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第30章:信仰の裂け目 ― 教義刷新派の胎動

第◯章:信仰の裂け目 ― 教義刷新派の胎動

■ 第一幕:静かなる目覚め


王都の大教会。

厳粛な空気の中で祈る若き神官たちの中に、

ひとり異質なまなざしを持つ者がいた。


その名はエルセリオ・ヴァイン。

教義を愛し、神を信じ、

だが“排除の論理”に対して心の奥で抗いを抱いていた。


「もし神が絶対ならば、疑問もまた神のうちにあるのでは?」


壺教育の市民の証言を、密かに聞き、観察し、

彼は次第に気づき始める。


神の教えが“全ての者の救い”であるならば


なぜ疑問を持つ者を罰し、追放しなければならないのか?


■ 第二幕:内なる会合


エルセリオは、同じように違和感を抱いていた若手神官・修道女たちに声をかける。

秘密裏に集まったその数、7人。


場所は古い地下聖堂。

彼らは語り合う。恐れと敬意と、そして希望を込めて。


「教義の中には、人間が書いた言葉もあるはずだ」

「ならば、今を生きる我々が手を加えるべき箇所もあるのでは」


その会合は次第に回数を重ね、“刷新派”と名乗るようになる。

■ 第三幕:カミカゼとの遭遇


ある夜、会合の場に“幻影”として現れたカミカゼ。


彼は彼らの問いにただ静かに答えた。


「神と人の境は、いつも揺らいでいる。

その揺らぎを恐れる者は、教義を壁に変える。

だが、君たちはそれを橋にできるかもしれない。」


カミカゼは去り際にひとつの“アグリマの滴”を残し、言った。


「これは道を決めるためのものではない。

自分の声を、自分の中に響かせるためのものだ。」


■ 第四幕:教義に「余白」を――刷新の草案


刷新派は教義書の改訂草案をつくり始める。


“排除”の章を削除し、“対話”と“赦し”を追加


神と人間の関係を、“命令”から“共感”へ再解釈


市民と神官の“交わりの儀式”を新たに導入案とする


これはまだ、組織内では完全な“異端”とされる内容だったが、

少数の年長神官の中にも、密かに賛同の火は灯り始めていた。

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