第15話 幻想的な美少女と朝チュン
「く〜ぁ…ぉっと」
目を覚ました俺は、体に溢れる爽快感に任せて屈伸しかけるが直ぐに隣で寝てるヘレンを思い出してやめる。
何時も寝起きはいい方だが今日は別格に気分がスッキリだ。
きっと、いい夢を見たからだろう。おぼろげにしか思い出せないが、なんか最近会った気に食わねぇ野郎を森で追い回していた……ような気がする。
窓の外を見ると、まだ夜が明け始めたばかりの早朝。だが、毎日兄妹達の朝飯や弁当を作る為にこの時間帯に起きてるので問題ない。
どうやら、この辺の地域は日本と時差が無く日の長さも大体同じのようだ。
『ジリリリリ
鑑定結果:
この世界の時は、1分が60秒、1時間が60分、1日が24時間と区切られてる。
尚、一秒は、セシウム133の原子の基底状態の二つの超微細構造準位の間の遷移に対応する放射の周期の9192631770倍の継続時間とされる(棒)、でゴダんす。
追伸:
昨晩は、幼女とお楽しみでゴダんしたね!このゲス野郎♫』
朝っぱらから脳内に物理学と暴言を叩き込まれた。
うん、お前はまだ寝てていいんだぜ、万象鑑定。
むしろくたばりやがれ、万象鑑定。
「さて、朝飯でも作りに行きましょうかね」
気を取り直してそっとベッドから抜け出す。
家には誰も動く気配がないので皆まだ寝てるのだろう。
まあ、バルズークさんは既に畑仕事に出てるかもしれないが、肝心なのは昨日の様な惨事になる前に台所を占領することだ。
もう尊い食材を犠牲にしてたまるか!………昨日は全部ナマモノだったがっ(色んな意味で)!
「いざ出撃!って、あれ?」
決意を胸に新たな一日へ踏み出そうとしたが、そこで俺は部屋にもう一人の人影を見付ける。
誰かと確認しようと目を凝らすと、言葉を失った。
眼前に佇んでいたのは幻想的な美少女だった。
暗闇に浮かぶその輪郭はとても小柄で細く、成功なガラス細工のような繊細さが伝わる。
質素な服から露出した肌は新雪のように白く、小顔の一点に花が咲いてると思いきやそれは生気に満ちた唇。
スッと通った鼻は可愛らしく、何よりこちらをいたずらっぽく見つめる釣り気味で大きな黒い瞳が言葉で表現し難い印象を与えてくる。
最後に腰辺りまで伸ばした艶やかな黒髪が幼気な少女を女性の色香でアクセントしていた。
少女の方も驚いた様子でしばらくこちらを観察していた。
この家、もう一人住人いたのか?バルズークさんは何も言ってなかったが。
取り敢えず、朝の挨拶を……
「おい、テメエ。何メンチ切ってんだ、あ゛ぁん?……って、何やってんだ俺は!?」
哀殺じゃねぇ!挨拶!グッドモーニング!パンピー用の方!
こんな華麗な美少女に元中直伝をブチかますとか、自覚せずに寝ぼけてるのか?
幸いな事に、相手は全く気にしてない。
それどころか、同時同声で同じ哀殺で答えて来やがった。
しかも、直後自分にツッコミを入れている。案外、俺と同類かもしれねぇな。
…………あり?
右手を上げてみる。美少女が左手を上げる。
左足を上げてみる。美少女が右足を上げる。
あっ、この部屋、全身鏡が置かれてたんだった。
………………。
「なっ、なっ、ななななっ、なんじゃこりゃああああ!!?」
朝っぱらから絶叫が畑の間に響き渡るのだった。
俺は、我を忘れてわなわなと頭を掻きむしる。
「髪がっ、伸びてる!?ウソッ!?ひょっとしてヅラか?いてっ、自毛じゃねえか!!」
一瞬、あの天使か悪魔の悪ふざけだと思ったが毛根から毛先まで天然物だった。
と、言う事は、だ。
さっきまでここに立っていた美少女は俺、で。
俺を“幻想的な美少女”と呼んだのも、オレ、d…
「グフゥッ!……う゛う゛ぅっ!!」
連続クリティカルヒット!!
