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<15万PV達成>おっさん冒険者+レベル5  作者: 四季山 紅葉
第十一章:冥道樹林・ハーデス樹海
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冒険者+5:おっさん休み、時々依頼

 ディオを倒し、魔法陣を破壊したがディオには逃げられてしまった。

 始高天側も対策を練った。という事だろう。


 脱獄されたとはいえ、魔人化出来たラウンは死亡。

 ドーワもエルフの国で幽閉され、変態――フドシも始高天を抜けている。


 これ以上の戦力――いやノアの性格を考えると、手駒が減るのが面倒と思った可能性があるな。


 どちらにしろ、今後は始高天のメンバーを捕まえるのが大変になった。

 あとこれは直感だが、ノアは表に当分は出て来ない気がする。


 今思えばノアとの出会いが偶然――突発的過ぎたんだ。

 きっとノアは何か計画があったんだろう。


 今はそれに集中している様な気がして、そう思えるんだ。


 そして、ディオも消えた以上、これ以上ここに留まる理由は無くなった。

 エリアも悔しそうにしているが、これは仕方ない。


 私はそんな事を思いながらエリアと共に、ハーデス樹海を跡にするのだった。


♦♦♦♦


 王都に戻った私達は、最初に騎士団本部へ戻った。

 運が良かったのか、そこにはグランの姿もあって助かったよ。

 

「おぉ! 二人共! 無事だったか!」


「あぁ……何とかね」


「……今帰還しました。団長」


 元気なグランとは裏腹に、私達は疲れ切った顔をしているだろうな。


 ドラゴン・マンティス、ディオとの闘いもそうだが、ハーデス樹海も神経を削ってしんどかったから。


「……何かあったな?」


 私達の顔色を見て、グランは何とも言えない顔をで聞いてくる。

 察する程に酷い顔だったか。


 まぁ最初から報告する気だったし、丁度良い。

 私とエリアはハーデス樹海での出来事を全て話した。


 ドラゴン・マンティスとの戦闘。

 そしてディオがいて戦闘し勝利したこと、だが逃げられたこと。


 しかし魔法陣を設置していたが破壊したことも全部だ。


 それを聞いたグランは、ディオの存在もあってか、やや険しい表情を浮かべていた。


「そうか……ディオめ。魔人になんかになりやがったか。馬鹿野郎め」


「ルイス殿のお陰で勝てはしましたが、まさか転移魔法を使われるとは思っておらず……申し訳ございません」


「それはエリアだけの責任ではないさ。私にも責任がある」


 そう言ってエリアが頭を下げようとするので、私も一緒に頭を下げようとした。

 

 だがグランが、それを手で制止した。


「いや、向こうの計画を崩した様なものだ。寧ろ、良くやってくれた。――しかしディオめ、本当に騎士じゃなくなっちまったか。アイツは民を嫌ってたからな、弱い癖に良く吠える連中だと。その結果が魔人化か」


 グランは心底ショックを受けている様子だ。

 まぁエリアの前任だ。つまりは、グランを支えていたのがディオだった筈だからな。


 私達の知らない二人の関係があるのだろう。

 それにグランも立ち直ったのか、それとも空元気か。


 どちらにしろ、笑顔を見せながら口を開いた。


「とりあえず二人は今日明日ぐらいは休め。ハーデス樹海の調査や始高天の追跡はこっちでやっておくから」


「し、しかし団長!」


「団長命令だ! 休むのも仕事だぞエリア。――あと特にルイスもだ。お前は特に休んで無さすぎる」


「仕方ないだろう。休む暇がなかったんだから」


 休もうと思っても、やれ始高天だ。やれ特別な依頼だで大変だったんぞ。

 

