もさ子その33
谷野君とメールをして、今度の土曜日に大会に出る事を聞きました。見に来てほしいって言われたけど、私が行ってもいいのかな……。空手なんて初めて見るし、一人だと心細い。
「お願い!由美ちゃんっ」
「とことん巻き込むわね」
「ダメ?」
一番安心できる由美ちゃんとなら平気そう!電車の乗り換えとか、会場で迷子にならないですみそう。
「まあ、いいわ。協力してあげる」
「ありがとう!」
「それ、俺も行っていい?」
突然会話に入ってきた藤牧君、空手に興味あるのかな。それとも谷野君の応援に行きたいとか?
「谷野君の応援、多い方がいいよね」
「そういう訳じゃないけど、そういうことにしておくよ」
不思議な言い回しをするなぁ。
とりあえず応援に行くって事だもんね。
「空手って型と組手だっけ?」
「え、わかんない」
谷野君に大会があるしか聞いてない。
由美ちゃんに言われる前にスマホを取り出してメールをしておいた!
オリンピックの話で話題になったけどその時は家族みんなで「ふーん」で終わっちゃったし。
返事を待ってる間、話をしていたら藤牧君がじっと見てくる……何かあったっけ。
「プレゼントしたヘアピン取っちゃったんだ?」
「由美ちゃんが嫉妬するから」
「へぇ?」
「もさ子が誤解してるだけよ」
あれ、違ったの?
じゃあまた付けようかな。
「ていうかさ岡沢さん、初詣の時の覚えてなさそうだ」
「何かあったっけ?」
「意識されてないのか脱水症状で記憶にないのか……」
困り顔で苦笑した藤牧君に由美ちゃんが小声で話しかけてる。
二人だけで話すの?私の話だよね。
あ、由美ちゃんが驚いた顔してる。すぐに米神グリグリし始めた、痛そう!!
気がすんだのか、痛みで蹲る藤牧君を余所に由美ちゃんはにっこり笑顔になった。
「あんたは知らなくていいし、思い出そうとしなくてもいいわ」
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