かつてないダメージを負った俺は膝から崩れ落ちる。
くそっ、せめて髪型だけは男らしくと短めにしてたのにっ!
街中の美容師が口を揃えてボブカットを勧めてくるのが嫌で一生懸命自分で切ってたのにっ!
そんなに俺のことが嫌いかよ!(特に誰宛でもない)
「……ぅにゅう〜」
「ハッ!?」
なんと、床でもんどり打ってる間にヘレンさんを起こしてしまったようです。
自分でも分からず焦ってふり返る…ってうわおっ、すんげぇ寝癖。
頭に茂みを生やした幼女は、眠たげにおめめを擦りながらぽけーっとしていた。
一方、俺は動けずに固まった。
人間、悪い事をしている時に見つかったら咄嗟に動けなくなるものだ。
………悪い事、したのか?俺?
解せん。
首を傾げていると黄金の双眸が俺にピントを会わせた。
暫しの沈黙。
訳が分からないまま、固唾を飲む。
今の俺に取れる選択肢は:
A.『おはよう、ヘレン。いい朝だな!』と爽やかに、ごく自然に、何もなかったように振る舞う。
B.『お騒がせして申し訳ありません、私はハルカと申します。ところで、お手洗いはどちらでしょうか?』と通行人Aのふりをする。
C.全て焼き払って逃げる。
駄目だっ、ロクに判断できねぇ!
「ハルキ………おねえちゃん?」
「おい、どうしてそうなる」
自然と声が低くなる。
つーか、昨日散々呼び捨てにしたくせに何で“お姉ちゃん”なんだ?
何で“お兄ちゃん”じゃないんだ?
何でお姉ちゃんと呼ばれてズッキュウウウンってキタんだ、俺?
選択肢Cにするかどうかマジで悩むぞ?
「んにゃふっ…」
「ちょっ、おいおい。大丈夫かお前?」
何を思ったのか、お姫様がベッドから降りて凄い千鳥足で近くに来た。
躓くんじゃないかと心配したら、やっぱり躓いたので支えてやる。
猫らしくかなり朝は弱い様子。
そんなんじゃ、もし枕元に釘打ちバットを振り下ろしてくる不良がいたら対応できんぞ?
すりすり、すりすり
「…………」
「んぅ〜〜……ハルキ〜」
すりすり、すりすり、すりすりすりっ!
「…………」
『かっ、艦長!異常事態発生!』
『どうした?報告しろ!』
『褐色幼女姫が当艦の胸部に頬ずりして甘えております!』
『何?あの小生意気な褐色幼女姫がか!?』
『ハッ!間違いありません!』
『ここは英断を迫られるところだな………皆の衆!眠気が冷めた時、自分の行動に羞恥で悶絶する生意気幼女を見たいか!!』
『『『『ハッ、是非っ!!!』』』』
『なら、ベッドに戻さずこのまま食卓まで抱えて運ぶぞ!先日のパワーアップでこれ位問題ない!総員持ち場につけ!全速前進!!』
『『『『了解!』』』』
さて、今日の朝飯は何にしようかな〜♫
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いきなり話を降って申し訳ないのだが、画面の前の貴方は多かれ少なかれファンタジージャンルに精通した者だと推測する。
なら、一度は以下に似た物語の展開を目にした事があるだろう。
とある普通な村にこれもまた普通な少年がいました。
彼は親と妹と一緒に幸せに暮らしていました。
ところがある日、村は魔王軍の侵略を受けてしまいました。
燃え上がる民家に逃げ惑う村人達。
少年の父親は、大急ぎで少年と妹を台所の食料倉庫に隠しました。
