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中学時代 〜 技術科の先生 〜

これも当時はおっかなくって仕方なかったネタ。

前半は、ね。


 今だからこそおもしろく語れるお話。

 当時は怖くて怖くて仕方なかった。




***


 私の中学の技術科の先生は見るからに強面こわもてで、本当か嘘か知らないけれど、暴力沙汰で懲戒を受けたこともあるというシャレにならない噂もありました。


 そんなこともあって、小心者の私は初めからビクビクしていたんだけど、それが裏目に出るわけですね。



「あ、あの……」


 なんて小声で話しかけるもんだから、先生は私の言葉が聞き取りづらくて、当然、


「あぁ?」


 と返してくることになるわけですよ。

 でもって、


「なにぃ、やりたくないだとぉ」

「ひいっ……、いいい、言ってません、そんなこと。私はただ、『やり方を、教えていただけませんでしょうか、とだけ……』」




 もう、やれやれです。


 あ、こんなこともありました。


「野郎、俺が手ぇ出してるのに、なんで机の上に置くんだ、あ?」


 先生にお借りした道具を返すときですね。

 これもたぶん、私がおどおどしてたもんで、先生が手を出すタイミングが遅れたんでしょう。


「い、いや、だって……、私、鈍いの。だからそんな、私が道具を机に返す直前に手ぇ出されたって、シナプスがビビビってなる前にもう、私の手は机に向かっちゃってるんだから……」



 なんて言えるはずもなく。

 もう、やれやれです。




***


 しばらくして、技術科の先生が変わりました。

 今度の先生はうってかわって、明るく楽しいおじいちゃんでした。


 当時の私にとってはこのうえない喜びでしたが、でもあるクラスメイトにとっては、この先生の性質が裏目に出たのでした。



 たしか、先生が雄ネジと雌ネジの説明をしていたとき。

 説明していた先生が混乱してしまって、


「ん、どっちがどっちだ? あ、こっちが雄ネジか。うん、そうだな」


 みたいなことがあって……。




 当然、普通に間違えて言い直しただけだったのですが、この白ひげの愛らしいおじいちゃん先生、何を言ってもジョークに聴こえてしまうような不思議な魅力を持っておられたので、あるクラスメイトがこれも先生なりのジョークだと勘違いして、場違いなツッコミを入れてしまったのです。


「どっちでもええがな、先生」



 はい、当然こうなりますよね。


「あぁ? なに言っとんじゃてめえっ」

「ひぃえぇっ……」



 ついでに、それを見て、「バカなやつめ、いい気味だ」と笑っていた意地悪くんたちもとばっちり。


「テメェら、授業なめとんのかコラ。どっちでもええだと? ざけんなコラァ」



 もう本当、やれやれです。









 ね、技術科の先生、おもしろいでしょ。





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