表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
双翼の破滅波槍  作者: カンフル
一章 暗部墜落編
6/13

世界観というか、世界情勢の説明のようなもの

「それじゃあ、6時間目、歴史の授業を始めるぞ」 






 第三次世界大戦。


 始まるのも早ければ、終わるのも早い。そんな戦争だった。




 ある日、中国とオーストラリアの間で、とある問題が起こった。


 中国人の大きいグループがオーストラリア内で事件を起こし、中国はそれを否定した。


 その後、なんの思いがあったのか、中国はオーストラリアに、貿易拡大の要請を出した。しかし、オーストラリアはそれを拒否、2国間の敵対関係が強まった。


 そしてある時、中国が北朝鮮と協定を結び、オーストラリアへと攻めこんだ。


 しかし、その動きを予測していたのか、オーストラリアはアメリカ合衆国と軍事同盟を結んでいた。


 更に、当時のオーストラリアは西アジアの国々と関係を持つ運動を進めており、それに賛成する意見を持っていた西アジアのいくつかの国がオーストラリアに加勢した。が、反対の意見を持っていた国々の一部が、逆に中国側へと加勢する事態が発生した。


 このころ中国、北朝鮮は、オセアニアにある他の国をほとんど制圧しており、オーストラリアとの直接対決となる直前だった。


 国連は、忠告を聞かずにここまでのことをした中国、北朝鮮に対し、国連軍を送り出した。が、なんと中国、北朝鮮軍は、その国連軍を破ってしまった。


 それは何故か。


 中国、北朝鮮軍は、「彼ら」を戦場に送り出したのだ。



 当時世界中に出現し始め、一部の人間から差別的な扱いを受けていた者達。


 普通ならばまずあり得ないことが『できる』、奇術師を。



 奇術師のことを何も理解していなかった当時の世界各国は、彼らを『保護』という名目で回収していた。利用できるのか否か、判断しかねていた各国の頭だが、中国と北朝鮮。この2国は他の国に先んじて、軍隊に奇術軍を作っていた。





 そして、第三次世界大戦は始まった。



 アメリカを味方とし、安心してさえいたオーストラリアだが、相手が世界初のシステムによって、国連軍を破ったとなっては、戦況は予測できないものとなる。


 実際に戦いが始まると、戦場は予測以上に、中国と北朝鮮が支配していた。


 焦ったアメリカは、韓国の軍隊に支援を要請、韓国は韓国はこれを受諾し、北朝鮮の戦力分散を狙った。


 しかし、アメリカの予想より、北朝鮮の持つ奇術師は多かった。普通の軍隊しか持たない韓国では、逆に北朝鮮に制圧されてしまう危険が高まった。


 アメリカに利用できて、北朝鮮、中国と敵対している国は、あと1つしかなかった。が、その国は軍隊を持たない。あまり大きな戦力とは期待できない上に、断れる可能性が高いアメリカは当初、かなり迷っていた。貿易関係などで、その国に脅しをかけることも考えていた。


 が、韓国を弱体化させ、その人員がオーストラリアへ送られてくるようになると、アメリカはなりふり構わず、その国、日本へと応援を要求した。


 日本は軍隊を持たない。が、なんと日本は、すぐさまこれを受諾した。


 日本は待っていた。アメリカから支援の要求が来るのを。


 自分から軍隊を作って他国を攻めるのではなく、「他国からの支援要請が来たため、仕方なく軍隊を作った」という状況となるのを。


 その通りの状況となった日本は、既に軍隊を作る準備は完了していた。


 そして日本が出撃すると、世界中が驚嘆した。


 日本の奇術師は、おおさつよさ、共に世界一だった。


 日本が奇術軍を持っていたというのは、アメリカやオーストラリアにとって嬉しい事だった。



 当時は。





 日本の奇術軍により、北朝鮮はあっという間に制圧され、中国も、その後すぐに戦闘不能の状態へと陥った。


 そうして、第三次世界大戦はあっけなく終了した。


 日本は戦力を持たない事を掲げているのではなかったのか。当時、世界中の首脳陣がそう思った。


 しかし、日本に軍隊を作らせたのはアメリカである。


 そのため日本は、「我々は、奇術師達を戦力としてはいなかった。が、アメリカから、『出来る限りの戦力を以て、中国、北朝鮮の制圧を支援してほしい』との要望があったため、仕方なく奇術師達を、新たに作った軍隊へと入れた」という言い訳が出来るのだ。


 




 それから、世界は変わっていった。


 第三次世界大戦で、アメリカ側へと加勢した西アジアの国々が、中国側へと加勢した国々を制圧、統合し、西アジアの全てと一部の中央アジアの国が合併し、西亜共栄連邦という国ができた。


 中国に制圧されたオセアニア諸国は、オーストラリアと合併し、オセアニア連合となった。


 アジアの北に位置する国々の幾つかは、ロシアに吸収され、ロシア・ソビエト新連邦となる。


 アフリカは、南北で分断され、北アフリカ協定連合、SAC同盟が誕生。


 アメリカ大陸の北にある数々の島は、その全てを1つの国として独立、VQBA三島連合となる。


 南アメリカの大半は、ブラジル、アルゼンチンを軸とする、BAAC連盟となる。


 ヨーロッパは、イギリス、ノルウェー、フィンランド、スウェーデンの4国がUNKE条約を結んだ以外、特に国自体に変化はない。しかし、各国の結び付きが以前より格段に強くなっている。



 なぜ、こんなに急速に各国が合併し始めたのか。色々な理由を持っているが、どの国にも共通の理由として、「日本に対抗するため」というのがある。


 日本は、大戦後、韓国と共に中国の領土の一部を手にいれた。そこに、日本の支配下にある国として、新満州国を設立した。以前の満州国とは違い、その存在について各国に了解を得ている新満州国は、日本にとっての良い資源庫となった。それによる経済発展と、第三次世界大戦の賠償金もあり、日本はかなりの金銭的余裕を持つ国となった。




 今ではほとんどの国が奇術軍を所有しているが、その中で最も強い者が持つ称号、国最級奇術師を持つ者が2人もいるのは、日本とアメリカ、イギリスの3国のみである。そして日本には、国最級奇術師と同等の力を持つ、「天席」と呼ばれる奇術師が、6人も存在する。


 つまり、第三次世界大戦から30年近く経った今でも、日本の奇術軍が世界最強であることに変わりはない。




 近年、日本が保護しようとした小さい国の幾つかを、アメリカが先に保護するという事態が度々起こっている。アメリカとしては、たとえ保護という名目でも、日本がこれ以上戦力を拡大させることを阻止したいのだ。


 だが、これにより、日本とアメリカの関係が次第に悪くなって来ている。今のまま戦争となれば、日本が勝利する可能性が大きいだろう。


 そのため、アメリカもなかなか動き出せず、2国の間は冷たい雰囲気となっている。





「今日の授業はここまでだ。終学活を始めなさい」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