もさ子その36
決めたらすぐに言おうと放課後に藤牧君と教室に残った。
由美ちゃんもその方がいいって言ってくれたし。
藤牧君を振り回してごめんね、とありがとうの気持ちを伝えた。
「本当にごめんなさいっ」
「うん、わかってるよ」
「え、えっと」
「矢野の話だと楽しそうに話してるし、この前だって矢野を見る目は嫉妬するほどだった」
「今はもさ子ちゃんが決めたなら仕方ないよね」
「別れたらまたチャンスな訳だし、まだ付き合ってないでしょ?諦めないで待ってるよ」
一方的に話していっちゃった。
少し寂しいけど、明日から友達として話しかけても大丈夫だよね。
一人の教室はとても静かで、ふと谷野君に会いたいなと思った。
とりあえずメールして駅で待ってようかな。
たぶん6時くらいに部活が終わるから、その間はウィンドウショッピングしてよう。
やっぱり部活中みたいで返事は来なくて、私は駅ビルでブラブラしてた。
スマホチェックは欠かせなくて、何回も確認してる。
途中で見かけたタオルが谷野君に合いそうだから買っちゃった。部活でタオルはたくさん使うよね。
「もう5時半だ」
外は外灯の明かりが輝いて、小さいけど月も見える。
駅の出入口で待ってようと外に出たらすごく寒い!
でもそろそろ来るだろうから待ってなきゃ。
マフラーと手袋とカイロで少しはマシかな。
寒風が吹く中、スマホを片手に駅の端で待っている。
6時に近いから返事が来てもいいと思うんだけど…………何もない。
俯いてたら、谷野君の格好の制服を着た人達の足が見えた。
同じ部活の人かな。
キョロキョロと辺りを見回したら、改札の方に見たことのある体格と髪型の人がいる。
谷野君だ!
連絡気づかなかったのかな、と一歩踏み出したときに谷野君が誰かと話してるのに気づいた。
谷野君と同じ学校の女の子だ。ふわふわの髪に横顔はちょっとしか見えなかったけど、きっとかわいい子。
急に恥ずかしくなって、私は違う改札に走って逃げた。
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