もさ子その29
近くのちょっと有名な神社に来たけど、ここも人がいっぱいいる。
お参りまではみんなとできたけど、いつの間にかはぐれてた。由美ちゃんの後をついていったのにおかしいな。
流されて鳥居の方まで来ちゃった。
とりあえず鳥居にいれば間違いないよね!
あ、由美ちゃんに電話もしておこう。まだ気づいてないかもしれない。
えーっと、スマホどこだろ。いつもここに入れてるのになぁ。あれ?無いぞ?
朝どうしたっけ。起きて、充電確認して、ご飯食べて、支度して、カバン持って…………。
充電確認しての後は机の上に置いたような。
ヤバい!!
現代の重要連絡ツールをなくしてしまった!!
公衆電話なんて神社の近くにないし、由美ちゃんの番号いくつだっけ?
ここにいれば平気だよね?みんな忘れてないよね?
不安と焦りでパニクってる!!
視界が潤んできた……高校生になって泣くとかないない!!
見られるのは嫌だから後ろ向こう!
おさまれ~おさまれ~
「綾子っ」
肩を掴まれて後ろを振り向くと、藤牧君がいた。
「見つかって良かった」
そう言うと、ぎゅっと抱きしめてきた。
藤牧君は髪も服装もちょっと乱れてて、心臓の音も速くて大きい。
それが私を安心させてくれた。
「すごく心配した」
「ごめんね」
「迷子なのか誘拐なのかナンパされてるのか……」
「うん」
「いろいろ考えて、もう限界」
耳元で話すからくすぐったいし、藤牧君のドキドキが移ったのか私もドキドキしてきた。
その時、藤牧君の顔が動いて頬に何か当たった気がした。
すぐに離れて藤牧君はスマホを操作し始めたから確認できないけど、顔がちょっと赤い気がする。
「みんなに連絡しておいた。少し待ったら来るよ」
「うん」
心細かったから強く握ってきた手は心強くて私も少しだけ握り返した。
熱い。
藤牧君といるからかな。ドキドキして熱いんだよね。
マフラー外そう。手袋も外した方がいいかな。
もそもそと動いていたら谷野君が人込みの中から出てくるのが見えた。
「綾子、大丈夫か?」
「岡沢さん具合悪いの?」
「ちょっと熱いだけ」
ぼーっとしてきてくらくらしてるけど。
ちょっと気持ち悪いかも。
「コートも脱いだ方がいい。藤牧、飲み物持っているか?」
「買ってくるっ」
「スポーツドリンクがいい」
せっせと私のコートを脱がした谷野君は近くの花壇になっている石の上に私を座らせた。
藤牧君は走ってどこかにいっちゃった。
それよりも気持ち悪い……
隣に座った谷野君が肩を貸してくれるけど、ころがりたい。
「綾子、どうしたの?」
「脱水症状だと思うが」
「モコモコだったもんねぇ」
由美ちゃんたちの声もする。
もう眠い。
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