表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
万物が神に定められし世界で芋ジョブが一人歩きしていた  作者: ツヅクリフクロウ
第二章 修行編、究極の肉体美を求めて
24/50

第20話 ワガハイは猫ではない!閣下と呼べ!!

「ふわ〜〜」


日の出前の早朝、長年の生活習慣に従って目が覚める。


大きな屈伸をしながらちらっと隣を見ると、五人は余裕で寝れそうな巨大なベッドには誰もいません。

バルちゃんは後日まで帰らない予定ですし、ドラちゃんも昨晩はハルくんの夜間修行の担当でした。

何時もは三人仲良く川の字に寝ているのですが、矢張り朝起きてお早うと言える相手が居ないのは寂しいですね。


「わ~い、おふとんの海ですよ~!」


ふかふかの中に全身ぽふんっとダイブ。

ゴロゴロ。

手足をバタバタ。

翼を伸ばしてパタパタ。


はい?ええ、寂しいですよ〜?

心の中では、わんわん泣いちゃってますよ〜?

むにゃ〜、ねむっ。


「二、三度寝したいですね〜」


午前中の訓練もドラちゃん担当ですから、ついつい怠けたくなっちゃうんですよね〜。

でも、一度でも誘惑に負けてしまったらズルズルと自堕落で爛れた生活になりそうなんですよね。


「それは駄目です〜!早起きのバルちゃんにおはよのチュ♡、が出来なくなっちゃいます〜!」


本当は、チュ♡よりもっとしゅごいぃ♡♡♡的な事したいのですが、朝っぱらシケ込むとドラちゃんが怒っちゃうんですよね。

チッ、ドエロい体してるくせに膜付きみたいな事言ってんじゃねぇよ、で~す。


もう一回背伸して、身だしなみを整えるとぼちぼち台所に降りる事にしました。

廊下に出てから、ふと今日もハルくんの部屋で寝ているヘレンちゃんのことを思い出す。


ドラちゃんの手が空いてない以上、必然的に私が午前中面倒を見ないといけないのですが、昨日ハルくんをうっかり殺し欠けてしまったので(心の中でナニカを生み出してしまいましたが)思いっきり嫌われちゃったんですよね〜。

ハルくんもハルくんで、『カッサンドラさんは許してやれ、きっと俺を強くする為にそうしてるんだ。クソ天使は許すな、近寄るな、目に入れるな、教育に悪い』って全く不公平です。


ハルくんの悪魔信仰者サタニスト!ぶーっ!

私も好きであんな拷問やりませんよぉ。ただ、ハルくんのリアクションが最高なだけですぅ。

あの、どれだけ責めても濁ることのない瞳の光。『え?まだ折れないの?もうっちょっとヤっちゃって良いの?良いんだよね?私、ヤっちゃって良いんだよね!』ってチャレンジしてしまうのが人の本能だと思うんです。


それは兎も角、この機会にヘレンちゃんと仲直りしないといけません。

ちょうど良い、朝の作業は家畜の世話ですからそこで懐柔しちゃいましょう。

子供って、大体動物好きですからね。


作戦を練りながら、忍び足で部屋の中を覗く。

ヘレンちゃんは、お姫様なのにその歳では思えないほど気配に鋭いので気を付けなければいけません。

その点も含めて色々謎めいたあの子に関して、そのうち調べた方が良いのかもしてませんが、取り敢えず今は静かな寝息をたてて居るのでそっと戸を閉めます。


一階の台所に人の気配がするので階段を下りる。

途中、ドラちゃんが仕掛けた足を引っ掛ける紐とか床にばら撒かれたビー玉とかバナナの皮とかありましたが、全部片付けときました。

本人曰く、種族の特性で悪事をしないと落ち着かないらしいです。

あの童貞の魂を引き抜きそうな悪女の含み笑いで五歳児並の悪巧みする姿には、毎回困ります。泣くまでいびりたくなっちゃいます。


私ですか?

