第1話「君達に結婚はまだ早い!」
はい、連載してしまいました。正直連載させる気は当初なかったし、ラブコメも自信なかったので以前上げた短編だけにしようと思ったら、その短編の反響が良かったので試しに連載してみました。
時系列的には短編の方の『俺ロリコンじゃないから、君達とはお付き合いできません!』の次の日です。
少しでも読んでて楽しんで頂ければ幸いです。
17歳の頃の俺、なんであんな約束をしたんだよ。
あんな、守る気もない嘘の約束を。
それで『あの子達』に変な期待と希望を与えてしまった事を、俺は深く後悔している。
あの頃に戻れるなら、もう一度あの子達と……。
ピピピピピピ。
「う、う~ん」
目覚ましの音で目が覚め、俺は寝起きで重たい体を起こす。
俺は『荒蒔 健也』。今年で27歳になる。
何処にでも居る普通のサラリーマンにして、恋愛経験ゼロの童貞。
別に今すぐ誰かと結婚したいとは思ってはいないが、心のどこかで焦りを抱いているのは事実だ。
なんせもうすぐ三十路だからな。
でも特別好きな人なんて居ない。
だが例えば、俺が誰かを愛する事ができれば、俺の人生も少しぐらいは変わるのだろうか。
そんな事を思いながら、俺は朝食を食べ、歯を磨いて、髭剃って、スーツに着替える。
毎日やっているルーティーンをこなし、俺は玄関の前に立つ。
今日も何一つ変わらない社会人としての日常が待っているのだろうな。
そう思いながら俺は玄関の扉を開けると。
「おはようございます健也さん」
「あーうん、おはよう」
そこには茶髪でロングなストレートヘアーの女子高生が立っていた。
彼女の名は『真路 真奈』ちゃん。
現在17歳の高校二年生。
俺は彼女の顔を見て、昨日の事を思い出す。
ゆ、夢じゃなかったのかぁぁぁぁ……。
昨日の会社の帰りの出来事だ。
俺が17歳の頃に当時まだ7歳だった真奈ちゃんに告白された。しかし俺はロリに興味がなかったので、彼女を傷付けないようにと思い嘘の約束をしてしまった。
『十年後、俺の事覚えていたら、その時結婚してあげるよ』
どうせ7歳の子が十年後の約束なんて覚えている訳がないと思ってこんな約束をしてしまったが、彼女は十年経った今でも俺の事を覚え続け、昨日再会をして改めて結婚してほしいと言われた。
女子高生が好きな皆さんなら嬉しい限りだろうが、敢えて言おう。
俺は十歳年下の女の子には興味がねぇ!!
なので昨日逃げてしまったのだが、まさか俺の自宅の前で待ち伏せされてるとは思いもしなかった。
「き、昨日はすみません。急に現れてしまって、さぞや驚かせてしまったでしょうね」
「うん、今もびっくりしてるところだよ」
あの後、自宅を特定されないように撒いた筈だったが、意味がなかったようだ。
「そ、それでその、昨日のお詫びとして、受け取ってほしいものがあります」
「そ、そう? 俺早く会社に行きたいから手短にお願い」
「はい! では、その…………う、受け取って下さい!!」
と、彼女が顔を赤くしながら渡した物は。
婚姻届。
…………………。
手短では済まない物を渡された。
「あ、えーと、真奈ちゃん。ごめん、君に謝らないといけないこと、がはぁ!?」
突然横から何かに突き飛ばされ、俺は背中から地面に倒れてしまった。
「い、てて、げふっ!?」
お腹に重たい衝撃を感じて顔を上げると、そこには金髪の女子高生が俺に馬乗りになって高笑いしていた。
「おーほほほほほ! ごきげんよう荒蒔 健也。昨日の続きをしに参上してあげたわよ!」
そのお嬢様風の女子高生は俺の目の前に婚姻届を突き出してきた。
「さぁ健也、ここに判を押しなさい。そうすればワタクシ達は晴れて夫婦となるのですから、おーほほほほほ!」
「あー! アナタは昨日ヘリに乗ってた人! 早く健也さんから降りてください!」
「なんですのこのモブ庶民! ワタクシの邪魔をしないでくださいます!」
お、俺の上で争わないで、さっきの朝食が出てきそう。
俺が苦しみながら別の方向に目線を向けると、何やら白い物体が目に入った。
「……パ、パンツ?」
「おはよう、健也」
俺の頭のすぐ隣に座り込んでいる別の女の子が居た。
その子は黒髪で眼鏡をかけた物静かな印象のある女の子であった。
「あ、君は……」
「ん」
すると、この黒髪少女も俺に婚姻届を見せ付けてきた。
「は、ははは……」
もう何もかもが滅茶苦茶だ。
実は俺が結婚の約束をしたのは真奈ちゃんだけではない。
今俺の上で真奈ちゃんと争っている金髪の子も、黒髪の子も、十年前に俺に告白をしてきて、俺は真奈ちゃんと同じような約束をしてしまい、この子達は十年間も俺の事を想い続けて昨日再会したのだ。
だから逃げた。
この三人から逃げた。
だって俺、年下の子と結婚する気ないんだもん。
当時あんな約束をしてしまったのは、その場逃れをするためについた嘘なんだから。
まさか三人共本気にするとは思いもしなかった。
十年前の俺、何やってんだよーーーー!!
「気になっていたのですが健也さん! この人達は何なのですか!」
「それはこちらの台詞ですわ! 何なのですアナタ達! 健也とどういう関係ですの!」
「こっちも聞きたい、この女達は健也のなんなの?」
三人の女の子に問い詰められる俺。
どうしよう。あれは嘘だったと謝るべきか?
それでこの三人が納得するだろうか?
いやしない、絶対しない。
「……き」
「「「き?」」」
「君達に結婚はまだ早い!! だから俺の事は諦めてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
俺は無理矢理立ち上がってまた逃げてしまった。
昨日と同じ事を繰り返してしまった。ちゃんとあの三人に事情を話せば良かったのに。
だが、あの子達を傷付けてしまうかもしれない。そう思うと口には出せなかった。
俺はなんて情けない大人なんだろうと自虐しながら、俺は一直線に会社まで逃げたのであった。
「あ、健也さんまた逃げるのですか!? ちゃんと事情を説明してください!」
「健也ぁぁぁぁ!! ワタクシから逃げられると思わないことですわぁぁぁぁぁぁ!!」
「健也と追い掛けっこ、まるで恋人みたいで、楽しい」
「だから付いてくるなぁぁぁぁぁぁ!!」
こうして俺は、十歳年下の女の子達に追い掛け回される日々を送るのであった。
さーて、私なんかがラブコメ書けるか分かりませんが、最善を尽くします。
それと私は二次元のJKは好きですが、リアルでは興味ありません。
……本当ですよ?