牛乳びん
牛乳は嫌い。おいしくないから。
仲原花蓮中2。嫌いな物、牛乳。
いつも給食の牛乳は残してた。
アレルギーがある訳ではない。飲んだからといって吐く訳でもない。
ただ嫌いなだけ。
今日も給食の時間がやってくる。
「じゃあ、今日はここまで。」
「きりーつ。れーい。」
「ありがとうございましたあー。」
いつも通り4時間目が終わる。
いつも通り給食準備が進む。
いつもと同じ給食の時間。
でも、私にとっては特別だった。この給食の時間が私の恋の始まりだから。
給食当番が牛乳を配る。
私の机に当番の人が牛乳を置く。
置いた瞬間に当番の人が言った。
「あ、間違えた。」
??
「仲原って牛乳無理だったよな?」
「え、あ、うん。」
「それだけ。」
知っててくれた。
私が牛乳嫌いで残してる事なんて、女子の何人かしか知らないと思ってた。
森岡勇人君かあ…
それから、私は視界の隅っこにはいつも森岡君がいるようになった。
消ゴムやペンを落とした人がいたら何のためらいもなく拾ってその人にわたす森岡君。
バスケ部で頑張ってる森岡君。
たくさんいい所がある森岡君。
好き。大好き。
楽しいな。
そんなある日
「あのさー、花蓮って、森岡の事好きでしょ。」
「あー、あたしも思った。」
ぎく‼バレてたーー⁉
「どうなの?」
「す、好きだよ…。」
「そっかー。でも、森岡は付き合ってるって噂あるよね?男バスの元マネの麻美先輩と。」
えっ?嫌だ、嫌だ!
「もしかして知らなかっ…た?ごめん!」
「あたしらは応援するからさ、がんばろ。」
「…うん。」
その日はその後、何があったか覚えてない。
家に着くと泣いた。泣いて、泣いて、目の渕がヒリヒリするまで泣いた。
気がつくと朝だった。
まぶたが異常に重たい。鏡をみると、目はかなり腫れていた。
正直、今日は学校に行きたくない。
でも、家族に迷惑をかけたくないし、休むための言い訳を考える気力すら失せていた。
重たい足を引きずり学校へ到着。
昨日までは教室に入るのがあんなにも楽しみだったのに。
腫れたまぶたをなるべく見られないように授業中はずっとうつむいた。
3時間目の体育は持久走。
うつむきながら走っていると、1000mくらい走った所で目の前が真っ暗になった。
遠くで声がしている…
ここは…保健室?
「あら、気がついた?仲原さん、あなた貧血で倒れたのよ。」
そう…なんだ。
「森岡君がここまで運んでくれたのよ。あと、給食も森岡君が持ってきてくれたわ。それ食べて、平気なようなら教室に戻ってね。」
「はい。」
あ、牛乳、無い。
給食を食べるとかなり落ち着いた。
授業も普通に受けられそうだ。
「教室に戻ります。ありがとうございました。」
「はーい。」
5、6時間目は授業を受けて、放課後になった。
私は森岡君を探していた。お礼を言いたかったから。
「あ、森岡君!」
「仲原、大丈夫か?」
「うん。平気だよ。ありがとね。じゃあ、それだけ!」
これでいいんだ。終わりにしよう。森岡君を目で追うのも、いい所を見つけるのも。
「待って‼俺、好きでもない人の嫌いな物覚えたり、保健室まで運んだりするほどお人好しじゃないよ‼」
「え…?」
「仲原が好きだよ。」
「で…でも、麻美先輩は?」
「え?何の事?」
「付き合ってるんじゃ…⁉あ、あれ?」
「なんだよそれー。俺、年上の人って苦手だよ?」
嘘…だったんだ。
「あ、わ、私も森岡君が好き!」
「俺も好き。」
牛乳は嫌い。おいしくないから。
でも、今はちょっと好き。
牛乳が私の恋のきっかけだから。
初めての小説なのでおかしいところがたくさんあると思います。
アドバイスくれると嬉しいです♪
最後までありがとうございました☆彡