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完結済作品のあとがき集  作者: もも野はち助
その他の恋愛ジャンル作品
15/17

【傷物となった子爵令嬢は婚約破棄を迫られる 】のあとがき

※こちらはハチ助の作品【傷物となった子爵令嬢は婚約破棄を迫られる】のあとがきになります。

 ネタバレ要素あるので作品未読の方は、ブラウザバックでお願いします。

 『傷物となった子爵令嬢は婚約破棄を迫られる 』の作品をお手に取って頂き、誠にありがとうございます! そして短いお話なのにあとがきまで足をお運び下さり、本当に大感謝です!


 4話しかないお話ですが、別作品のあとがきを更新するついでにこちらの作品もあとがきをつけようかなーと思って書いてみました。よろしければ、作品だけでなく執筆の裏話でもお楽しみください。


 ではまずこの作品を書いた経緯なのですが……実は筆者にしては非常に珍しい心境で書いた作品になります。


 『あんまり書かないけれど、今回はざまぁっぽい作品でも書いてみるかー』


 ハチ助作品を結構お手に取ってくださっている方ならご存知かと思いますが、私はざまぁ作品って書くのも読むのもあまり好きではありません……。(一時期、『嫌い!』のレベルまでいった)

 読み専だった頃はコメディー作品として結構楽しく読んでいたんですけどね……。


 でも書き手側に回った際に読んだ人によってスッキリ度合に差が出る作品を書くと、まぁ感想欄が荒れる事荒れる事……。初めてその洗礼を受けたのが、人生で三番目に書いた『小さな殿下と私』でした。

 筆者としては、ハニトラ要員令嬢のみざまぁすればいいのかと思っていたら、まさかの婚約者枠(作品ではヒーロー)のざまぁを期待されていたという書き方だったみたいで、もう感想欄に「ヒーローはヒロインに相応しくない」とか「こんな幼稚なヒーローでヒロインがかわいそう!」のヒーローに対する不満が感想欄に来る事来る事……。(苦笑)


 以来、婚約破棄系のざまぁ作品が、完全にトラウマになってしまい、『もし書いても婚約破棄を言い出したヒーローにも救いがある展開しか書かない!』と、固く誓う程のトラウマに今でもなっております……。

ちなみにその経緯で書かれたのが『瞬殺された婚約破棄のその後の物語』になります。

(※こちら2025年7月に『瞬殺された断罪劇の後、殿下、あなたを希望します』という別タイトル名で書籍化した為、なろうでは公開しておりません)


 それでもざまぁ展開というのは、人気があるんですよね……。

 でも断罪劇が売りの婚約破棄系と、実の家族に虐げられていたところに白馬の王子様が……なシンデレラ系のざまぁは、好きじゃない筆者。(断罪劇系はスッキリを求めてくる読者様の査定基準が厳し過ぎて怖い……。シンデレラ系は、ヒロインが虐げられた状況に耐え抜いている状況が辛すぎて書けない……)


「さぁ、困った……。ざまぁ作品を書こうと思い立ったけれど、まず誰をざまぁさせるのか問題が出てきたぞ?」という感じで、この話を考え始めたんですよね。

 結果、「読者様を大いにミスリードする展開の話にしよう!」となり、出来ればあまり無いパターンで。しかもヒロインじゃなくて、ヒーローが率先して断罪劇を行うような展開にしたいなーと思った際、シャーロッテを妊娠させてしまおうという展開を思い付きました。


 まず、ざまぁ対象はヒーローの父親のクスフォード伯爵。

 その際、伯爵はシャーロッテの事が気にくわないからとかの理由ではなく、単純に貴族らしい理由の息子の政略結婚によって得られる富と権力に目がくらんで、シャーロッテを切り捨てようとしたという展開にしました。そうすれば婚約期間中にシャーロッテが冷遇されていたという展開は書かなくてすむので。


 ちなみに伯爵の名に関しては、登場人物の名前が思いつかない時に自室の本棚にあった『赤毛のアン』が目に入った事で、アンを孤児院から引き取ったクスバート兄妹の名前を思い出し、それを少し変えただけなので、けして『クズい伯爵』という意味を込めて付けた訳ではないですよー。(汗)


 そして次は誰に断罪劇をやらせるかという部分で、読者様のミスリードを誘う為、ヒーローのアルベルトになりました。その際、お話の冒頭のアルベルトを読者様に「こいつ、クズヤローでは?」と思わせるような書き方を筆者はワザとしております。そしてヒロインのシャーロッテも実は仕掛け人ですが、ここでは耐え凌ぐだけのか弱いドアマットヒロイン風にまたしてもワザと書いていますね……。


 そして彼らのやり取りを読者様と同じ立場で傍観する事しか出来ない妹のリリアーナ。

 彼女に関しては、敢えて婚約破棄ざまぁ作品で反撃を開始する主人公のような強い令嬢っぽいキャラ設定をしております。彼女は作中で読者様の気持ちを代弁する存在として登場させおります。

 同時に「これから彼女が断罪劇を披露するのでは?」というのを期待も読者様に仄めかす動きも。まぁ、実際は彼女ではなく、ヒーローのアルベルトがブチギレて断罪ぶっかましておりますが。(苦笑)


