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万物が神に定められし世界で芋ジョブが一人歩きしていた  作者: ツヅクリフクロウ
第二章 修行編、究極の肉体美を求めて
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第25話 訪問詐欺にはご注意を 前編


ジュワーッ

プチプチプチ



話の導入部分が毎回料理シーンってのもどうなのかと疑問に思わなくもないが、実際ソレ以外は身を磨り潰しながら筋トレしてる場面しかないので、仕方なく断念する。


コレがロ○キー見てぇに心が熱くなるトレーニングだったら良かったんだがなぁ。残念ながら魂も凍えるスプラッターなんだよなぁ。

ソレを懇切丁寧に描くくらいなら、やっぱり昼飯の唐揚げを揚げてる所で開幕した方が何倍もマシってもんだ。


「全く、今朝は酷い目に遭わされたわ。ヘレンの家庭教師に吾輩の何処が不満なのじゃ……あたっ」

「文句を言うわりには〜、ドラちゃん二階から降りてきた時すっごくツヤツヤでしたよね〜……いたっ」


少し遠い目をしたが決して油断せず、素知らぬ顔で両脇からつまみ食いを謀る天使(バカ)と悪魔(バカ)の手を反射的に叩く。

絵面的には理性と煩悩に囁かれて葛藤する人に見えるが、実際は両方から実に低俗な攻撃を受けてる最中なのである。


叩く。

叩く。

そしてまた叩くぅ!


くっ、此奴らめ、やりよる!

加減無しに身体強化や魔術を使って来るので、周囲の魔力が僅かに変化した時点で動かないと防ぎ切れないっ!

こちらも修業時並みの筋力強化と感覚強化を全力で発動してるのに防戦一方のままだ!


いや、待てよ、ひょっとしてこれもその修行の一環なのか?常に警戒心を持つための。

なるほど、日常生活まで鍛錬と化すその発想は正しく名トレーナー………


「じゃねぇだろう!?てめぇら邪魔だ、おとなしく待ってろ!上手く揚げられねぇだろうが!!」

「見ましたかドラちゃん!後ちょっと……後ちょっとの辛抱でこの鉄壁の防御が崩れますよ〜!あいったっ」

「まさかここまで防がれるとはの!自ら施した修行の成果をこうして見るとは、何たる皮肉な運命!許せ、ハルキ!吾輩の勘が叫んでおるのじゃ、この品は揚げたての摘み食いこそが最も美味な食し方だとぉ!いたっ」

「みゅっ!?」

「ぴよっ!?」

「だからいい加減にしやがれ!ヘレン、ルナちゃん!オメェらどっからしゃしゃり出て来た!?」


な、なんと、敵側に伏兵がいやがったぁ!?

カッサンドラさんの影から忽然と現れ、虎視眈々と唐揚げを狙う小さな黒猫と黒ひよこ。

四対一の圧倒的劣勢に陥り、戦況が一気に傾く。


因みに、アリアちゃんは参戦しない手筈だ。

時空をも飛躍する地上最速の魔物であるあいつには、最初に会った時軽いトラウマを植え付けられてるので、絶対敵わないと思って最初に出来上がった分を献上して平和条約を結んどいたのだ。


それでも、致命的に不利だという点には変わりない。

おのれヘレン、裏切ったな!ワガハイを裏切ったナァ———ってあれ?そもそも最終的には食わせるんだから、別に戦う必要なんてないんじゃ………



ピンポ————ン



思考が復路時に至ろうとした所で、前触れもなく玄関のチャイムが鳴った。

あっ、この家、チャイムもあったんだ。



シュバアァッ!!