 本当はエルフの国から帰ったら休む気だったが、まさか下着ドロボー騒動に巻き込まれるとはね。


 しかも、それでノアに逃げられたんだから笑い話にもならないよ。

 けど今回は本当に疲れた。魔人の相手はしたくないね。


「まぁ遠慮なく休ませてもらうよ。流石に疲れた」


「おう、そうしろ。エリアもだぞ! せめて一日はしっかり休め。本当は三日は休んで欲しいがな」


「は、はい……!」


 エリアもグランの圧に押されて、頷くしかできなかった様だ。

 複雑な表情で敬礼しているよ。


 責任感が強いのも良いが、張り過ぎてもいい結果は出ないからね。


 こんな感じで私達は騎士団で報告を終え、グランの言った通り帰宅した。

 二、三日は休めと言われてしまったが、無事に休めるかなぁ。


 最近の事もそうだが、休み方を忘れたかもしれない。

 そんな心配を胸に、私とエミックはエリアと別れて帰宅するのだった。


♦♦♦♦


 そしてグランに言われた通り、次の日。

 私は休んでいた。


 エミックとベヒーに餌をあげてから、二度寝をしてみたり。

 街に買い物したり、ベヒーの身体を洗ってあげたりもした。


 他にはフレイちゃんに手紙を書いたりもしたし、軽く外食もしてみた。


 良し! とりあえずは休んでいる感はあるぞ。

 

 部屋の掃除をしたり、遊びに来たミアやレイ達弟子と飲んだり楽しい時間を凄いた気がする。


 この調子で明日も休むぞ!


♦♦♦♦


 そう思っていた時間もあったんだけどねぇ。

 やっぱり駄目だった。身体が動けと叫んでいるんだよ。


 休み二日目にして、私はクロノのギルド――『黒の園』に来て、気付けば依頼を受けていたよ。


「はい依頼品の『虹の真珠』です。確認お願いします」


「はい!――えっと、はい確かに! 流石はルイスさんですね」


 受付嬢の子から感謝されながら、報酬を受け取る私。  

 もうおっさんなのに、身体が動けと無理を言っている。


 休み方を忘れたのか、それとも時間が勿体ないと思っているのか。

 どちらにしろ、やっぱりダンジョン巡りが私の生活の一部の様だ。


「いやいや……それ程じゃないさ。『虹の真珠』を持つ貝――七色シェルは危険度4だし、開け方も苦手な薬草の粉を撒くと、すぐに開くからね」


「それを知っている冒険者は少ないんですよ。大体、強引に貝を開けるので、真珠が傷ついてしまうんです。ですから、こんな綺麗な『虹の真珠』は中々出てきませんよ」


 そう言って受付嬢の子は凄いなぁと言いながら、差し出した『虹の真珠』を眺めている。


「アハハ……そう言われると嬉しいけど、クロノを始め、熟練の冒険者にだって出来る事さ。――そう言えば今日、クロノは?」


「ギルド長でしたら、今日は周辺のギルドの会合に出ていますよ? ですが、帰りは早いと仰っていたのでお待ちしますか?」


「そうしようかな……少し話したいこともあるんだ」


 特に始高天の魔人化について。

 ラウンがあれは薬でも変身できるとも言っていたし、クロノの意見も聞きたい。


 だから私は待つ事を選ぶと、受付嬢の子は頷いてくれた。


「分かりました! では珈琲でもお入れしますね」


「あぁ、ありがとう」


 いやぁフレイちゃんを思い出すなぁ。

 少し帰るのも悪くないかもしれないな。


 それにここ天下のオリハルコン級ギルド。

 問題なんてまず起こらないし、ゆっくりでき――


「邪魔するぜ!」


 そう思っていた時間もあったな。

 

 明らかに場違いな荒々しい声に驚き、私や受付嬢の子。

 そして『黒の園』所属の冒険者達も入口を見始めた。


 そこにいたのは若い3人の冒険者達だ。

 

「誰だい……君達は?」


「うるせぇな、おっさんに用はねぇよ。――おい、ここのギルド長は? この俺達冒険者パーティ『漆黒狩りの剣』が依頼を受けてやるよ」


 あぁ、これは絶対にひと悶着あるな。

 彼等を見ながら私はそう確信してしまう。


――あれぇ、もしかして私って疫病神だったりしないかな?


 そんな事を思って。

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