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 ぼくらは村で話し合った。

「どうしたら、あの怪物に勝てるかな」

「それは、真理の世界にある本物の完全な剣を手に入れるしかないと思う」

「どうやったら、真理の世界にある本物の完全な剣が手に入る?」

「わかんない。真理ってどこにあるのかな」

 プテラはそういって、口をつぐんだ。

 真理とはどこにあるのだろうか。

「真理……真理……」

「ああ、たぶん、真理って心の中にあるんだよ。心の中に真理の世界にある本物の完全な剣、イデアの剣があるんだと思う」

 ぼくはちょっと驚いた。

「心の中かあ」

 ぼくは瞑想した。

 この苦しい人生で、ぼくは幸せになりたい。真理なんてどうでもいい。だけど、今は真理の剣が必要だ。ぼくには、真理の剣が必要なんだ。

 そう考えていたら、目をつぶっているのに、何かがぼくを呼ぶ感じがした。ぼくは宙に手をのばし、つかんだ。そして、ぐっと引っ張る。

「ああっ」

 ぼくもプテラも驚いた。

 なぜか、いつの間にか、ぼくの右手に真理の剣、イデアの剣が握られていたからだ。

 真理の剣は、透き通るように白い刃をした完全なる本物の剣だった。

「なぜだ。どうしてだろう」

「わからないけど、この世界はいずれ善のイデアに至るというから。神さまの助けがあったのかも」

「善のイデア? 何だい、それは」

「ううん、なんでもない」

 プテラははたっと横を向いてしまった。


 これで怪物にも勝てる。

 ぼくらは翌朝、再び、恐怖の森に入って、洞の中をのぞいた。いる。怪物がいる。赤いグリフォンがいる。

「いくぞ」

「うん」

 ぼくらは怪物に襲いかかった。今度はぼくの右手には真理の世界の本物の完全な剣がある。イデアの剣がある。

 ずさっ。一振り、二振り。

「それ」

「ぎゃあ」

 怪物は完全な剣によって切り裂かれ、傷ついて死んでしまうところだった。

「ははははっ、人間どもよ。よく真理の剣を手に入れたものだな。それならば、我も本当の姿を示さねばなるまい。見るがいい。我が本当の完全なる姿を」

 そして、赤いグリフォンは、真っ黒なグロテスクなキメラへと変身した。

「我こそは悪のイデアそのものである。完全なる悪というものを思い知れ」

 ぼくはプテラの手をつかんで、逃げ出した。

 悪だ。こいつは悪そのものなんだ。

「ダメだ。完全な剣だけじゃ、あいつには勝てない」

 そして、再び、森を出て、村に帰った。


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