「獲ったどおぉ———!!はふ、もきゅもきゅ」

「ふんっ、馬鹿め!それはまだ二度揚げしてないやつで、美味しさ半減なんだよ!残念だったな!……って、そんなことより、今、チャイム鳴らなかったか?」

「鳴りましたね〜。この気配……多分ラーニャちゃんですよ〜」


一瞬の隙を突いた強奪に狂気乱舞するカッサンドラさんが「ばっ、馬鹿なぁ!?」と唐揚げを頬張ったまま跪くのを軽くスルーして玄関の方に注意を向けると、ラファエラさんが知らない人の名前を口にした。


「ラーニャちゃん?」

「今朝言ってた家庭教師をしてくれる人ですよぉ〜、今日の午後からでも授業ができるってオーケーしてくれました〜」

「え?一言も聞いてねぇぞ!?」

「……唐揚げに気を取られて〜報告し忘れてました〜、許してね♡」

「飯抜きにすっぞ、てめぇ!!」


何やってんだよ、この人!?


「それだけはやめてー!ここまでお預けにして、それだけはヤメテー!」ってギャン泣きしながら腰にしがみ付いて来るドジ天使を拳で成敗してから、慌てて玄関に向かった。


全く、今回の件ばかりは感謝しないといけないなと思ってたのにこのザマだよ。わざとなのか?


「いや、はなして、からあげーっ」

「アホ、オメェも来るんだよ!」


当然、肝心のジタバタもがくヘレンも小脇に抱えて連れて行く。

理由は二つ。一つは、これから世話になるかもしれない人と顔を会わせる為。二つは唐揚げの為。

俺一人があの場を離れてたら昼飯連合軍が全滅するのは火を見るよりも明らかだったが、流石にあの二人もヘレンを余所にそんな暴行に出まい。

何だかんだであの二人に可愛がられてるんだよ、このお姫様は。



ピンポ————ン



「あー、はいはい!今開けますよーっ!」


二度目の呼び鈴が鳴り響いたので、玄関のドアまで足を急がせ、開ける為ノブに手を掛けた。

そこで、ふと固まる。


いや、別に身だしなみとか気にしてるとかじゃねぇよ?

【異領域】に行く度ボロボロになるから、衣類とかは毎回新品なやつに着替えてるからな。


それより、今までの出会いを思い出して、果たして無防備無警戒にこの扉を開けても良いのだろうか。

外で待ってるだろう人物をラファエラさんは普通、と言うよりモブって貶してたが、その言葉の信憑性は如何なるものか………


「………爆弾処理の心掛けで逝くか」


気を引き締めて、サッとヘレンを下ろしてから音を立てずに慎重にドアスコープを覗く。鍵穴を通してのダブルチェックも怠らない。


結果、一人の村娘の姿を視認。

ドアスコープ越し特有の歪みのせいで詳細は映らなかったが、黒髪を三角巾で纏めた、特筆する点も要注意点も無い、平凡な女性がそこに立っていた。


俺は、愕然とした。


………あっ、怪しいっ!

居留守を通り越して全力で居引っ越しを装いたくなるぼど怪しいぞ、こいつ!?


女本体は別に何ともねぇんだが、それが返ってメープル・スプラウト、いや、この変人の魔窟(バルズーク家)の門を叩いてる事が場違い感ハンパねぇ!

どれだけ場違いかと言ったら、思春期男子の本棚に並べられた六法全書並みに場違いだ!

絶対エロ本隠してるよ。息子さん絶対エロ本隠してますよっ、お母さんっ!