 こんな感じで仕掛けを考えながらお話の展開を考えたので、この作品に関しては、執筆しているという感覚が筆者にはあまりありませんでした。


 冒頭から、無理矢理どこの馬の骨とも分からないような男に望まぬ妊娠をさせられてしまったヒロインが、それを理由に婚約解消を迫られるという重い展開で開始。

 婚約者のヒーローは彼女を労うどころか、その状況に怒りを感じ、すっかり自分は被害者気分な状態。

 被害者であるのに婚約解消を迫られている姉の不遇に怒り狂い出しそうな妹。


 重くドロドロな展開から敢えてお話を開始し、後半にコメディー展開なオチにするための仕掛けを考えていくという感じで書かれた作品なので、筆者側では登場人物達の心の動きなどが、あまり書けなかった作品でもあるんですよね……。

 なんというか……この作品に関しては『小説を書いた』というより、『小説を構築した』という表現になる感じ? 配役を決めて、それぞれの役割も決めて、演劇脚本を作っているという感覚になっていたような気がします。


 そういう意味だと、この作品より先に書いた『涙あふれる断罪劇(未遂)』の方が、まだ登場人物達の心の叫びとか葛藤が書けていたような気がする……。まぁ、どちらにしても断罪劇的な場面をメインで作品を書こうとすると、私の場合は舞台脚本を作っている感覚になるみたいです……。

 そんな経緯で考えると、単純にざまぁ作品というジャンルが苦手だという事だけでなく、私自身がざまぁ作品を書くのに向いていない人間という事になる気がします……。


 その為、このお話に関しては読者様に伝えたいテーマ性みたいなものが一切ない感じで書いた作品になります。なんというか……「サクッと読んで楽しんで行ってくださいねー」的な一回乗ったら「もういいやー」になりやすいアトラクションみたいな感じで書かれた作品? なので、いつも筆者が書いている作品よりも読者様が楽しむ事に重点を置いて書いた作品になるのかも……。


 ただシャーロッテが妊娠した経緯が、ちょっと引っかかるという読者様は出てきそうだなーと思っております。父親に侯爵令嬢と結婚させられそうになって焦っていた状況ではありますが、妹リリアーナの読み通り、アルベルトはさっさとシャーロッテと結ばれたかったという欲求の方が強かった感じですからねー。(苦笑)


 なろうだと、いくらヒロインが大好き過ぎるヒーローでも、結婚を早める為に挙式前にヒロインを孕ませるという展開はNGな読者様が多いと思うので、その展開が読者様にどう受け止められるか、ちょっと心配でした……。人によっては『誠実じゃない』とか『煩悩ヒーロー過ぎて無理』という方もいると思うので。


 作中では、そういう既成事実を作らなければ、二人は引き離されるという状況に追い込まれていた状況ではありましたが……。リリアーナが指摘していたように「姉を妊娠させる必要はなかったのでは?」は「確かに!」になりますからねー。その辺は完全にアルベルトの「早くシャーロと結ばれたい!」な欲望が爆発した結果なので、お話の冒頭には『彼に完璧なヒーロー像は求めないでください』の注意書きをしております。(苦笑)

 それだけ彼は、シャーロッテの事が大好きという事なので、勘弁してやってください……。


 まぁ、こんな感じでサクッと書いた短いお話ですが、筆者にとっては結構学びが多い作品でしたね。

「そうか。ざまぁ作品って仕掛けを作っていく感じで、書くというよりもお話を構築していくという感じで作るのか……」という発見があったので。


 そうなるとざまぁ作品が得意な作家さんは、常に読者様の楽しむポイントを考えながらお話を作っているんだなーというのが分かりました。逆に私の場合、本当に思うがままダラダラダラ~とお話を書いていたんだなと。(苦笑)


 心理描写多めの作品だったら、それでもいいと思うのですが……。

 ざまぁ作品みたいにどこで読者様のボルテージをあげるかを考慮しなければならない作品だと、『執筆する』というよりも『仕掛ける』という感じの書き方の方がいいのでしょうね。

 これもこれで面白い執筆スタイルだと思うのですが……自分はあまり向いていないかも。


 私の場合、なんというか……自分の感情をドバーっと載せて作品書き進めるタイプなので、こういう綿密な計算をし、徹底的に読み手を楽しませる仕掛けを仕込ませて作品を作るというのは、あまり得意ではないようです……。どちらかというと、読み手が盛り上がるとか一切考えないで「今、この段階でこのキャラはこういう感情が爆発している!」みたいな勢いで書き進めちゃうタイプなので。(苦笑)


 なのでざまぁ作品のように書き始めから書き終わりまで、丁寧に盛り上がりポイントを仕掛けて作品作り上げていく執筆スタイルは、あまり向いていないのだと思います……。それがこの作品を書いて、ちょっと分かったかなー。というか作品傾向によって、お話の書き方が違ってくる事があるんですね……。


 そんな筆者の学びの方が多かった作品ですが、お手に取ってくださった方もいるのも事実!

 こんなあとがきにまで足を運んでくださるほど、作品を楽しんで頂き、本当にありがとうございます!

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