09 証言者・・・その人たちは警官
「そうなんですね。よくわかりますが、これも規則でね」と警官はカイルの怒号に動じずに続けた。
その時ドアが開いた。三人がそちらを見るとミリアムが立っていた。
カイルはすぐに立ち上がると
「リア、無理しちゃいけません。頭痛がずっとひどかったでしょ」と言った。
ミリアムは
「さっきクスリ飲んだから平気よ。何度もいらして貰うのは申し訳ないし、明日より今日のほうがよく覚えてるし」と冗談めかして言った。
「頭痛がひどいとは?」と金髪が言うと
ミリアムは
「えぇそこにある頭痛薬を飲めば楽になるけど・・・最近、ちょっと飲みすぎてるわね」と答えた。
カイルは
「そうですよ。ケティに当てられたんですよ」と言った。
ミリアムはカイルの態度を警官に目で詫びると
「死んだ人を悪く言うのはいけないわ」とカイルに言った。
ミリアムは椅子に座り、背筋を伸ばすと
「どうぞ、なんでも答えるわ」と二人に微笑みかけた。
「ケティさんを見てどう思いましたか?」
ミリアムはすぐに
「嫌いだと思いました」と答えた。
「なるほど」と金髪が言うと茶髪が
「殺されたと聞いた時は?」
ミリアムは一度うなずいて
「驚きました・・・・いえ・・・驚かなかった。えーーと、またかと思いました・・・・殺されたのはサミエルについで二番目ですが・・・・・どうやって殺されたんですか?その誰かが死んだのは三回目です。そういえばサミエルの犯人は?」と茶髪に言った。
「まだ、見つかりません。ケティさんは毒で死にました」と茶髪が答えた。
「・・・・そうなんですか?」とミリアムは少し涙ぐんだ。
「奥様がお茶をいれたと聞きましたが」と金髪が言うと
ミリアムは、涙が溢れた目をハンカチで押さえて
「あぁあの日はね、カイルが庭を見せに行ったから、わたくしが準備したのよ・・・・それがお腹が痛いとか」
はらはらして見ていたカイルが
「でもすぐに回復しました。自動車のなかではケラケラ元気でした」と早口で言うと
ミリアムはカイルに向かって
「本当?・・・・なら良いけど・・・・・」と言って
警官二人に向かって
「わたくしその・・・・なにも・・・」と言った。
茶髪が
「お茶が原因というのはないですね。毒はワインにはいってました」と言うと
ミリアムは、ほっとしたようで
「ワイン・・・・・・あら・・・・」とカイルを見た。
「あのへんの人がよく飲む安酒です」と金髪が言うと
ミリアムは
「はー、そうなんですか・・・・それは」とため息をついた。
目に見えて顔色が良くなった。
警官二人は目で合図しあうと
「ありがとうございます。ご協力助かりました」と立ち上がった。
ミリアムも立ち上がり
「捜査関係者ってとても頼りになる方たちですね。心強いですわ」と言った。
カイルはさっさとドアを開けて
「お送りします」と言った。
警官二人はミリアムに頭を下げて
「ご協力ありがとうございました」と言った。
門まで歩きながらカイルが二人に
「ミリアムは一杯ひっかけてました」と教えて、三人は少し笑った。
カイルは
「ちょっと旅行に行こうとおもいますが、留守にしても良いですか?」と二人に聞いた。
「大丈夫です。この訪問も形式的な物ですし」
「わかりました。三人目はちょっとわたしでも、いろいろと」とカイルが言うのを二人はもっともだとうなずきながら聞いた。
警官の車をカイルは「お疲れ様」と見送った。
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