私は、常に身も心も清い天使の鏡ですよ〜?ちゃんと毎日水浴び(風呂)してますもん。


ガチャりと食卓のドアを開け、降ってくる落下物を魔術で……あれ?何も落ちてきません。

おかしいですね。何時もは、こうあからさまに意味なく閉めてある出入り口には何らかの悪戯が仕掛けられている筈なのですが。

はて、首を傾げて室内を見回す。机の端の席に、嘗ては戦場でその武名を轟かせた悪魔大元帥が膝に顔を埋めて体育座りになっていました。


うわぁ………嫌な予感しかしません。二度寝しに戻っていいですか?


「えっと〜、ドラちゃん?おはよう〜、もう帰って来てたんですね〜」

「…………らふぁえらぁー」


うわぁ………もう一度言いますが嫌な予感しかしません。

ドラちゃん、目をうるうるさせてそんな嗜虐心のそそる顔をしないでください。逃げるタイミングを見誤ってしまうじゃないですか。


「ラファエラァ、吾輩、やってしもうた。もう、吾輩にはどうにもならん。ヘレンに合わせる顔がない。助けておくれ」

「え!?ドラちゃんが私に助けを!?ちょ、落ち着いてくださいよ〜。何時もは逆じゃないですか〜」


見慣れた悠然した佇まいは何処にも無く、本気で泣き出すドラちゃんに当惑。

そもそも、私と違ってドラちゃんは几帳面さんです。修行の為だけに殆ど不要な違法薬物エリクサーを昨日大量作り、満を持して挑んだのです。


一体何が、と思ったその時、ソレが台所から登場、いや参上しました。



「フゥワハハハハハハハハハハハハハ!!朝の糧を用意してやったぞ、蝋人形ども!魂を捧げて感謝するが良い!フゥワハハハハハハハハハハハハハ!!」



あっ、ドラちゃんの目が死んだ。


「…………え?なに?」


思わず素で疑問が漏れてしまった。「誰?」では無く「何?」と訊きましたが、決して語弊ではありません。


えーっと、外見から説明するとですね。まず簡単に人型……とも言い切れません。

何せ、本来腰まで伸びる黒髪がワックスか何かで針状に固められ、天を射抜いているのです。身長の3割が頭部の物が普通の人型と言えるのだろうか。頭から凶器を生やした物を人型と言えるのだろうか。


次に顔、いや、全身の皮膚が白粉も使わずに真っ白に変色したものを人間とは呼べません。

目元と唇だけ血の色で釣り上がる形に塗られたものを人間とは呼べません。

両目をクワッと見開き、歯ぎしりが鳴る程歯を食いしばって、骨格が変形してしまいそうな全力の笑い顔を浮かべてる変態を人間とは呼べません。


後、トゲトゲショルダーパッド付きの黒マントに料理様エプロンの組み合わせはないと思います。


とにかく、そんなサタニックな御方が両手一杯に料理を抱えながら現在私達の前で仁王立ちに立っていました。


「えっと〜、ドラちゃん?この御方、悪魔族のお友達でしょうか〜?」

「本気でそれを言ってるのなら、一度汝と悪魔族の何たるかに付いて語らねばならぬぞ?と言うか気付け、奴じゃ、ハルキじゃ」

「ウソでしょう!?!?!」


奇しくも昨日と同じ遣り取り。


「え!?ど、どう言う事これ?!何でこんなにサタニックになってるの!?何をしてこんなにサタニックになっちゃったの!?!もう、サタニックな別人と言うかサタニックな別新種族じゃないの、これ!!?昨日の(呪)より酷くない!!??」

「………解らぬのじゃ。夜は予定通り、重り付き垂直跳びスクワットをさせたのじゃ。酷い嵐じゃったが全ては順調じゃった。度々雷に打たれたがエリクサーで直ぐに蘇らせた。しかし、丁度七時間目を切った明け方じゃったか。そろそろ帰ろうとハルキに声を掛けた折………奴は止まらなかった。地に屈んで天高く跳び、地に屈んで天高く跳び、地に屈んで天高く跳び着地した時気付けば………こうなっていた」

