もさ子その18
藤牧君はあれから何もない。何もないって言うのもおかしいけれど、少し前に戻ったように話すくらい。
そしてそろそろ冬休みだ。
今年のクリスマスはどんなケーキにするか、私の家では毎日お母さんといろんなチラシを見比べて議論している。
弟は全く参加しない。お父さんは金額だけは絶対に譲らなかった。
「由美ちゃんちはどんなケーキ?」
「姉さんのとこのケーキ。知り合いのところの売り上げ貢献よ」
「いいなー」
きっと美味しいケーキだ!
と思っていたらスマホが震えてる。
「てか、なんにも予定ないの?本当に?」
谷野君からだ。
クリスマスの予定?今由美ちゃんと同じこと訊いてる。
じゃあみんなで遊べばいいんだ。
「谷野君からお誘いだ。由美ちゃんも来る?」
「いや、ダメでしょ!」
なぜか力強く否定されちゃった。
谷野君が可哀想だって。
私が悪いの?!
「クリスマスにお誘いならデートでしょ」
デート……デート……デート……デート……デート……………………
何で?!
「藤牧と映画見たのも放課後デートだからね、世間一般的に」
えぇ?
だってそんな話してないし、そんな関係じゃないし!!
「あの時みたいになりたくないからあんたは目を背けてるかもしれないけど、二人ともあんたを見てちゃんと考えてるんだから、あんたも少しは考えてあげなさい。じゃないと藤牧はストーカーみたいになる」
藤牧君がストーカー?!
確かに怖い時もあった……。
谷野君が毎日メールしてくれるのは由美ちゃんがいってる通りなのかな。
でも違ったら怖いし、恥ずかしい。
少しだけ。少しだけ聞いてみるなら平気かな。
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