表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/98

51章タイトル:沈黙の支持者たち

51章タイトル:沈黙の支持者たち

【場面背景】


封印・最適化壷の存在を知り、それを“完全な脅威”とは見なさなかった数名の知識層、市民、そして一部の軍人が、自発的に動き出す。

【1.知識層:選択の自由を保つための議論】


王都・北書院。夜間、図書研究室で小さな円卓が囲まれていた。


「これは、洗脳ではない。感情のフレーム整理だ」

「だが、その“整理”の価値判断は誰がしている?」

「判断は個人に委ねられている。ただ、爆発する感情を封じる“器”が必要な時もある」


このやりとりは熱を持ちながらも冷静だった。

彼らは、“壷教育”や“封印壷”の是非ではなく、それをどう扱うべきかを議論していた。


ある者はこう言った。


「社会に導火線がいくつもあるなら、先に導火線を扱える道具を持っておくべきだ。だろう?」


この言葉は、静かに支持を広げていく。

【2.軍内部:影の合図】


思想警戒部隊に所属する兵士カズメは、ある夜、上官に呼び出された。

しかしそれは詰問ではなく、短い会話だけだった。


上官「お前、最近の壷のこと…どう思う?」


カズメ「……“選ばせてくれるなら”、あってもいいと思っています」


その言葉に、上官は小さく頷き、紙片を渡す。そこには暗号のような一文だけが書かれていた。


“音のしない橋を、渡れ”


それは、カズメに“声を上げずに協力せよ”という合図だった。

【3.市民:小さな行動の始まり】


市井の教師ナギは、日常の授業に“問いの力”をほんの少しだけ加え始めていた。


「怒りは悪くない。でも、怒りのまま動いた時、何が壊れるか――考えてみよう」


彼女のクラスの中には、家庭に問題を抱える子どももいた。

だが、ナギの問いかけは、誰かを責めず、ただ考える“間”を生んでいた。


彼女は壷を知らない。

けれど、壷の理念を体現している存在だった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