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第二話 排泄

「入れ」

高村は親指で指した。

俺の狂気にあてられておかしくなってしまったんじゃないのか、こいつ。

ちがうな、元からだわ。

高村はあとから入ってきて鍵を閉めた。

そして、こっちを見ると、ニヤリと唇をゆがませた。

「はあい、脱ぎ脱ぎしましょうねえー」

「え、いや、自分でできるんで大丈夫です」

思わず敬語である。

「高村。お前、急に頭おかしくなってんぞ」

「なってねえわ、バカたれ」

「あ、いつもの」

「こんぐらいに変なテンションで行かないとやってられるか、自分の服脱がせるのなんて」

「いや、俺の服だけど。どう見ても、シャツとズボン。男子の制服だろ」

「そういう問題じゃねえんだよ。私の身体が来てる服は全部私の服なんだよ、わかるだろ」

「わかんねえよ、拡大ジャイアニズムやめろ」

「とにかく、お前に脱がされるのは嫌なの」

「お前は脱がさねえよ、俺が脱ぐだけだから」

「だああああああっ!そういう意味じゃねえっ!お前に私の肉体を使った脱衣の感覚を味合わせたくないの!」

「そんなマニアックな趣味ねえよ」

「いいから、じっとしとけ!」

めんどくさいのでいうことを聞く。

高村は俺の前にひざまずいて、カチャカチャ、とベルトを外し、俺のズボンをおろした。

「てか、俺に見られるのはいいの?」

「本当は嫌だけど、まあいいや。減るもんじゃないし」

「線引きが謎すぎるだろ」

「じゃあ、見ないのか?」

「見させていただきます」

続いて、ボクサーパンツに指をかけてスッとそれをおろした。

下半身が風に当たってスースーする。

股間にモノがついていないのって新鮮な感覚である。

「…………」

「あの、………」

高村が黙ったままだ。

「すいません、高村さん?俺もう、おしっこしたいんすけど」

「………………」

「おい、なんか言えって」

「…………………………こうやって見ると」

「うん?」

「私って結構剛毛だよな」

「何言ってんだよ、お前」

俺は視線を自分の股に移した。

うーん。

そうなのかな?

