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決断
初めて君を見た時。
僕は、この子のために生まれてきたんだと本気で思い込んでしまった。
「可愛い」なんて言葉じゃ収まりきらないくらいの感情が、僕のちっぽけな心を埋め尽くしていく。
僕はこの人生を彼女のために生きていこうと思った。僕の人生が動き出した瞬間だった。
20XX年 12月27日。
「あーあ、なんか良いことないかなぁ……」
画面をダラダラとスワイプする。
親の勧めで中学受験をした僕は、部活も引退し情熱を注げるものが何もなかった。
勉強する気も起きない。ただただ、空白の時間を浪費する毎日。
今日も、そのはずだった。
「……っ、可愛い」
指が止まった。
画面の中で、一人のアイドルが踊っていた。
唇の間からのぞく、吸血鬼のような小さな
八重歯。
新雪のように透き通った白い肌。
意思を持ってなびく、天使のように綺麗な黒髪。
天使のような無垢さと、こちらを惑わす小悪魔のような危うさ。
僕は、目が離せなかった。
自分が何者であるかも忘れて、ただ画面の中の彼女を追いかけていた。
僕が、僕の人生を捧げる決断をする
理由なんて、それだけで十分すぎた。




