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鉄板土下座、爆誕!

 地の文(語り)は、激渋イケオジボイスでの脳内再生を推奨。作者オススメは声優の「若本 規夫」氏(あくまで作者の個人的なボイスイメージです)

 声のイメージが湧かない方は、サザ◯さんのア◯ゴさんを想像するといいかもしれません





 それはまるで「悪戯」を象ったような音。


 ギギギギギギギギィィィィィィンッ‼︎


 それは風のようで、だが、そうではない。

 だからきっと人によっては「悪ふざけ」。

 だが、当の本人は至って真剣だから困る。


 真剣に本気で考えぬいた結果の「騎乗」。


「ヒャッホーーーーーーーーイ‼︎」


 初心者装備に身を包み、何故かギロチンブーメランである「儂」の上に土下座している不審者が、激しい火花を散らしながら、砂塵のカーテンを切り裂いていく。


 そして、その勢いを殺すことなく、神聖な決戦場へと遠慮することなく乱入した——



「意味がわからない」とみなが口を揃える。

「とにかく速い」という評価も与えられる。


 同時に、ひとつの疑問を脳裏に浮かべる。

 誰もが「それ」を見ると、こう思うのだ。


 よりにもよって、何故「土下座?」、と。



 黄金——その二文字を名に冠している事実、それ自体が、その名が与えられた地に、ある種の幻想を思い起こさせるのだろう。


 例えばそれは、荘厳さや美しさ、煌びやかさなど、どちらかといえば好意に類するであろう思考のフィルター。


 きっと誰もが、その二文字を認識したと同時に、勝手に、それとなく着用されていく。


 その光景、黄金色の霧が如く。


 だが、違う。いや……今は違うが正解か。


 この地は、『ナルカド商国』が誇る大陸最大級の資源採取地であり、最悪の死亡率を以て死地と定義される「魔物領域」。


 かつて、その威と名を『ゼスラーミア大陸』全土に轟かせた『エル・ラジス帝国』、その跡地。


 連綿と繋がれゆく数多の命の輝きを吹き込むように築かれた、いと気高き黄金郷、その死に体。


 その名は、『黄金遺骸の大平原エル・ドラド・ステップ』。


 さて、この地、最大の特徴は「砂」。


『黄金砂塵』と呼ばれるそれは、何者であろうと差別することなく、平等に絶望を与える「刃」のような黄金の砂なのだ。


 それにしても、あの黄金郷の成れの果てがこの有様とはな……なんとも寂しいものよ。


 ところで、そんな趣や風情感じる場所に、なんとも無粋な輩が来とるようじゃな——


 舞い上がる金属粉と夕陽が混ざり、血のような橙色に染まる平原。その中央では、白銀の魔導甲冑が神々しく輝く。


 かつての栄華が垣間見える跡地は、名誉を望む者たちの喊声に埋め尽くされていたのだ。


 ——といったところか。


 耳障りのいい台本に導かれて。

 己の知らぬ間に、英雄の紛い物となって。


 千を超える役者気取りの道化たちは、自らが舞い踊る舞台を必死に整えておる。


 それにしても、こんなことの何が楽しいのか、まったくもって理解し難い。


 右にならえと知らない誰かに言われたら、待ってましたと左に駆け出して。


 偉そうに指図したバカを揶揄からかうのが楽しいだろうに……なあ、()()


 歯に絹着せる気がまったくない儂の言葉が届いたのだろう、小僧は、マスクの奥でくつくつと笑みをこぼしておる。


「神聖な静寂である」だの、「計算され尽くした様式美である」だのと、この地の誇りを踏み躙る愚か者たちが好き勝手に吠える。


 その場の全員が「壮大に彩った演目がフィナーレを迎えるのだ」と確信し、高揚しておる。


 だが、そうはさせんよ、残念ながらな。


 おい、小僧。確かこんな言葉があったな——そうは問屋が卸さない、だったか?


 くっくっく……物理法則を嘲笑うかのような異音によって、豪奢で荘厳な演目の「台本」が見るも無残に引き裂かれる——なんて光景、中々に見ものじゃろ?


 行くぞ、小僧! このゴキゲンな音を、もっともっとコイツらに聴かせてやれい!