『カイル!早くミリーと倉庫に隠れるんだ!』
『やだ!ぼくも戦う!父さんと母さんを守るんだ!』
『くっ、母さんは、もう……とにかくそこから出るな!妹を守れ! (ドンッ『ヒッハー!こぉんな所にニンゲンがいるぜぇー!!』グサッ) ぐああああ!!』
『お、おとうさああああん!!?』
暗い隠れ部屋で泣いて震えること一晩、翌朝村の焼けカスを見ながら少年カイルは決意しました。誰にも負けないくらい強くなろうと。
やがて弛まぬ研鑽を重ね国に勇者と任命されたカイルは、頼りになる仲間と共に魔王討伐の旅に出るのでした。
さて、後世にその名を残すことになった勇者カイルの英雄譚、は、別にどうでもいいので忘れて置くとして、注視すべきは食料倉庫である。
まだ冷蔵庫がなかった時代に用いられた、涼しい地中に造られた設備。
かつての勇者が無様に泣きべそをかきながら隠れてたその場所もきっと狭く、暗く、保管されたハムやチーズの匂いがしたに違いない。
過去と未来のあらゆる勇者も一度はその狭さ、暗さ、ハムチース臭さを体験したに違いない。
もし貴方が古い家に住んでいて、狭暗ハムチーズ臭い地下倉庫を所有していたら一度覗いてみると良い。運が良かったらショタ勇者を一匹発見出来るかもしれない。
家庭の倉庫はそういう部屋であり、そうであってはならないのだ。
であるからして、この私が述べたい事柄は………なんなんだよう、これぇ。
「だああああ!!もう、面倒臭え!今更ツッコむなよ、俺!昨日の無心の境地を思い出せ!世界は俺で、俺が世界だぁ!」
ただいま、本編に戻ります。
現在、バルズーク家の地下食料倉庫に長い髪をポニーテールにした少じぉ……年が宙に向かって咆えていた。
両手の拳を天に突きつけ、えらく気合の入ったポーズを取っている。
しかし、謎の喝を入れた彼はすぐにヘナヘナと肩を落とした。
ロン毛の少年……小・年っ!は、俺。
そして、なぜ脱力してるかと言うと………
「なんで家の下に秘密基地作っちゃってんだよ、あの人達」
台所に入って、床の落とし戸を開けてみたらアラフシギ、無限大の地下空間があるじゃないですか。
そこにタイムマシンが駐車されてなかっただけ幾分マシだが、見なかったことにして回れ右したくなるのは変わりない。
思わず哀愁感の漂う溜息が漏れる。
「まあ、いい。使えそうな野菜類は取ったし、後は肉か」
幸い、ここには喰いもんしか貯蔵されてない。
色んな食品が陳列された棚の列を見れば、某米軍秘密基地よりもスーパーマーケットを連想させるかもしれない。
けれど、廊下の奥に見える未解体の怪獣の死骸複数のせいで、全然秘密になってないかの有名なUMA収容所な雰囲気もかなり濃ゆいです。
ゴ○ラもどきにガ○ラもどきに………おや、そこにおられるのはコンティネンタル・ベヒモース(巨大種)じゃないですか。
昨日の今日で奇遇ですね、随分と元気なさそうですが、如何なさいました?
ちなみに、カッサンドラさん曰くこの部屋は時空を弄って作られてるらしい。
収納された素材は腐敗しない為、こんな肉の山も放置しても大丈夫。
俺は、ちょっと食材を入れたカゴを下ろして両目ばつ印のベヒモースさんに駆け寄った。
何をするのかって?
「ふんっ!!」
ケジッ!
もちろん踏みつけます。
「へっ、ざまあ!」
鬼畜?死者への冒涜?