ピンポ————ン



『ごめんくださ——い!ララさ——ん、ドラさ——ん!ラーニャですけど、居ますかぁ——?』


その間にも三度目のチャイムが鳴らされ、村娘が呼び掛ける。


ドラさんはカッサンドラさんの事だろうが、ララさん?誰だそいつは。

……ラファエラさんの事か?あの堕天使と愛称で呼び合う仲なのか。

この瞬間、疑惑は確信へと変わった。よし、決定的に黒だな。


こうして先に相手を知れたのは良かったが、流石にこちらから呼んでおいて門前払いするのは理不尽が過ぎるので、気が進まないが入れてやらなければならない。

覚悟を決めて、自分の見立てが間違ってる事を祈るしかないのだ。


俺は、先にヘレンに目で合図を送ってからドアを開け放った。

………うん、ヘレン、一応お前の為に用心してるんだから、「こいつ何してなだろう」って顔、止めよっか。


やや凹みつつも、ちょっと面食らった様子の訪問者と対面した。


「わあ、かわいい娘(こ)……」

「俺は男だ」

「へ?」


正しく、つーか何時もと変わらず、それが最初に交わされた言葉だった。


ああ、しょうがないよね、いつもの事だし、今は【異領域】の魔力の影響で髪の毛伸びちゃってるし、その上合うサイズがコレしかなかったからラファエラさんのフリル付き料理エプロン付けてるし、間違えて当たり前だよね。


口内に込み上がる血を飲み下し、相手が混乱してる隙に改めて直接観察してみる。


観察、する。

かんさつ……する。

かんさぇぇ————………………。


えっと……いやね、あのアホ天使みてぇに失礼な事言いたくないんだけどさ……モブいな!この人!


顔、普通。

体付き、普通。

背丈、俺より高い、つまり普通。

服装、直で見ると予想以上に上質なエプロンドレスにコルセット、でもやはり普通。

髪は、ふんわりとしたボブカットで黒。ちょっと紫がかってる……かもしれない。

外見年齢は、俺より上でカッサンドラさんより下、十代の最後と見て妥当か。


以上。


「あ、あの、御免なさいっ!ひょっとして、貴方が“ハルくん”ですか?あっ!私はラーニャと申します!」

「お、おお、そうだ。俺が春樹、森 春樹だ。森が姓で春樹が名だな。よろしく」

「はいっ!よろしくお願いします!わぁ〜、本当に異世界人だ〜」


何とかして彼女の人相を覚えようと頑張ってたら、先に立ち直った村娘改めラーニャさんが快活な自己紹介をした。

それに少し押された風に答えたが、どの辺で俺を異世界人と認識したのか少し気になったが、やはり珍しい様で好奇心を剥き出しにしている。

感情が直接顔に出るタイプらしく、真紅の眼を輝かせ、丸顔に似合う丸い眉がみょんみょんと跳ねて、中々愛嬌のある人だ。


ん?あれ?よく見たらこの人、普通に……いや、めちゃめちゃ可愛いぞ?

大きく丸い瞳に小さな鼻と唇、個性的なまろ眉、よく動く表情。

どういう事だ?一度言葉を交わしただけでガラリと印象が変わりやがったぞ!


奇妙な現象についラーニャさんの顔をまじまじと見てしまう。


「あ、あの、私の顔に何か付いてるのですか?」

「いや、なんか可愛らしい人だな〜ってな」

「え!?わわわっ、私がですか!?い、いやだなぁ〜そんなことないよ〜」


素直に感想を声に出すと、耳の先まで真っ赤になってブンブンと首を横に振るラーニャさん。

若干敬語が崩れる。ぐにゅりと強張るまろ眉。そして、急上昇するかわゆさゲージ。


そこで漸く俺は悟る、目の前のこの女性が類い稀なく魅力的であることを。

その容姿は、それこそカッサンドラさんやラファエラさん、折原達にも劣っていない。

ただし、こいつらが前方20メートルから目が釘刺しになるレベルの派手な美しさであるのに対して、ラーニャさんの場合は一度目にスルーし、二度目にチラッと目尻に入れ、三度目に振り返り、四度目、五度目と数を重ねるに連れて恋に落ちて行くタイプの美しさなのだ。


命名して、潜伏型超絶美少女・桃色の地雷。

ヴィジュアル的に表して、少女漫画によく出る庶民系主人公。普段、中のちょっと上な余りパッとしない少女の癖にチョロメン(ちょろいイケメン)やチョロインス(ちょろいプリンス)を堕とすシーンに限って超化学反応で背景に花を咲かせたり星を撒き散らしたりするヤツ。


