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暁月の騎士  作者: たま
1/9

プロローグ 『目覚めた少年』

 ザザザ……ザザザザ……


「緊急……報です…」

「……県……市の交差点で……暴走車両と……が衝突……の損傷……激しく……警察は……特定を急いでおり.…..……」


            ◆


「……て」


 ……どこからか声がする。

 ……何だろう。


「…...ン!! ……目を……て……!」


 ……誰かを……呼んでいるような…。

 誰だろう……。


「目を覚まして! シオン!!」


 シオン? 誰だっけ、それ……。

 どこかで聞いたことのあるその名前を、ゆっくりと目覚め始めた意識の中で、ぼんやりとしている記憶を頼りに思い出してゆく。

 ……シオン。

 ……シオンは、俺だ。

 そうだ、それは俺の名前だ。

 …この声は、俺を呼んでいるのか。

 そうはっきりと認識すると同時に、ぼんやりとしていた意識が、だんだんとはっきりしてゆく。

 そうして、やがてゆっくりと瞼を開けると、まだ少し眩しい視界にぼんやりと映り込んだのは、今にも泣きそうな顔の、雪のように白い色の髪をした可憐な少女が、必死に叫んでいる姿だった。

 どうして、この子はこんなに叫んでいるのだろう。

 シオンは、やがてその原因を思い出す。

 そうだ。

 俺はさっき間違いなく、死んだ。

 この身体に、魔法が…直撃して。

 それを思い出したと同時に、大きな穴が空いている筈の自分の体へとすぐさま視線を移す。

 しばらくして、シオンは眉をひそめた。

 傷が…無い。

 どういうことだ?

 あれから…何が起こった?

 次々と増えていく謎に、シオンは頭を悩ませていると、目の前の少女は、ぐったりと倒れていた少年が意識を取り戻した事に気がつき、やかて目に溜まっていた涙を流すと、横たわっているその身体に倒れ込むように顔をうずめてから、泣いているからか、少ししゃがれているその声で呟いた。


「生きてる…ちゃんと、生きてる……」

「シオン……私…あなたがこのまま二度と目を覚まさないんじゃないかって……」

「恐かったよぉぉぉ」


「……教えてくれ…なんで、俺は……生きてるんだ?」


 深まるばかりの疑問を晴らすため、シオンは見知らぬ少女の言葉を遮りながらそう問いかけると、彼女は顔を上げて、相変わらず泣き顔のまま答えた。


「あのね、ミーティアが――」


 ミーティア……。

 また知らない名前だ。

 そう思ったと同時に、シオンは激しい頭痛に襲われる。

 やがてうっすらとしていた意識が完全に目覚めると、それにつれて今までの記憶が一斉に脳へと流れ込み、シオンはその不思議な感覚に眩暈と吐き気を覚える。


 (そうだ、俺は……。)

今、物語の歯車が動きだす。

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