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二つの影

***


月が出ていた。


見事な満月だった。月はいつもより夜を明るくし、川の水面に光を落としている。


川沿いに咲く桜は、もうすぐ満開を迎えようとしていた。花吹雪が舞う。


川べりには、二つの影があった。


「何故、余計な事をする?」


小さな影が、凄みのきいた声で問うた。細長い影は、紫煙を吐き出す。


「変な邪魔が入ると、計画が狂うだろう」

「……お前は、一人でも人を『不幸』から遠ざけたい」

「そうだ。そのために、貴様を多少は当てにしているのに……」


まったく……と少女がぼやく。


「だが、それで香坂は幸福なのか?」


細長い影が、煙草をくしゃりと潰した。


「貴様が、あの娘の幸福を語るとはな」

「彼女に暗い顔をさせるのはやめにしないか? 黒猫。母親と同じ道を辿らせるのは……」

「貴様になんぞ、言われたくはない」


黒猫ーーハルは、ふんと鼻を鳴らす。


「この、死神崩れが」


彼女の鋭利な眼差しにたじろぐことなく、死神ーー久保田は、彼女の瞳と同じ金色の月を見上げた。


***

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