何故そこまで詳しいかと言うと、小さい頃から女子グループとしか遊んだ事がないからです。くれぐれも「恐ろしい子!」とか思わないように。


「なるほど………ああ、家庭教師の件で来てくれたんだな。まあ、話は中でしようか。俺らはちょうど今昼飯なんだが、ラーニャさんはもう済ませたのか?」

「え?いえ、その、家庭教師の要件のついでに一緒に昼ご飯を食べようと、そうララさんに誘われてたんだけど……」

「あ、あの鳥女……」

「な、なんかすいません」

「いや、あんたが謝る必要ねぇよ、こっちが頼んだ訳だしさ。……シメねぇといけねぇ奴はいるがな」


一通りラーニャさんの印象に収束が付き、即時追撃する必要もなさそうだったので、どうぞと家に招き入れる事にした。

けれど、どっかの馬鹿のせいで空気がちょっと微妙だ。後、どうしてかラーニャさんが俺の顔を見て怯えている。


なぜだ、ちょっと暗い微笑みを浮かべてるだけなのに。


因みに、ヘレンの奴は終始気配を消して俺の後ろで成り行きの静観を決め込んでいた。

例の魔術かギフトを使ってるのか、別に隠れてもないのにラーニャさんに気付かれてる様子がなかった。

そうやって初対面の相手を無言無表情で観察するのが彼女の癖らしいが、今回ばかりは明確な敵意が混じってるのが感じ取れた。


勉強か、そんなに勉強が嫌なのか、ヘレンよ。


そんな二人の様子を見て、食卓を共にして多少は打ち解けてくれる事を不安を覚えながら祈る俺だった。




▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼




結果から言うと、全ての危惧は杞憂に潰えた。

何故なら、いい方向に予想に反して、ラーニャさんが社会人必須の常用スキル【フォロー】の使い手だったからだ。


いい加減俺の影から引っぺがして嫌々挨拶させたヘレンにびっくりてもフォローを入れ、お預けし過ぎてタスマニアデビルまで種族後退してたラファエラさんとカッサンドラさんにドン引きしつつもフォローを入れ、料理の美味しさに悶絶する自分自身に照れながらフォローを入れ、その見事な手腕のお陰で食事はスムーズに運んだのだった。


………いや、マジで、キッチンに戻ってバカ二人が四足歩行で威嚇して来るのを見た時、俺一人だったら色々諦めてたよ。ラーニャさん、お疲れ様です。こいつらは後でシメときます。


食後は、まだ野生的な呻き声しか出せないバカコンビを脇に退かせて俺とラーニャさんとヘレンを挟んだ三者面談を行なった。

俺の知識とこの世界の常識のすり合わせを行いながら授業の時間帯や内容を組み立て、更にラーニャさんの受け答えを密かに検分して彼女の人格人柄に評価も下した。


そして、そんな綿密な一人作業から最終的に出た結論が………今のこの状況になる。


「おぉ、え゛っぐ、ぐすん」

「え?ちょっと!?どっ、どうしちゃったの!?」


俺は、泣いた。

それはもう、長くさまよい、命からがら文明に辿り着けた漂流者の如く、感動で号泣していた。


やっと!この異世界に召喚されてからやっと!まともな人間に出会えたっ!!


俺は、奇跡の雫を拾う様にラーニャさん、いや、ラーニャ凡人大明王様の御手を包み込んで涙で濡らす。


「す、すまねぇ。でも、俺、こう見えて不安だったんだよ。いきなり異世界なんか訳の分からん所に呼ばれて辺りを見ると変態ばっか。変な王バカに変な近衛騎士団に変な筋肉星人に変な天使に変なおっぱい。もう、世界に普通な奴なんて俺しかいねぇと思ってたんだ!……ありがとうよ、ここに居てくれて!」

「ああ、こんなに泣いちゃって。あの、何があったか知らないけど、元気を出してハルキ君!」

「ああ、あんたのお陰で、希望が見えたぜ」

「ガウ、ガガゲゴ、グハア」(訳【タスマニアデビル語】:な〜んですかね〜、あの、い〜ち番常識人じゃない人が〜、自分が常識人と確信してるのって〜)

「ガウゴゴガウ、ガハウアウ!ハアハア!ガガウッガバウバウ!」(訳【タスマニアデビル語】:即ち、本物の狂気と言う物ではないかのう。それより今、一人可笑しなのが混じってたぞ!?変なおっぱいって誰じゃ!?吾輩か?吾輩の事なのか!?なんか彼奴、最近吾輩の扱いがぞんざいに成って来てないか!?のう!)


