もさ子その6
ふぉぉぉおー!!
超美味しい!
お小遣いは雀の涙になったけど、来て良かった!
「あ、もさ子ちゃんそんなに美味しいの?」
「由美ちゃんのも美味しそうだね」
「食べていいよ」
「え、残り全部いいの?!ありがとう!」
「俺のも食べる?」
「ケッコウデス」
いい気分だったのに…
今日の予定とかどこから情報を仕入れてくるの?
自然に相席してるけど、何で?!
この前、校門の所で会った男の子。
軽い感じで程々にイケメン?
名前は田崎雅彦というらしい。
私の好みではないけど。
私達は予定通り新しいアイスクリームショップに来ています。
目の前の人が来るまでは楽しかったのに…。
「あ、ちゃんと笹井さんに言ってあるからね。ストーカー呼ばわりしないでね」
由美ちゃんがだと!!
「だいたいさぁ、俺も頑張ったわけ。誰かもわかない写真一枚で女の子に話しかけてさぁ」
語り始めたぞ。
「写真撮るなら、その時に声掛ければ良かったのに」
ん?
「奥手で困るよねー」
「えーっ…と」
「あ、俺はもさ子ちゃん狙ってないんで」
笑顔でハッキリ言われた!
じゃあ誰の頼みで来てるの?
「一緒に行こうって言ったんだけど、今日はムリみたいでさ。どんな子か俺が判断するね」
と言って、スマホでパシャリされた。
「今日のもさ子ちゃん。あいつに送っておくよ」
「その、あいつって誰ですか?由美ちゃんは知ってるの?」
もっさり前髪からのぞき込むと、由美ちゃんはため息をついた。
そして田崎を睨み付ける。
いいぞ、もっとやれ!
「それは本人がいないとさ、俺が言っちゃ意味無いし」
ニヤニヤしながら言うな!
そういえば何の用があって探してたんだろ。
いつから?
「私の事、いつから探してたんです?」
「俺は高校入ってそいつと話してから。写真は中学の終わりに撮ったって言ってたけど、覚えてる?」
「中学?!」
由美ちゃんによると、数分間固まっていたらしい。
気づいたら大好きなアイスが溶けていてショックだった…。
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