04 幸せ・・・その名はミリアム カイル目線
庭仕事の日だったので俺は生垣の剪定をしていた。リアはちょっと沈んでいてお酒を飲みたがったので、薄いブランデーを渡した。
もの思いにふけりながら、ゆっくり飲んでいる。お代わり欲しがるだろうな。
そこに来客があった。
美人といえば美人だろうけど、空気が淀むような、ばあさんだった。
あのサミエルの関係者のようだった。あの男、変に尾をひいてたたりやがって。
剪定しながら、話を聞いていたら、リアとの因縁がすごかった。確かにサミエルとか他の男がいなくなったのはいいことだし、俺がリアと出会ったのは、ばあさんのおかげと言えるがリアが悲しい思いをしたのは許せん。
うっかりおばあさんと呼んだら、引っぱたかれた。これは俺が悪いから仕方ないかな・・・・
だけど、別れ際に
「ミリアムのことをリアと呼ぶのね。特別?」それからたっぷり間を取って
「わたしを特別にしていいのよ。遠慮することないわ」とささやかれた時はぞっとした。
それからリアは葬式に行くかどうかとか、サミエルのことで悩んでいた。
葬式に行くにしても、リアの持っている靴はかかとが高くて危ないので、低い靴を買った。
ただ、葬式であのばあさんに会うのはやはりいやだったので、ばあさんもリアの人生から退場して貰うことにした。
魔石自動車が欲しくて勉強してたのが、幸いした。タイヤのナットを緩めたら、かなり大きい事故をおこしてばあさんは死んでしまった。
サミエルも俺が殺したんだよね。
なんか我が家をうかがうやつがいるから、話を聞いたら昔結婚してた相手だった。
勿論、金を欲しがっていたが、リアは俺の声を聞くだけで濡れるとか、朝まで眠らせてもらえなかったとか・・・
おまえも仲間にはいって三人でやればとか・・・・
俺はやつの首をねじ切りたいのを必死で我慢したんだ。そしてやつのねぐらの場所を聞くと、少し金を渡して帰ってもらった。
「サミエルさん、これで身なりを整えて下さい。ひさしぶりに会うんですよ。失礼だけどその格好は」
「そうだな。兄さん気が利くね。じゃこれはありがたく」と言うとサミエルは帰って行った。
その夜、サミエルを殺したが、死体の始末をしなかったのが、失敗だった。スラムで男が一人死んだのが新聞に載るとは思わないよな。
それなのに新聞に載ってあの女がやって来たんだ。
でも終わった。二人ともお利口に土の下に収まった。
明日は三食きちんと食べる日だ。準備は整っている。リアの好きなレモンパイも届けて貰うよう手配してある。
リアと過ごす楽しい日はぜったいに終わりにしない。俺はなにがあってもこの幸せを守ってみせる。
歩きながらリアがふっと微笑んだ。それをみた俺も笑みがこみあげて来た。
そういえば今日は片付けものの日だった。
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