もさ子にアピールする男
今日はちょっと接触し過ぎたかな。と思っていたら案の定、彼女の保護者的存在の笹井さんから注意されてしまった。
「もさ子がビビってるわよ。恋愛通り越して危険人物扱いね」
「どうしてそうなったのかな」
「……とにかく、当分触るのはやめてね」
笹井さんはなにか知っているようだ。あのしかめた表情は知っていると言うより当事者なのかな。
彼女は言うだけ言って教室に戻っていった。
少し焦ったかな。
彼女を物としてみている訳じゃないけれど、他の誰かにとられるのは嫌だと思う。
しかも相手がわからない上に、先程のメールはたぶんそいつだろう。嬉しそうだったのが気に食わない。
今日はダメだったが明日はもう少し前に戻ろう。まだ受け入れられてないのならばもう少し時間をかけて ――――
校門を出て駅に向かう途中で見たことのある男がいた。彼は確か、岡沢さんを尋ねたやつだ。
俺の視線に気づいたのか、彼はこちらに向かってきた。
「なにかご用かな、藤牧君」
「俺の名前を知ってるんだ?」
「今一番の娯楽だからネタは逃さないよ。で?」
目を細めてにんまり笑った顔を見てこいつ、絶対性格悪いな。と思った。間違いない。
だが、この機会を逃すのはどうだろうか。
「岡沢さんに接触してる男が知りたいって言ったら?」
「そうだなぁ。イーブンに向こうにも言っていいならいいよ」
このままうまく行かないより、引っ掻き回されて自分に利がある方がいい気がする。
俺はこの時、自分が思っているよりも彼女を手に入れたくて焦っていた。
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