「………トゲトゲショルダーパッド付き黒マントで、ですか?」

「………トゲトゲショルダーパッド付き黒マントで、じゃ。エプロンは無かった」


………それって、跳び上がった際何者かにすり替えられたんじゃ……


私は恐怖を抱いて天井を見上げた。


二人で頭を抱えている間もハルくん(邪)は着々と食器を並べていた。

確かに背も低いですし、家庭的な面を見れば面影がないわけでも 「フゥワハハハハハハ!!これで贄と祭壇が揃ったぞ!さあ、フェスティバルを始めよう。煮える流血と飛び散る肉片のフェスティバルをな!フゥワハハハハハハ!!」 はい、どうやら私の見間違いだったみたいです。


え?これって、直接本人に話し掛けないといけない流れですか?いやだな〜。


「あの〜、ハルくん、ですよね〜?私の事〜、解ります?あ、いえ、解らなかったらそのままで良いですよ〜。正直これ以上関わりたくないですし〜」

「ハルくんでは無い!ワガハイと心を通じたくば、閣下と呼べっ!この忌々しい[ピーッ]天使め!フゥワハハハハ!!」

「………どうしましょうドラちゃん、ワガハイって言っちゃってますよ。ドラちゃんよりよっぽど悪魔然としてますし、完全にキャラを略奪されてますよ」

「失敬なっ!吾輩はこんな奈落から絞り出たデスボイスで吾輩言わんわ!」

「フゥワハハハハハ!最早貴様に勝ち目など無い!貴様が自信持って己を呼べることは、もう無いっ!!貴様の吾輩は、ワガハイのワガハイの軍門に下り、永遠とワガハイのワガハイの物となったのだぁ、ワガハイ!!」

「かーーーっ!!吾輩吾輩うるさいわーーーー!!!」


は、話が進みません!


でも何故でしょう、このハルくん(閣下)とは何か上手くやって行けそうな気がするんです。

別に昨日のアレと違って理性(?)は残ってる様子ですし、実害もないのでいっそこのままにしといて良いんじゃないでしょうか?


「良い訳あるか!ヘレンが居るんじゃぞ!?」

「ですよね〜。でも、どうします〜?こう言う悪堕ちっぽいのって〜ドラちゃんの方が畑なんじゃないですか〜?」

「何とか出来たら苦労せんわ。こんなの知らんし、吾輩の力じゃ下手すれば強化してしまうかもしれん。じゃが、此奴も元は人族。聖属性魔術で浄化すれば元に戻せる可能性が高い。…………念の為、全力の奴を頼む」

「…………そうですね〜」


ハルくん、何故か魔術の効果が弱かったですし。


軽く息を吐いて、こちらの会話を聞きながらも腕を組み不遜に佇むハルくん(閣下)に向き直る。

次に、六枚の翼を全開させ、二、三度羽ばたいて辺りに魔力の込もった羽を浮かせる。

【天使族】である私の羽は、それ自体が強力な魔術の触媒となるのです。


準備が整い、祈る様に手を合わせながら詠唱を開始します。


『主の元に集うは旅人、闇に迷えし哀れな旅人。求めるは約束の地、安寧の地、救いの地。然れど遠く、立ちはだかるは邪、道端に積み重なる骸。惑うな、道導は我が手に在る。我が手は、夜から迷い人を拾う主の意向。歩め、盟約に従い、汝らに救済を:カーディナル・ピュリフィケーション!』


最上級聖属性魔術、カーディナル・ピュリフィケーション。

固有詠唱と触媒によるブースト効果を以って、大規模儀式を除けば私の最強の浄化魔術が発動する。

膨大な魔力が膨れ上がり、術式の完成と同時に極彩色の星屑が舞い上がる。

祝福の輝きはこの小さな部屋に収まらず、家全体を飲み込み、更に天高く上昇して村を覆い尽くす神樹の枝を照らした。


これでも術の範囲を対象(閣下)に絞り込んでいるのですが、外から見れば神格が降臨したような光景になってるでしょうね。

まあ、朝っぱらから対ノーライフ・レギオン級の魔術をぶっ放した程度・・で騒ぎにならないのがメープル・スプラウトの良いところです。


【異領域】の悪霊でも焼き尽くせるこの魔術。

直撃を受けたハルくん(閣下)は、確実にピュリフィケーションされ


「フゥワハハハ!!フゥワハハハハハハ!!FUUWAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!!」


