表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/10

05 今度の面倒・・・その名はケティ

ミリアムとカイルは買い物をしていた。「魔石自動車ででかける日」の今日、繁華街までやって来たのだ。


二人とも目立たないが仕立ての良い服を着て、手をつないで歩いていた。


町の広場で買ったものを食べようと、テーブルを見つけミリアムを座らせたカイルは、飲み物を買いに行った。


その背の高い後ろ姿を見送りながら、ミリアムは喧騒と風を楽しんでいた。


ちょっと遅いなっと思い始めた時、カイルは戻って来たが一人ではなかった。


「あなたが、ミザリーさんのお友達ですね。あたし・・・わたしはケティ・パーマー。ミザリーさんの運転手の娘です。って言っても父さんは事故で死んじゃったけどね・・・・カイルは葬式ん時、うちの父ちゃんにも花輪を送ってくだすって、おかげで親戚にも鼻が高かったんで一度お会いしてお礼を言おうと思ってたんです。ついでにミリアムさんにも会えてよかったです」


一気にまくしたてた、若い女の後ろでカイルはすまなそうな、がっかりしたような顔でミリアムを見ていた。


「まぁお悔やみ申し上げます」とだけミリアムは返した。


その後、女は困惑するミリアム、怒りを隠したカイルを尻目にその場に居座り、許可も得ずにテーブルに座った。


ケティは

「食べないんですか?飲み物も温くなっちゃいますよ」とカイルを上目遣いで見ながら言った。


つい、礼儀上ミリアムは


「ご一緒にどうぞ」とすすめて、失敗したと思った。


だが、もうその時、ケティはローストチキンを手に取っていた。


大きく肉をかじりとり、当たり前のようにテーブルに二つ置いてある、コップ一つ取ると一口飲み、続いて肉にがぶりと食いついた。


カイルが

「ミリアムさん、飲み物をどうぞ」と声をかけミリアムはコップを手にとった。



ケティはチキンを食べ終えると骨をテーブルに置くとサンドイッチに手を伸ばした。


カイルは立ち上がると


「次の予定があるので失礼します。良かったら全部召し上がって下さい」と言った。


それからミリアムに手を差し出した。


「いいのぉ?悪いねぇ」とケティは口に頬張ったサンドイッチの許す範囲で答えた。



ミリアムは黙って会釈した。




「すみません、リア。話しかけられて返事したらしつこくて、振り切れなくて付いて来られた」


「いいのよ、あの勢いだもの。仕方ないわ。それより、カイル。そこのカフェに入りましょ。喉が渇いたわ」


思いやりのあるミリアムの言い方に感謝して、喉の渇きと空腹を感じていたカイルは、カフェに入った。




ローストチキンとローストポークが乗った皿を前にカイルは


「僕、あの人を見てたらすごく食欲が湧きました」



レモンパイの乗った皿を前にミリアムは


「わたくし、あの方を見てたら食欲がなくなりました。レモンパイしか無理です」



それから二人は軽く笑った。




そんな二人を窓越しにケティが見ていた。二人が席を立つとテーブルの上の物を抱え込んで追いかけてきたのだ。


とうていケティが入れない店で食事をする二人を見て


「あのおばさん、カイルを縛り付けてるんだ。カイルはあたしに気があるよ。わかるんだから・・・・カイル・・・・ね!」と呟いた。


カイルはその気配を感じながら、チキンを乱暴にかじりとった。



誤字、脱字を教えていただきありがとうございます。

とても助かっております。


いつも読んでいただきありがとうございます!

楽しんでいただけましたら、ブックマーク・★★★★★をよろしくお願いします。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