あのねぇ、君ぃ。そういうモラルは脇から肋骨四本コンニチハさせてから言いたまえよ。
こいつのツラを見るたびに、俺の脇腹が疼くのさ。
「おっと、遊んでねぇで早くするか。しかし名前とか書かれてないし不便だなぁ。整理しろよ。……いや、待てよ。名札はねぇが値札もない。即ち、値札なしのスーパー……え?ここ?天国?」
あ、やべぇ、主婦根性が衝動買いを命じていやがる。
今にでも『ヒャッハー!100パーセントバーゲンセールだぜぇ!』って叫びそうだ。
いや、でも、流石にヘレンにはいい加減な物食わせたくないな。
俺は、謎の肉を食うのに慣れてるが(元中で色々あったんだよ、色々)ここはファンタジー。
牛肉っぽいのと豚肉っぽいのと鶏肉っぽいのと魚貝類、爬虫類、両生類、昆虫っぽいのがあるが(全て実食済みです。だから、色々あったんだってば!)、虹色の肉や帯電してる肉などもある。
野菜も似た状態だったがそこはいいんだよ、体に悪い野菜なんてこの世にありません。
さて、どうしたものか。
『ピーポー、ピーポー
鑑定結果:
【神聖獣・アマルテアンテのヒレ肉】:
神聖獣・アマルテアンテ(平均レベル:6900)の最上級のヒレ肉。光神の眷属とされる神獣の血肉は、それ自体が神秘の塊であり、食した者に治癒効果、活性効果、100グラムにつき寿命を十年伸ばす。たった一片の肉を巡って起きた戦争は数しれず。別名、傾国の御膳と呼ばれる食材。所持してると知れば、全世界から狙われる事になるだろう。
【ジェーロフェンリルのホルモン】:
ジェーロフェンリル(平均レベル:6500)の最上級ホルモン。氷獄の魔狼と謳われるこの魔物の肉は、一切れ食べただけで一ヶ月分の栄養を補う事ができる。ただし、ジェーロフェンリルは仲間意識が非常に強く、更に嗅覚が異常に優れている。仲間が食われたと知れば、永遠と地の果まで追って来るだろう。数十単位の群れで。
【ネクロクラーケンのゲソ】:
ネクロクラーケン(平均レベル:6000)の最上級ゲソ。死後千年のクラーケン・ゾンビの到達点と言われる海底の悪夢。又、数少ない食用のアンデッド系の魔物である。千年間海で熟成した魚肉は非常に美味で、何より驚くべき美容効果を持つ。一口食べることに肌の艶が増し、贅肉が削ぎ落とされ、骨格まで整形され、醜悪な老婆は美女に、屈強な強面は草食系美少年に変貌………
バン!
俺は、まだ鑑定されてない肉を引っ掴んで地上へ逃げ帰った。
ちなみに、昨晩ネクロクラーケンなんて食べてない。
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「うっし、もう一度気を取り直して調理開始!」
シャキン!と、調理台で包丁を構える。
料理って、面倒だし汚れるし食費、光熱費、コスパで経済学の問題のようで頭が痛くなるが……ん?最後のが妙だって?いや、うちの養護施設貧乏なんだよ……とにかく、好きになれない。
本当だ。どうせ女子力高いとか言われたくなくて嘘付いてるだろうと苦笑されても、絶対不変の真実である。
一方、面倒な分気分転換とかにはうってつけだと思う。
今立ってる床の向こう側がパンドラの箱否パンドラの倉庫だとしても、フライパンを振ってる途中に忘れることが出きるだろう。多分。
一度登校すれば生きて帰れるか解らない日々を送ってた俺は、無論しっかりした朝飯を摂る。
しかも、今回はバルズークさんもいる。
どっかの海賊王の如く、『一日五食!各食100キロ!』とか言いそうなので多めに作って良いだろう。
果物野菜類は洗って切るだけで良いが、パンドラの倉庫にはベーコンなどの加工食品がなかった。
ハムチーズが……無かったのだ。
なので、ミンチ機と腸と調味料でソーセージを作る事にする。
はい、出来た。
早いって?フッ、1分毎に水道代で1円消えると思えばこのペースは当たり前さ。
次、ソーセージの焼きに入りたいがその前に………使った調理器具を洗う!
料理しながらの洗い物は主婦ならではの技術である!主婦じゃねぇが!