「……うそ」


光が収まった先に、余裕を見せ付けるかの様に横文字で高笑いする閣下(ハルくん)の姿が現れた。

全くダメージを受けてません。


「どうして!?手加減しなかったのに!」

「フゥワハハハ!!愚かなり!実に愚かなり、忌まわしき神の使いよ!所詮、これは対象を正常な状態に戻す魔術だろう。そんなもの効かぁぬ!なぜならっ!!」

「な、なぜなら?」

「なぜならっ!ワガハイはコレで正常だからだぁ!! フゥワハハハハハハ!!」

「どうしましょうドラちゃん。この子、身も蓋もない事言っちゃってますよ!?…………ドラちゃん?」


返事がないのでそこに向くと、ドラちゃんが俯いて立ってました。

そして、ゆっくりと顔が上がるとこれまで見た事のない晴れやかな笑顔がそこにありました。角が引っ込み、頭に天使の輪が乗ってます。


「……私は……漸く悪い夢から目覚める事が出来たようです」

「なんで貴女がピュリフィケーションしてるん、ですっ!!」

「びゃっ!?」


速攻でその爽やかな顔にビンタを食らわせて、正気に戻した。

あ、危ない。今度はこっちがキャラを強奪される所でした。正直、天使化したドラちゃんに勝てる気がしません。


「何するのじゃ、ラファエラ!人が折角身も心も洗われた気分じゃったのに!—————!? って、そうじゃない!!ハルキは?!やったのか!!」

「フゥワハハハハハハハハハハハハハ!!う゛ぃぃくとりいいぃぃぃ!!フゥワハハハハハハハハハハハハハ!!」

「……………」


あっ、またドラちゃんの目が死んだ。

多分、精神面でかなり消耗してるのでしょう。本来の彼女は、カーディナル・ピュリフィケーション一発で天上しかける筈無いですし。


それとは別に、ヘッドバンキングしながら勝利を告げる閣下ハルくん

これ、どうすれば良いんでしょうかね?

頼みの聖属性魔術を無効化された以上、取れる選択肢は限られます。


A.10万年間封印する。

B.バラして替え玉とすり替える。

C.地に埋めてその存在の痕跡を抹消する。


……………ええ、どうやら私自身も得意な魔術が通じなかった事実にショックを受けてる様です。思考がほんのちょっぴり物騒になってます。

拷問(修行)されてる側が拷問(修行)してる側を追い詰めてるこの異常事態。

解りました、ドラちゃんが自失してる間に当初の目的通り二度寝しに帰ります。ふて寝です。部屋を鍵で閉めないといけませんね。


そう踵を返そうとした時。


「ん〜〜、はるき〜〜」

「「!!??」」


最悪の事態が起きました。


ヘレンちゃんがお目々をゴシゴシさせながら食卓に入って来てしまったのです!

どうして?!ちゃんと気配に気を付けてたのに!

こういう時、どう取り繕えばば良いのですか!?


ドラちゃんの方を見ます。

彼女は、『しむぁったあああぁぁぁ!!!』的な血相をしてます。なるほど、とても参考になります。


私は、ヘレンちゃんが目を閉じてるコンマ1秒の隙に選択肢Cを実行に移す事にしました。


しかし、


「おー!ヘレン、お早う。うっは、やっぱすんげぇ寝癖だな、お前」

「「え!?!?」」


振り返ってら、まるで今迄の出来事が幻だったかの様に何時もの少女然とした容姿でハルくん(常)が優しい苦笑いを浮かべていた。


…………うそん。




▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼




「ハルキ〜、まだ〜?むにゃ」

「後ちょっとだ………ほい、完成!寝癖直し+編み込みカチューシャで御座いますよ、お姫様」

「ん〜、ありが、くー」

「こら、寝るな寝るな。折角まとめてやったのに」


こいつ、本当に朝が弱えな。ったく。


俺に身を預けて脱力するヘレンに苦笑を漏らすと、二組の異様な視線を感じた。

カッサンドラさんとラファエラさんが何故か人知の域を逸した珍生物を見ているような顔をしている。


あ?なんだ?

