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幽霊母ちゃんの料理教室  作者: くろくまくん


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5/14

プチデートと桃のパフェ

 お昼のパスタを食べたあと、晩に母親は出かけるというので、幼なじみのチィとファミレスで外食をすることになったタクミ。


 チィとのプチデートはどうなるでしょうか。

 ピピピピ ピピピピ ピピピピ


 携帯のアラームの音が鳴っている。お腹いっぱい食べたあとは、やっぱり眠くなる。


「ストップ!」


 アラームを声で止める。指でボタン押して止めたほうが早い時もあるんだけど、声で止めれた時のほうが達成感があるのだ。


 中途半端に長く寝ると、余計に頭がぼーっとしてくるな。顔を3回洗って目を覚ます。母親は起きてからは見ていない。


「母ちゃん?どっか出かけてる?」


 返事がない。もう出かけたかな?なんか用事あるって言ってたもんな。もう少しで16時になるところだったから、チィにメールを入れておいた。


『何時にどこで待ち合わせにする?』


 昼寝する前に歯磨きをしていなかったから、歯磨きをした。携帯が震えてメール受信を知らせている。


『ファミレスがあるとこ、学校の向こう側だし、タクちゃんとこ通るから、私がタクちゃんちに迎えにいくね。出発する時にまた連絡するね』


 既読マークをつけておいた。


 なんか1度寝てしまうと、もう出かけるのが面倒になってくるよな…。まぁでも、僕から言い出したことだから、仕方ない。


 チィから連絡があるまで、少し冷蔵庫の整理をした。今のところ食材もだいぶ豊富だ。これでどのくらいもつのかな?1週間くらいかな。冷蔵庫の整理をしてたら、チィからメールが来た。


『16時半にタクちゃんちに着くくらいにいくね』


 メールだと標準語になるチィ。まぁそんなものなのかな。服を着替えて、出かける準備をする。そういえば、外で食べるのって、学校以外だとほとんどなかったな。たぶん、母親がほとんどご飯を作ってくれていた。


