◆章タイトル:世界は問いの番人を求める ― ISBA、国際機構化の兆し
◆章タイトル:世界は問いの番人を求める ― ISBA、国際機構化の兆し
【1】起点:国際思想裁定局(GIO)の公式勧告
カルダミナ自治区での思想戦最前線への“非侵入型共在構造”の成功を受け、GIOが正式に声明を発表:
「ISBAの思想中立的構造設計力は、思想紛争を武力以外で緩和しうる“新たな安全保障モデル”である。
よって、我々はこれを思想保全の国際基盤インフラと位置づけることを推奨する」
【2】各国の反応(代表例)
◆レミリア公国(内政不干渉重視国)
「思想に介入しない設計なら、むしろ内政保護の盾になる」→ 支持表明
◆ユナ連邦(情報自由国)
「対話と沈黙が等価に扱われる機構なら、全市民参加も可能」→ 協定賛同
◆コラッサ帝国(思想封鎖国)
「“思想を守る”とは、支配構造の放棄に繋がる危険性がある」→ 監視態勢強化
【3】ISBAの立場:「秩序の代弁者ではない」
戦略設計局長・中村 敏秋、記者会見で発言:
「我々は思想の内容を代弁しない。
我々は、“思想が生き残る構造”だけを代弁する。
国家でも、宗教でも、市民でも、敵でも、
その問いが破壊されぬ限り、我々は共にあることができる。」
【4】国連的思想機構構想:CTI(Council for Thought Infrastructure)
GIOと10ヶ国主導で草案が提出:
名称:CTI:思考基盤評議会
役割:
世界各地の思想摩擦/抑圧における非対立型空間設計
「思想の自由」と「沈黙の権利」のバランスを設計できる中立機関
ISBAを中核とし、“思想の公共空間設計者”として位置付ける
【5】ISBA内部の緊張
ISBA内部では一部懸念も:
「制度化されすぎれば、“問いの場”がまた権力装置になるのでは」
「他国の思想に“肩入れしないこと”を維持できるのか」
川内 智和の内部メモ:
「対話の場を守ってるうちはいい。
でも、“対話そのものを輸出”し始めたら、
それはもう、問いじゃなくて、答えの押し売りになる」
【6】暫定承認と試験運用開始
GIOは思想共在試験圏の設計・派遣をISBAに正式依頼。
今後12ヶ月間、以下の任務が与えられる:
紛争前地域への**“先制共在設計チーム”**派遣
学術・宗教機関への対立緩和構造の提供
CTI設立に向けたモデル・指針草案の提出
【7】ISBAの新たな呼称(メディアによる仮名)
「問いの番人機構」
「無言の安全保障庁」
「沈黙の盾」
「思想の呼吸空間省」
だがISBA自身は名乗らない。
「我々は“名付ける側”にはならない。
常に、“名付けられる側”でありたい」