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01 面倒・・・その名はミザリー

ミリアム・マクライドは王都の外れの小さな家で同居人のカイルに面倒を見て貰って静かに暮らしていた。


そんな彼女の世界に外の世界から騒動が飛び込んで来た。


最初のそれは彼女が全身全霊で愛した、前の夫の死から始まった。


わたし、ミリアム・マクライドは庭のベンチで薄めたブランデーを飲んでいた。今日は庭仕事の日だからわたしは庭にいる。


ほぼ世を捨てているわたしは毎日の区別がつかない。それで、三食きちんと食べる日、とか片付けものの日とか、庭仕事の日を決めて生活している。一番好きなのは怠ける日だ。



小さい家は便利だ。門前に人が来たらすぐわかる。だけど、客?訪問者なんて何年ぶりだろう・・・


応対のために剪定ばさみを置いてカイルが出て行った。戻ってきてこう言った。


「リア、ミザリーって知ってますか?」知ってる、よく知ってる。てかカイル新聞で見たでしょ。


「入ってもらって。それからあの門開くかしら、随分長く開けてないけど・・・・開いたら彼女の魔石自動車を中に」と言うと


カイルは

「問題ありません」と言うと門に戻って行ったが


歩きながら

「なんだくそいまいましい・・邪魔して」と毒ついていた。


まぁお行儀の悪いこと。ミザリーに聞こえてなければいいけど・・・



魔石自動車から降りたミザリーが歩いて来る。雑草だらけの小道はかかとが高く華奢な靴に向いてない。


あれ?老けた!それにエスコートがいない・・・・エスコートなしのミザリーなんて・・・


ミザリーは最後の五・六歩で小走りになると

「ミリアム、あなたミリアムよね・・・・」と言った。


わたしは手で向かいの椅子を指すと


「あなたは本当に変わらないわね。十年ぶりかしら・・・・最新の服装を見るのも久しぶりだわ」と言った。


ミザリーはわたしがぶかぶかのセーターを着ているのを見て、ふっと笑った。


男物のセーターは着心地がいいのよ。特にこれはカイルが着古してるからから。そんなことも知らないの?


ミザリーはふっと笑うとこう言った。

「あなたは相変わらず?昼間から飲むなんて・・・・」


わたしは、自分の名誉の為にこう言った。

「ほとんど飲まないわ・・・・追悼よ・・・・新聞で知ったの」


わたしの言葉に少しむっとしたミザリーは


「知っていたのね・・・・教えてあげようと思って来たのよ・・・あなたの最愛の元夫(ひと)ですもの。それにわたしの(利用した相手)でもあったし。彼を愛してそして、残された二人で語り合いたくて」


ミザリーあなたが彼を奪って使い捨てにしなければ彼は生きていたのよ!


わたしは、そう思ったが無難に言葉を返した。


「そうね、彼は今頃、どんな顔をしているかしらね」


彼、サミエルは学院の先輩で優しい、控えめな人だった。わたしは自分で言うのもなんだけど、美人だし、裕福な伯爵家の一人娘で縁談は降るほどだった。その頃から時代が変わり、裕福な平民が、貴族に代わり、世の中を動かし始めていた。


両親は爵位の維持もしなくていいとわたしに言っていたくらいだ。それでわたしは嫁に行くのも婿をとるのも、どちらでも好きにするつもりだった。



お母様と誰を選べばいいのかお茶をしながら、よく話し合った。


「大事なのはつりあいよ。その相手とだったら、愛情は後からいくらでも・・・・」とお母様は自信たっぷりに言ってたわね。


そしてお母様推薦のサミエルのエスコートで夜会に行って、ダンスして驚いた。


とても息が合ったのだ。しまいには彼の優しい鳶色の目を見ただけで腰が抜けそうになった。


これって体の相性がいいってことだった。初夜にそれがわかった。

わたしは結婚してからずっとサミエルを求めた。

サミエルはちょっと困りながらも優しく、激しくわたしが求めるままに抱いてくれた。


そしてサミエルの領地の鉱山に大発見がありそれは彼に莫大な富をもたらした。


彼は一躍社交界の寵児になった。



そしてミザリーが彼を奪った。


ミザリー。絶世の美女。彼女は隣国の王族の血を引いているらしい。母親の血筋の為に隣国では生活できずにこちらに来ているとうわさされているが、本当の所をわたしは知らない。


気まぐれで魅力的で可愛い。わたしは太刀打ちできなかった。


この国の王太子がエスコートしていた時期もあるし、公爵令息がぴったりとついていた時期も・・・・


そんな彼女がサミエルに目をつけたのだ。サインしてある離縁状と多額な慰謝料がわたしに残された。


夜が辛かった。戻ってきたサミエルが、わたしにキスして体をまさぐる。それ以上すすまない彼をなじり、すがりついているところで目が覚める。毎晩それを繰り返した。


抱いてくれる腕が欲しかった。


わたしは酒に溺れ、両親はわたしを施設にいれた。そしてわたしに会いに来るときに事故に合い、二人は死んだ。


その後サミエルは一文無しになってミザリーに捨てられた。



わたしはどうにか立ち直り社交界にも、時々顔を出すようになった。跡取りは必要だ。配偶者を探そうと思ったのだ。


それなりに美しくお金のあるわたしはお相手には恵まれた。


そして、結婚前に一夜を共にしてみた。駄目だった。サミエルじゃないと駄目だ。


また、酒の量が増え始めた。いっそ、両親の元へ行こうと思い始めた。


そんなある日、子供を拾った。


誤字、脱字を教えていただきありがとうございます。

とても助かっております。


いつも読んでいただきありがとうございます!

楽しんでいただけましたら、ブックマーク・★★★★★をよろしくお願いします。



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