他の人のなんて見たことないからわからん。

「剛毛なの?これ」

「いや、だって見えないよね、中身が」

「見えないためにあるんじゃないの」

「そういう目的のために作られたもんじゃないだろ。…………はあ、やっべえ」

「なにをそんなに憂うことがあろうか、いやない」

「反語やめろ」

「毛があって困ることでもあんの」

「いや、たとえばだよ」

「あ、ちょっとまって」

「なに」

「長くなる?その話」

「なるかも」

「じゃあ、先に済ませてもいい?」

「?………ああ、どうぞ」

「では、失礼して」

俺は便器に座った。

そろそろ我慢の限界だったのだ。

勢いよく発射されるプシャアアア、という音。

「…………」

「…………」

「………………いや、なんか喋れよ」

「相手が用を足してるときのマナーがわからん」

「え、でも、女子ってよく一緒にトイレ行ったりするじゃん。あれってこういうことしてるんじゃないの?」

「どんな特殊なプレイだ!そんなことするわけねえだろ。あと、私は連れションするタイプじゃねえよ」

「そうなんだ」

いっぱいためこんでたみたいで、排出はなかなか終わらない。

「連れションするタイプじゃないっていうかさ………」

「なんだよ」

「お前って友達、いるの?」

「………っ!!!!!!!!!!!!!!」

高村が突然心臓を抑えて苦しみ始めた。

中二病の発作だろうか。

それともそれを抑える薬の副作用だろうか。

「い、いや、いるぞ。いるぞ。ひとり」

「もしかして、俺?」

「ギクゥ!」

「口に出しちゃってるよね、それ」

「いや、いいし。別に。友達なんかいなくても楽しいし、学校生活」

「無理すんなよ。お前と友達になりたいから紹介してくれっていってた奴、紹介してやろうか?」

「男?」

「いや、女」

「あのさあ、それはそっちの人が頼んでるんだから、私とか関係なく紹介してやるもんだろ、普通」

「まあ、いずれそうするつもりだったんだけどね」

排出が終わった。

俺は便器から立ち上がる。

「女の身体っていいな。ほぼ真下から出てくるから、座ってしやすいっていうかさ……」「触るな!」

俺が股を拭こうをしたら、毒物に触れさせまいとするかのような態度をとられた。

「私の身体からでたしょんべんは私のしょんべんだ。お前に拭かせるわけにはいかない」

「いや、ちょっとまて。この身体がお前の物だから、ある程度自由にできるみたいな理屈はわかるよ?でもさ、このおしっこはお前になる前に俺が飲んだものが大半を占めてるわけじゃん?じゃあ、俺のおしっこだから俺が拭くべきじゃね?」

「誰の摂取した成分からできたおしっこだとしても、私の身体の股座またぐらにかかってる時点で私のおしっこだ」

「じゃあ、もし俺が自分の身体に戻ったとして、お前の股座におしっこかけたら、お前はそれを自分のおしっことして、自分で処理するのか?」

「するわけねえだろ、気色悪い」

「じゃあ、これは俺のだろ。知ってるか?医学的には消化器系は身体の「外」なんだぜ?つまり、おしっこっていうのは今俺が身に着けてるシャツなんかと同じで、自分の身体の外にあるものなんだよ。だから、高村、お前は『私の身体から出た』と言ったが、本当は体内には初めから入っていないとも考えられるよな?」

「もういいよ、さっさと拭け」

急にはしごを外された。

俺はトイレットペーパーを手に何重かにぐるぐる巻いて、手を抜いて、親指とそれ以外の四本で挟んで持った。

これを股に持っていく。

下を見ても、実際に拭けているのかどうかはわからないので、完全に体の感覚に頼るしかない。

パンツが濡れるのは嫌なので、しっかりと拭く。

「それでさ、お前と紹介するやつなんだけど」

「あ、まだその話進んでたんだ」

「ああ、結構厄介なやつだぜ、いいのか?」

「紹介するの、ためらう程なの?」

「そうだ。重度のオタク中二病だからな、さすがに高校生にもなってあれは見ててツラい」

「なんでそんな奴が私と関わりたいとか言うの?いっとくけど、私、全然オタクじゃないぞ」

「お前さっきポケモンの件でブチギレてなかった?」

「は?は?は?ポケモン知らない奴なんてこの世に居んの?非常識すぎるだろ」

「ポケモンだけが好きだとしても、オタク呼ばわりは否定できないんじゃないか」

「いや、私はオタクじゃねえし!」

「ちなみに俺、ドラクエやったことないよ」

「は?」

「ファイナルファンタジーもやったことないよ」

「は?」

「エバンゲリオンを見たことないよ」

「ヱヴァンゲリヲンな。そして、は?」

「ドラゴンボールも読んだことないよ」

「は?………お前さ」

「うん」

「生きてて楽しい?」

「そこまで?」

「いや、だってそれ全部に触れてこないで、何が楽しくて生きてきたんだろうって思うじゃん」

「それはお前が友達いないからじゃね?」

「グハアアアアアアアアアッ!」

高村が目に見えて、ダメージを受けていた。

「そ、そうか。私は友達がいないから、………だから、ゲームで孤独を癒すしかないクズだったのか」

「そんなことは言ってない」

「はいはい、認めますよ。私はオタクです。アニメ録画しすぎて見る暇ありませんよ、どうせ」

「そこはリアルタイム視聴じゃないんだ」

「特に意味なくね、あれ」

そこらへんはドライなんだ。

こいつらしいと言えば、らしい。

俺はズボンをあげて、言った。

「じゃあ、いまから図書室に行こうぜ」

「なんで、急に。というかお前、食事中じゃなかったか」

「放課後に残りを食うよ。お前なんか食い始めてもないだろ」

「まあ、そうだけど。なんで図書室」

「そのキモオタは教室にいる場所がなくて、いつも図書室にいるから」

「……………」

「なに、してんの」

「はっ!思わず、手を合わせて祈ってしまった」

「意味わからんが、行くぞ」

「おう」

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