もさ子その34
電車を乗り継いだ後バスに乗って約2時間……やっと会場に着きました。
もみくちゃにされてはぐれそうになったりしたけど……。
「地方大会なのね」
「言わなかったっけ?」
「結局、あの後聞いてないわ」
「えっと……型の方に出るって」
大きめの体育館からはたくさんの声が聞こえてくる。
この中で谷野君は頑張ってるんだ!
今日は谷野君に貰ったネックレスをしてきちゃった。
私はコートの上からその部分を握りこんだ。
「複雑な気持ちだ。あいつ負けないかな……」
小声でぶつぶつ言ってた藤牧君に由美ちゃんの手のひらが頭にヒットした。
会場に入るとざわめきや歓声が色々なところから上がっている。2階の観客席から覗くといくつかのブロックに別れて試合をしているみたい。
谷野君は型の試合だから手前の方かな。
型の試合の場所ではちょうど二人の男の子が演武しているところでとても静かだった。それを見ている学生の中に谷野君も見つけられた。
「いたよ」
「試合中だから声かけづらいわね」
「とりあえずメールしておくね」
メールを書いていたら突然拍手と歓声が上がってビックリした。さっきの人達が終わったらしい。
勝ち負けはどうやって決めるんだろう?と思ったら審判が旗をあげて決めるんだ。
次は誰かなと思ったら谷野君が中央に出てきて礼をしてる。
朝早かったけど、間に合って良かった!
集中して演武する谷野君はとても強くてかっこいいな。
彼の演武は数分で終わってしまった。
贔屓目だけど動きは良かった気がする!審判さん、谷野君に勝たせてあげて!
「谷野君っ」
大会の午前の部が終わって、お昼休憩の時に谷野君が少しだけ時間を取ってくれた。
由美ちゃんは藤牧君と近くのコンビニに行ってくるって引きずって行っちゃった。
「来てくれてありがとう、綾子」
「試合、残念だったね」
「相手が悪かったな、有名なやつなんだ」
「でも、谷野君の方がかっこよかったし、私は勝ったと思ったけどな」
言った瞬間に谷野君の目が開かれて、顔が赤くなった。
思ったこと言っただけなのに!
「……ありがとう。そう言われるだけで今日は十分嬉しいよ」
そう言って微笑む谷野君を見ると私も嬉しいな。
もうちょっと話したいけど、時間がないや。
「午後も会場にいるんだっけ?」
「俺の試合は無いが、他の部員で出るやつもいるからな」
「じゃあまた、今度ね」
いつ会えるかはわからないけど、メールはできるし。
寂しくないよ。
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