じぃーーーー
「ん?」
素早くミンチ機を洗ってる途中、背後から熱烈な視線を感じる。
振り返ると、リビングのソファに寝かして置いたヘレンが台所の入り口から顔半分覗かせていた。視線が会うとピックっと反応する。
暴発していた頭は、俺が緩い三つ編みにセットして置いた。
眠気でゆるゆるだった表情もいつもの鉄面皮に戻っているが、チョコ色の頬は僅かにに赤らんでるのを見逃さない。
その反応に軽い優越感に浸る俺は、正常なSに違いない。
フッ、恥ずかしくて逃げたいのなら逃げると良い。俺は何処までも君を追いかけて弄んでやろう!
トテトテトテ
「………あれ?」
『作戦本部、こちらイーグル1。標的のボギーが離脱せずこちらに接近しております!』
『何だと!?接近とはどう言うことだ!これでは我々が追跡できないではないか!』
『こちらイーグル1。標的ボギーにロックオンされました。めっちゃ見てます。愛くるしい金色の瞳でめっちゃこちらを見てます。う、上目遣いです。へ、変な気分に……』
『しっかりしろイーグル1、バイタルの心拍数が上昇してるぞ!応答しろ、イーグルワーーン!!』
「ハルキ、ハルキ」
「お、おう。どうした」
「おはよう」
「ああ、お早う」
照れ臭そうに少しはにかむヘレンが可愛すぐr。
えっ、何この空気!?
何このピュアな小動物!?生意気王女はどこ行った!?
誰だ、この子を弄ぶとぬかした外道はっ!!
…………。
「何してるの?」
「ああ……うん、朝飯作ってんだよ。……見たいか?」
「? げんきない、だいじょうぶ?」
「うん、少し死にたくなっただけ」
俺は、ヘレンを椅子に立たせてフライパンでもくもくソーセージを焼いていく。
予想通り、材料が良い為か半端なく美味そうだ。焼き目から滴る脂は、テレビで見た松阪肉みたいに美しい。
………だからお姫様よ、私めなどの横顔ではなくこちらに注目してくれ。
どういう要件か、彼女は終始料理ではなく俺を見詰めている。
ガンつけてんのか、あん?………違うな。
「ヘレン、ソーセージを盛るための皿と、後そこの卵の箱を持って来てくれ」
「うん、わかった」
「サンキュ」
「…………」
「……俺の顔に何か付いてるか?」
「ううん、きれい」
どうやら、手伝いたい訳ではないらしい。
ゆらゆらと動く三つ編みを尻尾と見立てたらメチャクチャ懐いている黒猫のようだ。
身に覚えがないのだが………まさか、寝てる間にナニかやらかしたか?
「あ、そう言えば、昨日寝る前にくれた手紙って……」
「ハルキ、もえてる」
へ?手紙が燃えてる?
一瞬、何を言われたか分からず顔を会わせたがその意味は否応なく伝わった。
フライパンの中に割った卵が……
「燃えていやがる」
以上。
…………うん。なんで?
『チリン、チリン
鑑定結果:
【不死鳥王の卵】:
不死鳥王(平均レベル:7100)………
スクランブルエッグにしてやった。
反射的な行動だった。
「よし!もうすぐパンが焼けるからバルズークさん達を起こしに行ってくれ。いいか、部屋の外から声をかけるんだぞ?何があっても中に入るなよ、解ったな?」
昨晩、スケスケのネグリジェ姿の天使が恥じらう巨人と悪魔を寝室に押し込むと言う、何ともシュールな光景を思い出しながら念を押す。
華麗に敬礼を返す姿を見送ってから匂いを換気するべく窓を開け放った。
昨日と同じ美しい紅葉の天幕が視界一杯に広がる。
「……やれやれ、だな」
零れ落ちる朝日の筋を目で追いながら、手紙の事を触れた時のヘレンの表情が俺を暫く悩ませるのだった。
森:「作者の野郎、執筆が遅すぎて自分が書いた小説のキャラを忘れるとかっざけんじゃねぇぞ。近い内に登場人物紹介を付けるってよ」




