もさ子に恋した男
スポーツ推薦で志望校に行くことが決まっていた俺は、受験シーズンが暇になってしまった。
多くの友人は受験で暇がない。
退部した部活に顔を出しすぎるのもよくないと思う。
持て余した放課後に、同じ境遇の友人とスポーツ店に行ってみる。
「オレ達枯れてるなーって思わね?」
「冬は乾燥しているからな、水分補給は重要だ」
「マジメかっ!」
何かおかしかっただろうか…。
「やっぱ部活中心だと彼女なんて夢だな、夢!」
「急に何の話しだ?」
「高校デビューが必要だな!あ、お前はそのままでいいぞ」
「高校デビューがよくわからんが…」
一人で盛り上がり始めた友人に適当に相槌を打っていると、視界の端に女性が飛び込んできた。
走ってきた彼女はとても疲れているようだ。
顔は赤く、眉根を寄せて今にも泣きそうな顔がすごく気になった。
「どした?あ、あの子?」
突然、隣からシャッター音がする。
「写メゲットー」
ニシシっと笑っている彼のスマホには確かに彼女の横顔が写っているが、隠し撮りはいかんだろう。
すぐに謝りにいかなければ、と視線を戻した時には彼女はいなかった。
「後で送っておくなー」
その日の夜、悪怯れもしない友人からメールと共に写真も送られてきた。
その場で消さなかった自分が分からなかった。
毎日のように彼女の写真を見ている自分がいる。
高校に入ってから出会った田崎という奴がちょこちょこ彼女の情報を持ってくる。
更にはお膳立てをしたと言って今週末に予定を組んだらしい。
会えたら、謝罪とあの時の表情の理由を聞いてもいいだろうか。
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