…………ああ、そう言うことか。


「あー、行っておくが、ヘアセッティングは別に趣味とかじゃなくてな。あっちの世界で毎朝妹達の面倒見てたから、慣れだ慣れ。勘違いするなよ?」


女装の経験はあるが、あれはあくまで無理やりだ。勇ましい抵抗を見せた挙句、無残に敗北した末路だ。(経緯は想像に任せる。)

妙な誤解されたくねぇので釘を刺しておく。


だが、どうやら俺の解釈は的外れだったらしく、二人とも更に戦慄ていた。

「うそ、普通に喋っている」とか「何故、普通に喋っておる」とか、ちょっと意味の解らん事を呟いている。俺、出会った時から普通に話してたじゃん。「のじゃ」と「です〜」に言われたくねぇよ。


次にお互い顔を見合わせ、頷きあったと思えばラファエラさんが前触れもなく強力な治癒魔法で自分とカッサンドラさんを包み込んだ。特に頭を重点的に。

あ、ちなみに自分、昨日より更に魔力が増えて、何時の間にか周囲や他人の魔力も感知出来る様になりました。一歩前進だね!


「おいおい、どうしたんだ挙動不審になって。具合でも悪いのか?さっきまで普通だったじゃねーか、あんたら」

「さ、さっき?いや、ちょっと自分に自信が持てなくなっての。ははっ、少し疲れたのかもしれん」

「いやいや、確かにカッサンドラさん徹夜だったがな?俺、プラス筋トレだったからな?んじゃあ、俺も治癒してくれよ」

「いえ〜。ハルくんは、今不用意に触らない方がいいと思います〜。ほら、下手に弄ったらぷちっと逝くかもですし〜」

「俺は壊れかけの部品ですか!?」


頑なに治療を拒否する、って言うか目を合わせようとしないヤブ医者天使。昨日の威勢はどうした。

まあ、エリクサーのお陰で体に問題ないんだが、納得いかん。


天使と悪魔の言動に疑問を抱いていると、玄関の戸が開け閉めされる音が聞こえた。

どうやら、夜中仕事していたバルズークさんが朝飯に帰って来たようだ。

話によると、農家(辺境の)の一日は72時間(労働時間66時間、睡眠時間6時間)だそうだ。

どこの黒背広のエイリアン最高秘密機関だよ。このイカれた修行も、要するに徹夜に慣れろってことか。


「帰ってきたべー」

「おう!バルズークさんお帰り」

「「バ、バル(ちゃん)(ズーク)助けて〜」」

「だべ?」


俺は普通に挨拶するが、嫁どもは救世主が現れたと言わんばかりに飛び付いて盾にするように背後に隠れやがった。


だから何でだよ!

バルズークさんも目ぇ丸くしてるじゃねぇか!


「ハルキ君、どうしたべ?」

「知らねぇよ!はあ、もう良い。朝飯にすっぞ。そこにバルズークさんの弁当もあるぜ」

「おおっ!悪いなだべ!でも、これで午後の仕事も筋肉十億倍だべ!」


単位がオカシイ。

でも、そこでマッスルポーズされたら否が応でも解ってしまう。


何度見ても素敵な筋肉のこと。

自分の腕を擦ってみるが、変わらず陶器みたいにツルツルしててぷにぷにしている。

それでも、以前よりは(遠い昔に思えるが三日前の話だ)比べ物にならないくらい力が入るので不思議なもんだ。


山脈を彷彿させる上腕二頭筋、防弾チョッキより心強い腹直筋。


………この肉体が……もう時期ワガハイの物に………


「フゥワハハハハハハハハハハハハハ!!」

「「「ひっ!!??」」」




▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼




【異領域】、例の修練場、朝の筋トレ。


「と、以上の理由で吾輩とラファエラは修行担当を辞退させて貰うのじゃ」

「そっ首叩き落とすぞ、この牛乳女ぁ!!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