もさ子その21
いくつか洋服を持たされてやっと由美ちゃんのお姉さんから解放されました。
気がつけばもう夕飯の時間だったから由美ちゃんちでごちそうになっちゃった。
冬だから暗くなるのも早いし、すごく寒い!
なんだか今日は人があまり歩いてなくて静かで怖い……。
家は近くなのに変な人が出てきたらどうしよう!
家まで走って逃げれるかな。
あそこの角を曲がれば家は見えるから大丈夫、大丈夫。
街灯もあるからそこは明るいし――
「ひぃっ」
しまった、変な声出た?!
でも何か影か見えた気が………………。
護身用に何か持ってれば良かった!丸のことか!!
固まっていると今度は後ろから足音がする。しかも走ってる?
変な人じゃないよね、通り過ぎるよね!
「岡沢?」
「や、谷野君?」
何で谷野君?
振り返ると谷野君がジャージ姿で立っていた。
冬なのに汗ばんでいるのは走ってたからかな?
やっぱり何でこんなところに?
「今帰りなの?」
「あー、いや、そうだな。たまには少し走ろうかと」
「そうなんだ。じゃあ、私の家あっちだし……」
「違う」
違わないよ、私の家はあそこだよ?
「笹井さん、からメールが回ってきて…君が心配で。来た」
由美ちゃんが?!
谷野君が汗かいてるのは私を送るために来たってこと?
そんなこと考えてたら、すごくドキドキしてきちゃった。
近いし、谷野君気づいてるよね。下を向くしかない!
「その……家まで送る」
そう言って私の左手を掴んだ手は少し汗ばんでいたけど、とても温かかった。
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