第四話 緊急会議
「と、いうわけで。会議、はっじまっるよー!」
王子の広い部屋で、緊急会議を始めることにしました。
司会進行はこの私、シャノン・フリエル。
地べたに座るは失恋中の金髪碧眼イケメンことフローレンス王子、それに、私の部下であるメイドのララとリリーである。
「シャノン様、今日も卑しいわたくしめをお導き頂けるのでしょうか」
空色の髪のショートカット。私を宗教か神格化して見ているのがララ。
というか、ララさんや。これは王子の為の会議だと何度言えば解るのかね。
「嗚呼、お姉様の阿呆さは、本当に素敵ですぅ。けれど、真剣モードのお姉様はもっと素敵ですぅ。昨日はイザドラ様に甘えられて、リリー寂しかったんですよぉ?……ところで、お姉様、今夜ご予定はおありですか?」
桃色の髪のふわふわサイドテールで、私の何かを狙っていそうなのがリリーである。
って、どうしてイザドラに甘えたことを知っている。あの場には私とイザドラだけだったはずだ。イザドラの家は王家に次ぐ権力を持っている。そこの警備を潜り抜けるなんて……私はこの子のストーカーに怯えればいいのか、隠密の才能に怯えればいいのか解らないよ。
「僕、一応王子なんだけど……これ、不敬罪……」
視線を扉の方に向け、誰かに見られることを王子は恐れているようである。
「シャノン様が座りなさいと仰られたのなら、王子といえど従うべきです」
「お姉様のゆーこと聞けないって言うんですかぁ?」
「うちの優しい王子が、不敬罪なんかで罰する筈がないです」
「………………」
さ! うちの大事な王子の為に、頑張るぞ!
「………………」
三人集まれば文殊の知恵というので、人数が多ければ良いと思っていたのだけれど、どうやら私は人選ミスをしたようだ。というのも、リリーとララの案がどれも使えそうに無いものだったからである。なんとかして国王陛下に許しを乞おうというのに、リリーは私にべたべたしてきて、自業自得だと言い張り、ララは悩んだ結果が王子以外の王族を皆殺しだった。ララさんや、それすごい単純な方法だけど、すごい単純に駄目だね。
「新しい国、フラーレンス王国を作る」
リリーが王子をディスッてきた。
「なるほど。そしてシャノン教をその国に広めるのですね」
何故、ボケにボケを重ねるんだララさん。
「国を作るというと、立地的にはここから……」
あんたまでボケるのかよフローレンス王子!!
いや、後半の二人は素だな。うん。王子は律儀に考えただけだろう。
とはいえ、やばい。
話がずれてきた。
ここら辺で元に戻さなくては。
「おっほん。いいかね。議題はどう国王陛下にアピールするかだ」
「だ……ダイヤモンド」
「ど? どうしてお姉様にこの愛が伝わらないの……のですよ王子」
「の、の、のー…………の?」
完璧に飽きちゃってるよ!
上司である私の目の前でしりとり始めちゃったよ!
王子、律儀だよ!
話にならなくなってきたので、緊急会議は皆でしりとりをして終えたのだった。
すみません。これからも度々、ころっとコメディモードに急変すると思います。誠にすみません。