もさ子その23
運ばれてきた料理も食べ終わって、私はクリスマス限定のスイーツ、藤牧君は紅茶を飲んでいたら、藤牧君が話を振ってきた。
「岡沢さんさ、田崎ってやつ知ってる?」
「田崎君?たぶん、同じ人なら……」
「学園祭の後から現れてうさんくさいって言うか、飄々としてるって言うか、よく笑ってるやつ」
「うん、同じ人だ」
友達思いのいい人だと思ってたけど、私の回りには田崎君は一人しかいない。
藤牧君も知り合いだったんだ。
そういえば最近会ってないなぁ。
「この前会って君に関係する最近の事色々聞いたんだ。」
「私の事?」
「ほとんど矢野ってやつのことだけど」
最近で変わったことって言えば、確かに谷野君の事ばっかりだ。
田崎君、何話したんだろう?
藤牧君がちょっと面白くなさそうに眉根をひそめて言った。
まさか、私のドジしたところとか言ってないよね?
「その事も含めて岡沢さんのことを諦めるつもりはないよ」
「えーっと……どうしてそこまで……」
全然接点がないのに……ていうか、こんな事聞くのも恥ずかしい!
藤牧君もちょっと顔が赤い気がする。
「同じクラスになってちょっと毛色の違う子がいるなって最初はそれだけ。笹井さんと二人だけって雰囲気で話しかけづらかったしさ」
そんな風に回りから見えてたんだ!
同じ中学の人があまりいなかったから由美ちゃんと話してたんだけど……
「学園祭までは見てるだけだったんだけど、まあ、田崎ってやつが現れてからはちょっと焦り始めたかな。誰かにとられるのは嫌だって思った」
真剣な藤牧君に私は視線をそらすしかない。
私が聞いたんだけど、いつもと違うから顔が見れないよ!
「それから初めて話して、岡沢さんのことがちゃんと好きだって気付いたよ。だから今日はそうやって意識してもらおうと思って」
言い終えたのか、気張っていた空気を吐き出す様にひと息ついた藤牧君。
私は全然だけど!私はどう返事をすればいいわけ?!
「矢野の事もあるし返事は今じゃなくてもいいよ」
そう言われて少しホッとした。
谷野君も……明日も同じだったらどうしよう!
心臓がもつかな?
「クリスマスプレゼント、そういうの使ってるところ見てないからどうかなって思って」
藤牧君から渡されたかわいいラッピングの小袋の中には、ヘアピンのセットが入っていた。
大小の石が付いて、キラキラ光っててかわいい!
「ありがとうっ」
「普段は付けなくても、一緒にいる時は付けて欲しいな。岡沢さんの顔が見たいからね」
何てこと言うの?!
落ち着いたと思ったのにまたドキドキしてきちゃったじゃん!!
一緒にいる時って?!どういう時?!
もう、普段から使おうかな!そうしよう!
前髪留めるだけだし。
あ、私も渡さなきゃ。クッキーで申し訳ないけど。
「私も。ジンジャークッキーだけど、食べれる?」
「平気だよ。飲食店だから家に帰ってから食べるよ」
嬉しそうだからひと安心。
そういえば、お昼に入ってから長居してる気がする。
迷惑じゃないかな?
私がキョロキョロしていたら、藤牧君が外に出ようといってくれた。
「さっきの駅前にクリスマスツリーがあるんだけど、帰る前に見に行かない?」
自然に手を繋いでるんだけど!
外に出ればもう日が暮れ始めていて、カップルがいっぱい。
手を繋いでる私たちもカップル?
違うんだけど、まわりから見たらそうだよね。
知り合いに会ったらどうしよう。
「あ、きれい」
連れて行かれて見上げた先には、夕日の光を受けて光るクリスマスツリーの飾り。
去年は由美ちゃんと家にいたからクリスマスツリーは家で飾ったものだけだった。
ふと、藤牧君が何かに気付いて「ヘアピンは?」と聞いてきた。
鞄にしまった袋を出したら、ヘアピンを出して私の前髪を留めてくれた。
顔が近いです!!
「一緒にいるから、ね」
そのまま頭の沸騰した私を家まで藤牧君は送ってくれた。
やたらと嬉しそうだったと思う。
手もずっと繋いでたと思う。
沸騰が終わった頃には自分の部屋で完全装備で板にサンダーをかけてました。
ご覧いただきありがとうございます。