『下についたよー』


 チィが着いたみたいだ。僕の住む部屋は団地の3階なので、外に出て階段を降りていく。途中で下で待つチィが見えた。笑顔で手を振っている。僕も手をあげた。


「タクちゃん。ちょっとずつ気温も下がってきて、寒うなってきたやんねー」


「うんうん、ほんまやなぁ。最近まで暑い暑い言うてたのにな」


 ここからファミレスまでは歩いて20分くらいだ。ゆっくり歩きながら行く。


「あ、ごめんな、晩ご飯付き合ってもらってな。悪いな」


「ううん、ぜんっぜん大丈夫。てか、プチデートみたいで、私少し嬉しいわ」


 ん、そうなのかな。チィは笑顔だけど、少しだけ震えていた。寒いのかな?僕は手を出してチィに言う。


「寒いん?手ぇ繋いだろか」


 チィが少し顔を赤くした。そして、笑顔で手を出してきた。


「うんっ」


「ファミレスでなんか温かいもの食べよな。日が沈むと少し寒うなるな」


「そやね〜。あ、でも今は温かいわ」


 なんていうか、チィって元々こんな感じだったっけ。もう少し強めというか、いつも明るくて元気だったような。最近元気ないんかな。







 ファミレスに着いた。


「いらっしゃいませー、何名様ですか?」


「2人です」


 席に案内された。土曜日だからか、少しお客さんは多かったけど、待たずに座れた。


「タクちゃん何たのむ?とりあえずドリンクバーは頼むやろ。私何にしよかな〜」


「んー、ミックスピザとネギトロ丼と、あとコーンスープにしよかな。あ、チィ今日の分は出すから、好きなもん言うてな」


「え、え、ちゃんと出すからええよ〜。ママにお金ももらっとるし」


「ええねん、僕が誘ったんやし。また今度学食でカレーおごってや。で、何にするん?」


 ここのファミレスは席のタブレットで注文なので、僕は自分の分を注文しはじめる。


「じゃあお言葉に甘えるわ、今回は。えー、どうしよ。じゃあ私カルボナーラにしよかな。あと、ミネストローネ。あとドリンクバー2つやね」


 注文を送信してから、ドリンクバーと水を入れにいく。僕は食前なので、あったかい緑茶。チィはホットレモンティーを作っていた。コーヒーは食後に飲もう。


「タクちゃん、そういえば卒業したら就職やっけ?どこで働くん?」


「んー、就職なのは決めてるんやけど、どこでとかは全然わからんなぁ…チィは?」


「私は、ママと同じ介護士を目指そうと思ってるねん。でも専門学校とかじゃなく、働きながら資格を少しずつ取っていこうかなって思ってるんよ」


 チィの母親は介護の仕事をしている。どこかの施設で働いていて、日勤と夜勤と半々くらいみたい。大変そうだな。


「チィも介護士を目指すんや。えらいやんか。僕はどうしよかなぁ」


「まだ就職の希望出すのも少し先やし、先生とかに相談しながら決めていったらいいやん。あ、そうそうタクちゃん」


「ん?なにー?あ、注文きたわ」


 僕の頼んだミックスピザ以外の注文が来た。


「いただきまーす。ネギトロ丼久しぶりに食べるわ。母ちゃんがあんまりネギトロ好きじゃないからご飯にもでーへんねん」


「いただきまーす。あ、タクちゃんのお母さんそうなんやね。海鮮が苦手なんやろか?あ、タクちゃんさっき言いかけてたことなんやけどな」


 ネギトロ丼を食べながらうなずく。


「学校ある時、お昼ごはんなんやけど、前は学食で食べてたやろ?作れる時は私がおべんと持っていってあげよか、と思って…」


「あっ、ほんま!そりゃ助かるわ。前な、朝から弁当づくりや!言うてうるさいから大変やってん!」


「えっ?」


 あ、まずい。


「あっ、いや、あれやんか。近所の犬がな、弁当作れ!って吠えとったんや。ありゃうるさくてかなわんかったわー」


「そんな犬おらんやろ…あ、じゃああさっての月曜から作っていくわ。タクちゃんなんのおかずが好きなん?」


「ありがとうな、助かるわー。えーなんやろ。やっぱ、だし巻き卵とウインナーかなー。でも、なんでも食べるからなんでもええよ」


「うんっ、わかったで。まかしとき〜」


 ミックスピザが来た。


「チィ、ミックスピザちょっと食べる?頼んだんはええんやけど、まぁまぁお腹ふくれてきたわ」


「なんか言うてくる気がしたわ〜。じゃあ2切れくらいもらったろか」


「ありがとうな。お昼にパスタ食べたからそんなにまだお腹が減ってなかったんかもやわ」


 チィがピザをかじりながら僕のほうを見る。


「タクちゃん、ちゃんとひとりで料理してるんやなぁ〜、えらいやん」


「ま、まぁ高校生なんやからそのくらいはできるわ!あ、飲みもん入れにいこーや」


 僕はホットコーヒー。チィはピーチティーにしていた。


「これ、飲み終わったら帰る?」


「あー、うんうん。私はそんな急がんけども…どっちでもええよ」


 チィが何か淋しそうな顔をしている。ふと外を見てみると、空の雲が濃くなっているように感じた。そして、ポツ、ポツと雨がふりはじめ、あっという間に本降りになった。


「あちゃ〜、傘持ってきてへんで…てか今日雨降るなんて言ってへんかったよな」


「うんうん、最近なんか変な天気あるやんな〜。タクちゃんどうしよう…」


 声はどうしようと言って、顔はなぜか嬉しそうにしているチィ。


「まぁ、にわか雨やったらすぐやむやろし、もう少しゆっくりしよか。あ、せっかくやからデザートたのまん?」


「わぁっ、デザートええやん。あ、でも…ええん?」


 チィが柄にもなく遠慮がちに僕を見る。


「たまのプチデートなんやからええやろ。僕もちょっとパフェとか食べたかったし。半分こしたら罪悪感も半分になるんちゃう」


「わーい。私もパフェ大好き。あ、あ、この【桃の贅沢パフェ】美味しそう」


 こういうところは女の子らしいというか、スイーツが好きなんだなぁと思う。目を輝かせながらデザートメニューを見ている。まぁ実は僕も、パフェとか、かわいらしいスイーツは好きなんだけどね。だって、美味しいから。


