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その目で、そんな大声出さないで。

作者: 泉末広

理由、分からないからってからかわない。

なぜなのか、分からないって知らせない。

そんな大声出さないで。

良かれと思ったが、もう分からないから笑えない。

悪くないと思ったが、もう分からないから仕方ない。

お願いだから、そんな大声出さないで。

鏡を見たが、後ろの正面できりきり舞い。

何度も鏡を見たが、こんな顔して手のなる方へ行かないで。

お願いだから、そんな厭な声出さないで。

立ち振舞いを確認したが、問題ないけど敵わない。

立ち振舞いを真似したが、問題ないけど叶わない。

お願いだから、そんな厭な眼差し向けないで。

ふさわしい声を調整したが、見当たらない蚊が邪魔をする。

ふさわしい声を真似したが、大音量の囁きが鳴り止まない。

優しい笑顔なのに、わからない。

優しい笑顔のはずなのに、どうにもこうにもわからない。

いつも通りと諦めるけど、いつもと違う明日を捨てきれない。

いつも通りと諦めるけど、いつかは違う望みを捨てきれない。

あんな嫌な記憶になるとは、開いた口が塞がらない。

あんな嫌な思い出になるとは、誰の成果か思い当たらない。

こんな厭な気持ちにさせといて。

見下しついでの罵りなんて、こんな厭な気持ちにさせないで。

生まれ落ちた運命なんて、恨んでしまってもて余す。

予想通りと醒めるけど、動かぬ証拠はないんだから誰も知らないはずはない。

予定通りと醒めるけど、予定調和のはずでも誰もが知るなど有り得ない。

八方塞がりで役に立たない未来予知。

破れかぶれの独り善がりな未来予知。

誰かに知られちゃいけない私のこころ。

ほんとは、誰かに知られて欲しい私の気持ち。

嫌悪の空気が孤独を晒す。

侮蔑の空気が孤独を晒す。

嫌悪の沈黙でわたしは目を逸らす。

侮蔑の沈黙で誰もが言葉を逸らす。

そんな鋭利な笑みを浮かべないで。

そんな鋭利な笑みを浮かべないで。

言葉足らずの別れの手紙が消えていくのなら、純朴な涙を書き綴ればいいのでしょうか?

鵜呑みにできない言い訳が虚しく消えていくのなら、純白の手紙を見せびらかせばいいのでしょうか?

難解なひそひそ話の暗号のような世界。

難解なこそこそ話の暗号のような空間。

そこは、そこはかとない赦しで繋がれた国。

嫌悪の空気が不完全な未来を宿す。

侮蔑の沈黙が不完全な言葉を宿す。

もう、そんな声出さないで。

もう、そんな声出さないで。

もう赦して、喚かないで。

何度も鏡を見るけど、わからない。

もう一度鏡を見たけど、わからない。

もう許して、哭かないで。

こんな声しかでないから。

こんな声しかでないから。



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