 ギギギギギギギギィィィィィィンッ‼︎


 初心者装備に身を包み、何故か儂の上に土下座している不審者が、激しい火花を散らしながら、砂塵のカーテンを切り裂いていく。


 そして、その勢いを殺すことなく、神聖な決戦場へと遠慮することなく乱入した——かに見えるじゃろ?


「ヒャッホーーーーーーーーイ‼︎」


 くかかかかかっ! バカめ、素通りじゃ!


「その進路は、全長100メートルを超える黄金の巨人の股の下。爆速で駆け抜けていくその様は、まるでスキーかスノーボードの直滑降のようでありながら、決定的に何かが狂っていた」……やれやれ、どうにも堅苦しい口調は面倒じゃ。


 わかりやすく要約すると……何故か儂のことを土下座で乗りこなし、巨大な『守護者』の股の間を「ヒャッホーーーーーーーーイ‼︎」と歓喜の叫びを挙げながら爆速で通り抜けていく、初心者装備で身を固める不審者ってところじゃのう。


 この姿、見れば見るほど、最高にクールでイカれておる。だがそれがいい、じゃろ?


 何より、お堅いバカどもを揶揄うには、中々どうして適しておるな、この騎乗法は……実に面白い。


 ただ、それはそれとして……こら、小僧! 儂のことをもう少し大事に扱わんか!


 ところが、この小僧、儂の苦情を適当にあしらい、マスクの奥で不敵に笑っておる。


 やれやれ、本当にふてぶてしい小僧だ。


 その後、速度を落とすことなく崖を登り切ったのち、儂を地面に突き立て、少しだけ息を入れる。


 時間にして二、三分ほど経ったかの。


 小僧は、儂を地面に下ろし、当たり前かのように「土下座」で疾走し始めよった。


 それにしても、だ……土下座で移動することの意味も意義も理解はできる。


 だが、その着想に至る精神構造、それが作られた経緯だけが未だにわからん!


 ま、面白いから許してやるがな。



 最大手攻略クラン『シルヴァン・エギル』が踏破を宣言してから「現実世界換算で一ヶ月」。


 つまり、「仮想世界での一年間」の集大成である戦いの最中、あやつらの眼前を土下座姿の小僧が機嫌良く爆走していった。


 しかもその光景が、メイガスメイズ公式配信のそれを含めた『50万人』を超える視聴者に、爆笑と驚愕、そして言いようのない謎の敗北感を与えたのは言うまでもない——とのことらしい。


 はっ、ザマァみやがれ!


 さて、少しは真面目に「読む」かの。


 その日、その時。

 仮想世界に蔓延していた「秩序じみた停滞」、それと同義である「偽りの摂理」。


 そんな「欺瞞」を破壊ではなく、面白おかしく変質させる少年——『永瀬 乃亜』、その二つ名が産み落とされた。


 曰く、『鉄板土下座』。


 MMORPG『MAGUS(メイガス) MAZE(メイズ)』。


 フルダイブVRの歴史において神ゲーと謳われしその美しい箱庭に、混沌もたらす狂気が降り立ったその日の夜。


 匿名掲示板には、その異常事態を告げるかのように、新規スレッドが次から次へと立ち上がっていった。


 その勢い、燎原の火が如く……む、どんなスレがあるか知りたいじゃと?


 それは例えば——【悲報?】エギルの最速攻略配信、謎の鉄板土下座に全てもっていかれるwww【朗報!】——こんなスレじゃな。

 お読みいただきありがとうございます!


 お話を気に入っていただけましたら、ブクマしてくださると嬉しいです!

 え? 下の☆に色までつけてくれるんですか⁉︎


 嬉しくて筆が進みます、感謝!ヾ(*´∀`*)ノ

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こんにちは、こんばんは。Xから来た唐揚げ大佐です。VRMMOが題材の小説で面白い設定だなと思いました。イケおじナレーションを想像推奨ってところも面白く確かにそれで読んでみると自然としっくり来たような気…
冒頭から「鉄板土下座」というあまりにも強烈な絵面で一気に心を掴まれ、いや、笑いました。 荘厳な決戦場を、土下座姿で爆走する乃亜がすべて持っていく展開が痛快です。 加えて、激渋イケオジボイスでの脳内…
自分も若本ボイスの脳内再生余裕でした! しかし文章に物凄く勢いがありますね。 楽しんで書いてる姿が目に浮かびます。
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