もさ子その2
私は今、有名なアイスクリームショップに来ている。
由美ちゃんと約束した例のアレだ。
「ど、どどど、どれでもいいの?!」
「約束は破らないわよ、私」
店員さんが退くほど、たくさんのアイスクリームが並べられたショーケースを眺めて、私は決めた!
「トリプルとか…私は絶対ムリ」
季節はまだ夏。
テラス席に座った私達の前にはトリプルのアイスが乗ったコーンとカップに入ったシングルのアイス。
もちろん、私のはトリプルです!
もっさりした前髪で顔の半分が隠れた女がニヤニヤしているのは気味の悪いものだろう。
しかし、それを見る人が何人いるだろう。
いたとしても気にしない、気にしている場合じゃない!
「いただきます!」
一番上に乗っているざく切り苺がたっぷり入ったアイスはいつも買っているお気に入り。
2段目はクリームチーズとチョコクッキーのアイス。
最後は濃厚塩バニラアイス。
すっごい美味しい!
「幸せそうでなにより」
「由美ちゃん、さっき言ってたのは本当なんだよね?」
「名前と写真のこと?ちゃんと言ってあるよ」
由美ちゃんはニッコリと頷いた。
やっぱり由美ちゃんはかわいい。
もさ子の私とは雲泥の差だ。
幼稚園からの友達でどんな時も私の味方をしてくれる。
でも今回はもさ子のままじゃダメだって、そういうことなのかな。
「たまにはいいじゃない。違う自分に驚くわよ」
何だか自信満々なのはどうしてなんだろう?
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