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07 生贄・・・その名も・・・

カイルに誘われて、久しぶりで庭でくつろぐミリアムは、いつしかうとうとしていた。


人の気配で意識が戻ると


「おばさん、寝ちゃってるの?いい身分ね」とケティの声がした。


「ミリアム、お客さんだよ」と言うカイルの声に目を開けた。



「お邪魔してます。()()()さん」とケティに挨拶されて


ミリアムは

「よくいらっしゃいました」と答えた。


カイルがすまなそうな表情で

「ミリアム、お手数ですけどお茶の用意をお願いできますか?ケティに庭を見せたいので」と言うと


ケティがカイルの腕にじぶんの腕を絡ませながら

「すごーーい。ありがとう。悪いね、おばさん」と言った。


「わかったわ」とミリアムは家に戻った。


自分の部屋から小瓶を持って来るとお茶の準備をした。


お茶のポットとカップをお盆に載せると庭に戻った。


わざとらしいケティの声が聞こえた。ミリアムに聞かせる為のようだ。


「もう、カイルひどいわーー」そのあとに含み笑いが続いた。



ミリアムの中のなにかが切れた。ミリアムは小瓶の中身をカップに入れた。


素知らぬ体で声を張った。

「早くお茶が冷めるわ」


「はーーい」と二人が戻って来た。


ミリアムはお茶を飲み、小さなビスケットを口にした。


ケティもビスケットをバリバリ食べながらお茶を飲んだ。


「冷めてる方がすぐ飲めていいね」と全部飲み干した。すぐにカイルがお代わりを注いだ。


それを半分ほど飲んだケティが、急に


「お腹が痛い・・・苦しい」と口を押さえて言い出した。


ガチャっとミリアムがカップを置いた。


カイルはケティを横抱きにすると

「医者に連れて行く」と自動車へ急いだ。


「苦しーー」と言いながらケティはカイルの首にしがみ付いていた。


それを見送るミリアムの顔は真っ青だった。




何度か深呼吸して落ち着いたミリアムはお茶を注いで一気に飲んだ。


「しっかりしなさいミリアム。証拠を消す。出来るよね」ミリアムは自分を励ますのだった。


手の震えがおさまるまで待ってから、ポットとカップをお盆に載せるとしっかりした足取りで家にはいった。


カップを念入りに何度も洗い、ポットも洗った。小瓶も何度もすすいだ。


それから薬の棚から頭痛薬を一本持ってくると、蓋を開け中身を半分毒薬がはいっていた小瓶に移した。


それぞれに水を足すと棚にしまった。


さっそく一本飲みたいが、カイルに飲むところを見せたほうがいい。いまは我慢・・・・・


ミリアムは寝室に行くと横になったが、カイルの首に巻き付いた白い腕の映像はミリアムを眠らせなかった。




自動車が門をでるとケティが笑った。


「あの、おばさん腹痛ぐらいで真っ青になるなんてどんだけ甘えてんのよ」


慎重に角を曲がりながら

「繊細な人だから」とカイルは言った。


ケティはギアを操作するカイルの手に自分の手を乗せると


「ほんとにお嬢さんっていうのは」と吐き出すように言った。


「あそこまでショックを受けるとは」とカイルは言うと顔を顰めた。それから後ろの座席に置いてあるワインを指差して

「くすねたんだ。飲みかけだけど上等だ。こちらのお嬢様のお口に合いますよ」と笑った。


ケティは真面目な顔になり、カイルを見ると

「いいね、気が利くね。あたしの口も固くなるよ。うちの父ちゃんは車の整備はきちんとする人なんだ。タイヤが吹っ飛ぶなんてまずないね。誰かがやったんだ」


カイルはしっかりとケティの目を見て

「よっぽど、あの女恨まれていたのかな?」と言った。


ケティも目を見ながら

「あたしが夜中に誰かがタイヤの所にいたと、証言したらどうなると思う?」


カイルは吹き出すと

「子供は早く寝ろって説教だろ!」と答えた。


ケティはその笑いに付き合わず

「そうかな、あの繊細な人がどうなると思う?」とささやいた。


カイルは黙って前方を見つめた。


「あの人を部屋に閉じ込めたらあんたとあたしで、あの家好きにできるんじゃ?」


自動車を路肩に止めると


ケティの首の後ろに手をやるとぐっと引き寄せた。そして

「いいね、思ったより悪くていい女だ」と言った。


ケティは笑うと

「あんたもね」と言った。


カイルは運転に戻ると

「近くまで送ったら一度帰るわ。様子を確認しとくわ」と言った。


「それがいいかも、今晩待ってるから」


「あぁ眠らせてから行くよ」とカイルは答えた。


二人はそれぞれの思いを胸に、黙って前方を見た。



誤字、脱字を教えていただきありがとうございます。

とても助かっております。


いつも読んでいただきありがとうございます!

楽しんでいただけましたら、ブックマーク・★★★★★をよろしくお願いします。



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