ガウガウうるさい外野は無視して考える。

ここまで良識のある人材が他に居るとは思えない。一応、現在メープル・スプラウトにはまだバルズークさん以外の【農家(辺境の)】が三人とそれぞれの家族の不特定多数が住んでる筈だが、正直ラーニャさんを保留にして他を試す勇気がない。

従って、今日の午後からでも教鞭を執ってもらいたいと思うのだが、最後に納得して貰わないといけない奴がいた。


ラーニャさんも俺の考えを察したのか、困った微笑みを浮かべて一緒に隣を見た。


「で?お前はいつまで膨れてるつもりだ?」

「………ぷくー」


え?なにそのリアクション可愛いんですけど。


膨らんだチョコ色の頬を指で押して中の空気を出してみる。一旦萎むが離すとすぐに元通りになる。


ヤベェ、今のキュンとキたわ。


って、違う違う、いつも無表情なのにそんな反応するから思わず遊んじまったよ。

我に帰って、ラーニャさんの微笑ましげな視線に頭を掻きながら早速わがまま姫の説得に取り掛かる。

これは、ちょっと長期戦になりそうだな。


「ゴホン!なあ、ヘレン、そんな嫌そうな顔するなよ。今の為にも将来の為にも、勉強って大事なんだぜ?確かに、最初は退屈かもしんねぇが、新しい事を知るって意外と楽しいもんだ。俺だって、元の世界で学校に行ってた時—————」



『ヒャッハー!おい春樹ぃぃ!なあぁにぃ俺の愛車の下敷きになってんのぉ?ボディィに傷ついちまったじゃねぇかぁ、あ゛あ゛?!?ト・リ・ア・エ・ズ、有り金全部おいてイキなゴラァ!!』

『おーっほほほぉ!もっと!もっと良い声で泣いて下さいませ、この豚ぁ!!』

『囚人番号6699番!貴様は懲罰房行きだ!なぜなら私が気にくわないからだっ!!』

『コフーッ!コフーッ!コフコフーッ!』



—————なんか今、何かが蘇った。蘇っちゃいけない何かが蘇った、心的外傷ストレス(PTSD)的なナニカが。


そう言や俺、人生で唯一真面目に勉強したのってあのセレブ高校の入学試験の時だったな。


つーっと、こめかみ汗が滴る。

直前まで同意する様にうんうんと頷いてたラーニャさんが突然言葉が途切れた自分を訝しげに見てるのと目が合った。


これはいかん。


「まあ、とにかく!大人しくラーニャさんの言う事聞いてくれるなら甘いお菓子作ってやるから、頑張れ!」

「ラーニャせんせい、よろしくおねがいします」

「え?ちょっと、え?」

「ああ、ラーニャ先生の分もちゃんと作っとくよ。それ位しかお礼できねぇしな!」

「先生決定なの!?いや、お菓子は嬉しいけどね、それより、さっきの話の続き「んじゃ!俺は修行に行くから、後は頼むわ!」ちょっと、ハルキくーん!」


ランナウェイ!


これ以上話すと色々まずい。

これが互いの為ベストな選択なのだ、うん。

我ながら迅速且つ適切な判断だ。だから、横からのタスマニア二匹からのジト目なぞ知らん。


自分にそう言い聞かせ、呼び止めるラーニャさんを振り切り、俺はそそくさと家を出て行くのだった。


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