を秘めています。特にイニティウム、アイツはヤソカを偽善悪のトップにした後の数百年の間に絶大な力を手に入れてしまった。イニティウムが姿を見せた時点で我々は偽善悪を最優先で処理しなくてはならなくなりました。何故なら、このままでは人類に悪影響を及ぼしますので」


「我々?」


 真奈が首を傾げていると、六波は自身の正体を明かした。


「私の名は時骸 六波、古来よりこの世界を守護してきた組織『護世衆(ごせいしゅう)』次期当主です」


「護世衆?」


 真奈、美娃、秋歌、アヤナは聞き慣れない名前に理解できていなかった。


「主に完全なる世界平和を目指した組織です。とは言え、未だに世界から戦火は消えないのは現状ですけどね。美娃さんの読み通り、私はある意味お嬢様です。正義の味方集団のですけど」


「……と言う設定ですの?」


「設定じゃないですー! 本当に護世衆はあります! おほん、話しが逸れました。イニティウムはどうするかは考えるとして、目下の標的はマカヤです。皆さんも、健也さんがあのままなんて嫌ですよね?」


 それを聞いて全員が頷いたのを見て六波は続けた。


「現在我々はマカヤの所在を追っています。もし発見次第、入念な作戦を立てた後に接触し、マカヤを拘束して健也さんに戻す方法を探ります。もし健也さんが戻らない場合は……残念ながら健也さんをマカヤのまま処刑します」


「はぁ!? なに言ってますのこのオカッパ頭! 健也は何としても救うに決まってるでしょ! 大体、貴女も健也に惚れた口じゃないですの! そんなあっさり世界平和の為に健也を殺せますの!」


「あー、あれは嘘です。私健也さんに興味ないです」


 衝撃の事実、確か六波は健也の為に結婚式の準備をしてると聞いていたのだが。


「アレは確認しただけです。実は私10年前に健也さんに会ってません。なのに健也さんは10年前に私と結婚の約束してたことを忘れてたと本気で思い込んでいた。これで確信しました。10年前の健也さんの意識はマカヤの人格の影響を受けていて、半分健也さん、半分マカヤの状態だったのでしょう。それで記憶があやふやになっていたのです。これはマカヤの血筋を受け継いでかつ、マカヤの人格を宿してるマカヤの子孫に現れる症状です。もう何年も前から確認されてます」


 それから付け加えるように六波は続けた。


「そしてこの場に居る皆さん、アヤナさん以外だと思いますけど、実は誰も健也さんに一目惚れしてません、全てただの勘違いです」


「は?」


 これには美娃だけでなく秋歌もベッドから立ち上がった。


「さっきから黙って聞いてれば偉そうに、ワタクシ達は健也を愛してます! そこに嘘偽りはありませんわ!」


「ワタシ、だって、そうだ、おまえ、ふざける、な」


「二人とも落ち着いてください!」


 真奈が二人を制止する様を見て、六波はやれやれと思った。


「うわ、本当にお爺さまの仰った通りだ。マカヤの血筋に魅入られた者は、それを恋だの愛だのと勘違いしてしまうんだ。下手したら私までそうなっていたんだなぁ、本当に怖いなぁ〜」


 他人事のように話す六波に怒りを感じる美娃と秋歌であったが、真奈だけは冷静に対処した。


「では六波さん、私達の愛が嘘だと言う意味、そしてマカヤとは何者なのか話してくれませんか?」


「真奈さんは、この中で一番利口ですね。わかりました、今から私が知る限りのマカヤ・ハームレスと、彼が残した子孫達の話をします」

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