「おー、んじゃその桃の贅沢パフェにしよ」


 タブレットで桃の贅沢パフェを注文する。名前からして贅沢だ。


「なんか、ほんまにデートみたいで楽しいなぁ~。あ、タクちゃん明日はなんか用事あるん?」


「んー、特にはないけど、どうしたん?」


 またチィのもじもじが始まった。


「あ、連続やったら嫌かもやけど…明日どこか公園とか、外に一緒に出かけへんかな〜、て思って」


「あー、うんうん。どっちにしても休みの時は朝から歩いたり、ぶらぶらしてること多いから、ええよ。あの噴水の公園とかまで行く?」


 チィが満面の笑みでうなずく。こういうとこは幼いんやけど、かわいらしいよな。注文したパフェが来た。めちゃくちゃ美味しそうだ。


「うわ~!めちゃくちゃ美味しそう!わ、わ、どっち先に食べる〜?」


 聞きながらすぐにでも食べたい顔をしてるチィ。


「おー、先に食べや、僕はあとでいいで」


「ほんま!じゃあ交代で食べよな」


 パフェは何層かになっていて、上から桃の果実、桃のシャーベット、桃のソフトクリーム、ビスケットの砕いたもの、真ん中に桃のゼリーとコーンフレーク、下にホイップと桃のソースが入っていた。

パフェの醍醐味はやはり食べるごとに味が変わっていく、これなんだよな。


 チィは幸せそうな顔でパフェを食べている。

途中何回か僕も食べさせてもらう。


 外をみると、もう雨はやんでいた。



◇◆



 支払いを済ませ、外に出る。


「タクちゃんごちそうさま。ほんまにありがとうね」


「うんうん、全然ええよ。こっちこそ付き合ってくれてありがとうな」


 雨上がりの外は、さっきより更に肌寒くなっていた。雨がふるごとに、季節は進んでいく。


「あっ、明日私、サンドイッチ作ろっかな〜。タクちゃんサンドイッチ好き?」


「おっ、サンドイッチええやん。できたらタマゴはつぶすやつじゃなくて、厚焼きタマゴのやつが好みやわ」


「なんなんそのこだわり〜。まぁわかったわ、頑張って作るで〜」


 チィがそんな色々作れるの、あまり知らなかったな。お母さんに教えてもらったりするんだろうか。僕の住む団地の下で別れる。チィの家も歩いてすぐだから、送らなくてもいいみたいだ。


 階段を上って家にはいる。


「母ちゃんただいまー」


 あ、そっか。今日はいないんだった。


 寝てしまう前にお風呂に入るか。先に歯磨きをして、風呂に入った。




◇◇




 チィにサンドイッチの具、ハムチーズきゅうりも好きだということをメールで送った。しばらく待っていたがメールは返ってこなかった。疲れて寝てしまったのかな。


 少し早いけど、寝よう。



 四品目…じゃなかった。


 ファミレスの桃の贅沢パフェ、


 ごちそうさまでした。




タクミんちの冷蔵庫


今回のお話では何も作っていないので、冷蔵庫の中身はそのままです。


桃の贅沢パフェ美味しそうでしたね。


明日はついに、ハンバーグを食べれるのか?


またしても作り損ねるのか。


次回をお楽しみに。

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― 新着の感想 ―
なんだか。お腹が空いてきました。 ゜+(人・∀・*)+。♪ 夜食でも、食べようかなー。 えーと……。
タクちゃんはチィちゃんを幼馴染としか思ってないようですね。 随分純というより子供っぽい高校生ですね。 チィちゃんにしたら手をつないだり、ふたりで1つのパフェを食べたりデートですね。 けっこうしたたか…
ファミレスのパフェは美味しそうに見える悪魔の誘惑ですよね〜。 つい頼んでしまって金額がかさみます。 (^~^;)ゞ
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