表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
邪龍の守りびと  作者: kuro kuro
記憶喪失編~成長~
6/7

ピンチ

サブタイトルが最近適当…

統一感が全くないですね…

しばらく歩いたが出口は見えてこない。メリアは名前をつけてからご機嫌だ。いや無表情なんだけど…。なんとなくさっきよりも元気な気がする。


「ぐ~」


 メリアのおなかの鳴る音がが盛大に静かな洞窟に響いた。メリアは羞恥でプルプル震えている。よく見ると耳まで真っ赤だ。失礼だけどかわいい。

 そういや食料のことを忘れていた。今までウルフとコボルトと殺してきたのに食べるとまずいだろうけど食料に変わりなかったのに置いてきてしまった…。記憶喪失とか謎の赤髪少女のせいですっかり忘れてしまっていた。問題ないと思っていたけどやっぱり色々ありすぎて混乱してたみたい。


「おなか空いたね」

「ん。」


 なんだろう空気がおかしい。早く飯を見つけないとずっとこんなのことが続くのか。

 さっきまでご機嫌だったけど一気に機嫌が悪くなってる。

 早く飯現れないかな…


 そうして歩ているとメリアは疲れたのか座り込んでしまった。


「大丈夫?」

「…ん」


 メリアは頑張って立ったがふらふらだった。どうする?いやこれは僕のミスだ。出口がどこか分からないのに強力な魔物を倒せたことで舞い上がっていた。

 僕はメリアの前で腰を下ろす。


「乗って。僕が背負っていくよ」

「いい…。シロ疲れちゃう」

「ふらふらして歩いてる方が心配で疲れちゃうよ。いいから乗って」


 躊躇いながらメリアは僕の背中に体重を預ける。僕はゆっくり立ち上がる。本当は僕も結構限界に近い。でも…。僕が彼女を助けないと。

 彼女の体はなんだが暖かかった。


 しばらく歩くと洞窟から水の音が聞こえ始めた。メリアは僕の背中で寝息を立てて寝ている。今まで相当疲れていたのだろう。僕が倒れた時も看病してもらったし僕も頑張らないとな。

 

 メリアは本当に不思議な女の子だ。出会った時は短剣が胸に刺さっていて鎖で拘束されていた。目が覚ますと人形のように感情が全くなさそうだった。戦闘時のメリアはいつもより感情が無いように感じる。僕はそれが怖いと思っている。そういえば怪我が一瞬で治るのも異常だ。短剣を抜いた時もウルフに噛まれた時も怪我が無くなっていた。まるで”人”ではないようだ…。

 

 …だけどメリアは感情が全くないわけではない。恥ずかしいときは恥ずかしがるし楽しいときはご機嫌だ。その仕草は人間の女の子そのものだ。どっちがメリアなんだろう…。


「…ごめんなさい」


 メリアの寝言?謝っている?…


「やめて…。そんなことしたくない…。許さない」


 メリアは泣いていた。僕はこの寝言が何のことを言っているのか分からない。僕は黙って歩いた。メリアは僕の背中で泣き続けた。泣くことでメリアが少しでも救われることを願って…。そう思うと不思議と力が湧いてくる気がした。


~~~~~~~~~~~~~~~


 水の落ちる場所にたどり着いた。目覚めた場所と同じで半球の形をした広場だった。広場の左端に水が溜まっている。

 透明だな…。これなら何とか飲めるか?

今はぐっすりと寝ているメリアを起こす。


「メリア…起きて」

「…ん?シロ?ここは?」

「残念だけどまだ出口じゃない。けど水が見つかった。多分飲めると思う」


 まず僕が落ちてくる水を貯めて飲んでみる。うん。普通においしい。続いてメリアも同じように飲む。


「…おいしい」

「ああ。うまいな。じゃあメリアはしばらくここで休んでいてくれ。僕は近くに魔物が居ないか確認してくるから」

「1人危険…私もいく」

「メリアは休んでないとだめだよ?」

「ダメ…。」


 メリアは立ち上がろうとするがバランスを崩す。僕は咄嗟にそれを支える。


「そんな体じゃ戦えないでしょ?

 いいからここは僕に任せて」

「……」


 メリアは悔しそうに下を向いた。僕は軽くメリアの頭を撫でててやる。なんだかその行為は懐かしく感じた。昔もこうやって誰かを撫でていた気がする。

 メリアは一瞬驚いた顔して意を決したかのような声で言った。


「手をだして…」

「手?」


 僕は言われたとおりに手を差し出す。メリアは優しく僕の手を両手で包み込んだ。包み込んだ手から美しい赤い光が発せられた。すると体中から力が湧いてきた。この感じは僕は最近体験したことがある。今使ってる剣を引き抜いた後メリアを助けようと動いた時と似た感じだ。でも少し違う。

 メリアはゆっくり手を放して壁にもたれるように座った。


「…何か変な感じしない?」

「え?力が湧き上がってくる。これならウルフ程度なら1人で何とかなるかもしれない」

「…ん。頑張れ」


 限界がきたかのようにメリアは意識を失った。そっきのはメリアの力を僕に渡した感じか。こんな体なのに無茶して…。本当は僕が居ないほうがメリア的には効率がいいはずだ。

 それでも一緒に居てくれるのはメリアが僕のことを心配してくれているからだと思う…。

 なんであんなに厳重に拘束されていたんだ…。考えても答えはでない。メリアは優しい普通の女の子なのに…


 僕はメリアを置いて歩き出した。今は考えるよりメリアがくれた力を無駄にしないように魔物を倒して食料を確保することだ。幸い水はある。


 今なら何でもできる気がする。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