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かつ丼が食べたい。

作者: 牛蒡野時雨煮、

かつ丼がどうしても食べたかった。



 『かつ丼が食べたい』。

 昨晩からどうにも無性にかつ丼が食べたくて仕方がない。

 しかしながら不景気の影響か、或いはコンビニ食の充実の弊害か僕の活動圏内には気の利いた食事処が一つもない。外出ついでに愛車を走らせ、直線コースを寄り道すれど一向に見つからない。ここまでかつ丼を求めた事もない。

 勿論コンビニ食にもかつ丼は存在する、それは確認している。

 しているのであるがそのかつ丼にはグリーンピースがこっそりと顔を覗かせ、卵の美しい橙よりの黄色からそのくすんだ緑の存在を主張するのだ。

 僕はグリーンピースが大嫌いだ。

 そうこうしている内に走行していた内に気が付けば30分の経過。こうして時間を見て思った事は『あれ? 意外とそんな走ってなくね? 』と『もう昼飯なくても良くね? 』と言う諦め、『チーズバーガーでもう良くね? 』と言う妥協点。自分の意志のはどうも欠陥工事らしく、しっかりと立つ事が出来ないようで。

 それはそれとして、どこを走ろうと絶え間無く感じる金木犀。香りが強まり過ぎ去ると同時に霞んで行くかと思いきや、また別箇所の金木犀が香りを風に乗せ季節を感じさせる。

こうもしっかりと季節に浸るのはいつぶりだろう、まあそれでも腹の足しにはならないので今は別に求めてないが。

 徐々に耳元でがなりたてるロックなテイストの音楽より、腹部から嘶く空腹音の方が大きくなるのではないか。いや、そんなことはない。ないのだが信号が赤から青へと変わる待ち時間中に空腹であると、それも変な意地を拗らせてかつ丼を求めた空腹であると主張しださないかが気がかりになってきたところだ。

 先程愛車などとまるで運転席に座りシートベルト着用、安全運転マンデーアフタヌーンを自動車で過ごしているような言い方をしたが実際は自転車。それでもしっかり清掃整備しているから愛車なんだよ、いいだろう別にそれよりもかつ丼だ。

 もうすぐうろつく余裕もなく家についてしまう、それまでにどこかでかつ丼を調達或は食事処で完食できたらいいな。

 そこまで長くは生きてはいないがこれ程までにかつ丼を求めた事は、今までの人生で初めてだ。

 かつ丼が食べたい。

この日の昼食はざるそば。

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[一言] そば屋にカツ丼なかったですか?
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