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カラフル  作者: 陽向
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11/12

閑話 1

描きたい描きたい! と思ってたお話です。

軽い気持ちで読んで、共感して貰えると嬉しいです 笑

* 君たちと話すキッカケ *



 窓際の後ろから二番目の席に座り、窓の外を眺めていた。

 今は五月の初め。五月晴れの蒼穹が眩しい日だった。

 と言ってみたものの、俺には色なんて分からないけど。今日の空は灰色が濃いから、きっといい天気なんだろうと思っただけだ。

 眩しすぎる空を見て目が眩む。思わず教室の方に顔を逸らすといつも通りの風景が広がっていた。


「きのこの○とたけのこの○、どっちが好き⁉︎」

「そりゃ、きのこの○だろ!」

「えー俺はたけのこの○だなぁ」


 いつも思うけど、こいつらテンション高すぎ。毎日バカ騒ぎしていてよく飽きないなと思う。

 って言うか、毎回俺の席の近くで騒いでいるのは何故?


「本橋は?」

「きのこ。佐々木さんは?」

「私、たけのこー‼︎」

「見事に分かれたな。これじゃ決着つかないか…こうなったらクラス全員に聞いてみるか」


 マジか…クラス全員に聞くって。




「16対17か…きのこが勝ってるね」

「まだいるよね?」

「佐々木さん、まだって…一色?」


 各々、談笑していたはずの視線が一気にこちらに向いた。

 まさか、残りって俺?


「一色君は、きのこの○とたけのこの○どっちが好き?」

「どっちでも…」

「どっちかと言うとどっちが好き?」

「どっちも…」

「どっち?」

「…たけのこ」

「「よっしゃー! オレたちの勝ちー‼︎」」


 何でだよ。

 俺の一票で同点だろ? 勝ってないし! とは突っ込めない。ここで絆されたら、後々辛くなるのは俺自身だ。

 馴れ合わない。仲良くもしない。


 結局あの後、きのこからたけのこの方が好きだと意見を覆した女子が沢山いたため、実際にたけのこが勝利した。

 何だ、これ。




・・・




 いつものように窓際の席に腰掛け、コーヒー牛乳を飲んでいた。

 今は昼休み。

 俺の昼食はいつもコンビニで買ってきた適当なものと、自販機の紙パックの飲み物だった。

 うぇ、甘っ。牛乳にすればよかった。


「購買のあんぱんはこしあんが最高だ!」

「アホか! つぶあんに決まってんじゃん!」

「何言ってんだよ!あんぱんはこしあんだろ! なぁ、佐々木さん⁈」

「私はつぶあん派!」

「なんてこった! これは学年全員に聞かないとダメだ!」


 おいおい。この前のクラス全員から、とうとう学年全員になったぞ。

 こいつらあれだ。暇人だ。それを真剣にやってるんだからすごいな。次は全校生徒にでもなるのか?


「148対136でこしあんの勝ちだな」

「いや。まだだ!まだ一人聞いていない

よ! ねっ、一色くん!」


 そう言って勢いよく振り向いてきた女子、佐々木 咲季(ささき さき)を見つめる。


「こしあんと粒あん、どっちが好き⁈」

「どうでもいい」

「「出たよーツンデレ王子!」」


 いい加減にその呼び名やめてほしい。

 ワイワイ騒いでいる男子の中で隣に座っている咲季のその瞳は真剣そのものだった。

 さっきまでキャッキャ言って笑顔で騒いでいたのに、今は真顔だ。

 表情がクルクル変わる女の子。

 ここで真剣に答えないと失礼か。


「俺は…」

「俺は?」

「俺は、あんこが嫌い」

「…えっ?」

「でももし食べるとしたら粒あん」

「………」


 何故かクラス中が静まりかえった。

 えっ、何か俺変なこと言った?


「おい! 誰か購買で粒あんのあんぱん買ってこい‼︎」

「えっ…」

「ガッテン承知! すぐ行ってきやす‼︎」

「ついでに牛乳もだ‼︎」

「それは私が行ってくるよ!」


 えぇぇぇ…佐々木さんまで乗り気か…


「俺、欲しいって言って…」

「いいってことよ!」


 だから人の話を聞けよ‼︎ 

 これだから面倒くさいんだよ。友達なんて。




 それから程なくして、あんぱん(粒あん)と所望していた筈の牛乳が目の前に置かれた。

 クラス中の視線が一気に集まっているのが分かる。初めてこのクラスにきて自己紹介をしたときを想い出した。

 心臓、痛くなってきたかも。


「遠慮するな‼︎ 食べてくれ!」


 だからあんこが嫌いと言ってんだろうが‼︎ とはもう言えない状況だった。

 何だこれ、拷問か。

 クラスの視線を一身に背負い、あんぱんを口に頬張る。

 それを無言で見守るクラスメイト。

 昼食時にはあるまじき異様な光景。


「………ぅまい」


 口から出ていた。

 餡は甘過ぎず、程よい甘みで粒の残り具合も絶妙だ。生地も柔らかくてもちもち具合も申し分ない。田舎のおばあちゃんが作るようなどこか懐かしい味のあんぱんだった。

 思わず笑みが零れていた。


「一色君が…」

「えっ?」

「一色君が、笑ったー‼︎」

「「ぅおおおお‼︎ 粒あんすげー‼︎」」


 咲季が大声で言ったために、クラス中が騒ぎ出した。

 だから何だこのクラス。

 ホントにこいつらって。


「はっ…ホントにお前らアホだな」


 噴き出して笑っていた。声上げて笑ったのなんてどれくらいぶりだろう。

 毎日バカ騒ぎするのは勘弁だが、こいつらと仲良くするのも悪くないかもなと思い始めた。



 結局あの後、こしあんから粒あんの方が好きだと意見を覆した女子がー…(以下省略)。


 だから何だ、これ。








ちなみに私は粒あんが好き。

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