もさ子その37
学校に行きたくないけど、行かなくちゃ。
髪の毛もちょっとボサボサだけどいいや。
昨日は家に帰ったら、家族の前では普通にできてたと思う。
部屋に戻ったら涙が滲んだけど。
買ったタオルは袋のままタンスと壁の隙間に入れておいた。埃被りそうだけどいいや。
また黒歴史が増えたってことで。
学校での私はいつも通りのつもりだった。
ちょっと機嫌悪いかもしれないけど、もっさり前髪でわからないでしょ。
「フラれた俺より元気ないってどういうこと?」
「さっきから何も話さないからわからないわよ」
「スマホ、呼んでるよ」
今日はっていうか当分スマホは見ない。
あの人からのメールだったら嫌な気持ちになるし。
一年前と似たような気分になって嫌だ。
『いつまでも引き延ばしてると呆れられるわよ』
――由美ちゃんが言った通りだった。
違う学校でどっち付かずな私より、同じ学校で可愛くて一緒にいてくれる子の方が好きになるよね。
彼女ができたなら私が身を引くしかないじゃない。
昨日は楽しかった帰り道も今日は最悪。
違う学校で部活があるから会わないのは安心だけど。
由美ちゃんに話した方がいいのかな。
色々手伝ってくれたし、話も聞いてくれたから。
そういえばどこ行ったんだろう。
ボーッとしてて一人で駅まで来ちゃった。
こんな私にかまうよりやることあるよね。
ふと見たガラスの向こう側は美容院だった。
前髪もっさりがいけないのかな。
一年前と今も同じ髪型だし、今切ってもらってる人みたいに眉上とか?
思いきってやった方がいいよね。
「あれー、もさ子ちゃん?」
私が美容院をじっと見ていたら、久しぶりに聞いた声がした。
「髪切るの?俺のおすすめはボブ、もさ子ちゃんに似合うと思うな」
相変わらずのテンションでよくしゃべるその声は田崎君。
一人で考えてたから話しかけられて気が緩んじゃった。
「似合うかな?」
「似合う似合う!でも本当に切っちゃっていいの?」
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