もさ子その14
「聞きたいことがある、色々と」
変わらない真剣な表情で谷野君は話を切り出した。
「田崎から聞いた話だと、君は元気そうだ。だが、あの日の君はとても……辛そうだった。それが忘れられなくて」
「それは……」
私が言い淀んでいると、谷野君の表情が緩んだ気がする、たぶん。
「すまない、少し焦ったな。俺の話でもしようか、一方的に君の事ばかり知っているのは不公平だろう」
谷野君はそれから色々と教えてくれた。
5歳から続けてる空手の話をしてくれたり、家族はお父さんとお母さんとでひとりっ子の話だったり、学校の話をしてくれたり。
「じゃあ最寄り駅も同じなんだね」
「そうなるな。またこうして会えると嬉しいが……」
そういうと、谷野君は口をつぐんでしまった。
すごく気落ちしているみたい。なんでだろう?
「部活忙しそうだし、谷野君の都合でいいよ」
「いいのか?」
あれ?嫌だったの?どっち?
「うん」
今度はホッとした顔になった。
口調は固いけど、微妙な表情の変化があって意外と分かりやすいのかな。
連絡先も交換したし、田崎君と由美ちゃん経由じゃなくても連絡できるようになった。
由美ちゃんのイライラが少しでも解消されるといいなぁ。
あ、そういえば田崎君とどこか行ったんだった!
喧嘩してないといいな……無理かな。
とにかく、今すぐ連絡しよう!
30分もしてないと思うけど、珍しくそんなに怒ってない由美ちゃんと合流した。
すぐに帰るって言い出すと思ったけど、そんな事はなくて4人で私の大好きなアイスを食べたりゲームセンターに行ったりした。
ゲームセンターのUFOゲームの前で私は気になったウサギのマスコットをじーっと見ていた。
冬仕様のかわいいコートを着たマスコットだ。
「どれか気になるのか?」
「谷野君!えーっと、あのマスコットなんだけど」
言うと、谷野君はお金を入れて器用に操作すると1回でマスコットを取ってしまった。
「ありがとう!UFOゲーム得意なの?」
「いや、初めてやったが……」
谷野君が取ってくれたウサギはさっそく鞄につけました。
ご覧いただきありがとうございます。




