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<15万PV達成>おっさん冒険者+レベル5  作者: 四季山 紅葉
第十一章:冥道樹林・ハーデス樹海
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冒険者+5:おっさん&エリア 対 魔人ディオ

 凄い魔力だ。レベルもハネ上がったぞ。

 今のレベルは<82>か。エリアにキツイ相手だな。


 私がカバーしてやらねば。


「気を付けろエリア。奴のレベルは82だ……!」


「82……それが魔人化の力」


 エリアが息を呑んだのも、緊張しているのも伝わってくるな。

 けど私のレベルは<87>だ。援護ぐらい何とかできるさ。


『さぁ……始めようか!』


 空を飛びながらディオは、笑いながら私達を見降ろしてくる。

 

 魔人化に慣れたのだろう。傷も多少は回復した様に見える。

 そして同化したブラッドイーターを振った瞬間、血の刃が雨の様に私達に襲い掛かて来た。


『オラァ! 血裏雨(ちりさめ)!!』


「下がれエリア! グラビウス――大地の掟(プライドガイア)!!」


 目の前に重力場を展開。多数の攻撃ならこれに限る。

 奴の血の雨は、重力場に阻まれて次々に地面に沈んでいく。

 

 それをしながら私はニブルヘイムに魔力を込め、重力場を解除と共に叫んだ。


「今だエリア!――氷刃・魔裂翔!!」


「光牙閃・天翔刃!!」


 私の氷の斬撃と、エリアの光の斬撃が空のディオ目掛けて放たれた。

 ディオは回避せず、自身の翼を閉じて盾として受けたが、強烈な爆発を生んだ。


「――チッ! 魔人化しても、このダメージかよ」


 ディオの気に入らなそうな呟きが聞こえる。

 だが煙が晴れると、翼には巨大な斬撃の跡が刻まれていた。


 それでもダメージが多いのは私の攻撃で、エリアの攻撃は多少程度だ。

 やはりレベル差が大きいか。しかしダメージは通っている。


 このまま一気に押し切るぞ。


「エリア……短期決戦に持ち込むぞ」


「分かりました。私も全力で挑みます!――第三スキル『光翼(こうよく)』!」


 おぉ、エリアの背中に光の翼が。

 あれは確かツンドラオロチの時に見せたスキルか。


 エリアは上空に上がり、ディオと対峙しているが彼は笑っていた。


『オイオイ……お前にはまだ早いステージだぞ?』


「嘗めるな! 私だって騎士です!――聖火招来!!」


 エリアが光の炎を腕から発し、そのままディオを呑み込んだぞ。

 凄い攻撃だ。光の炎とは。


『チッ! 邪魔くせぇ!!』


 だがレベル差が激しいんだ。奴はそのまま突破してエリアへ向かって行く。

 エリアは剣を構えるが、同化したブラッドイーター――あれは危険だ。


 私は足に魔力を込め、一気に跳んだ。

 そして回転蹴りの容量で、勢いよくディオへ蹴りを放った。


「疾風螺旋脚!」


『ガハッ!――クソッ! ダンジョンマスター!!!』


 奴の背中に風の回し蹴りを直撃させた。

 手応えも十分だが、奴は標的を私に変えた様だ。


 空中で私を捉え、一気にブラッドイーターを振ってきた。

 私は両腕のブレードで受け止めたが、踏ん張れないから後ろに押されるだけだ。


 けど甘いな。私には新しい力があるんだ!


「ガイア――木縛り!」


『っ! こいつは……!?』


 魔剣ガイアの刃から木々が伸び、そのまま一気にディオを縛り上げた。

 そのまま翼も縛り、ディオと私はそのまま落下する。


「おっと!」


『ぐあっ!?』


 私は受け身を取ったが、ディオは地面に叩きつけられた。

 

『だぁ!! 邪魔だ!!』


 だが奴は魔力を解放して一気に木々を吹き飛ばした。

 なんて奴だ。痛みよりも本能が優先されている。


『ダンジョンマスター!! 獄王剣・魔神斬り《ごくおうけん まじんぎ》!!!』

 

 血が巨大に固まって大きな斬撃に――!

 だが待てよ。もしかしてブラッドイーターの、あの血はまさか――


「一か八かだ!――魔剣・悪食!!」


 私は悪食を解放し、ブラッドイーターの魔力を吸い取った。

 するとブラッドイーターの巨大な刃が液体の様に崩れた。


 やはり魔力で血液を操っていたのか。


『馬鹿な!! それはグリムの――!』


「そこだ!! 螺旋絶氷脚!!」


 どんな隙も見逃さないぞ!

 ニブルヘイムの力を足に。凍傷なんて知ったことか!


 私は氷の巻きあげながら回し蹴りを、何度もディオはへ叩き込む。

 その度に奴は凍り付いていき、最後は肉体の半分が氷漬けとなった。


『ガハッ!? ブ、ブラッドイーター!!』


「させるか悪食!!」


 ブラッドイーターを使おうとすれば悪食を使い、奴の攻撃を妨害する。

 魔人――こいつ等は魔物と同じだ。弱点が必ずあるんだ。


 そして悪食によって魔力を吸い取られた事で、ブラッドイーターは形を維持できず、刃が崩れてきた。


「今だエリア!!」


「行きます!! 奥義!! 聖覇一閃!!」


 黄昏のエリア――彼女が天空から一気に降りて、そのままディオの凍った翼をもぎ取った。


『ガアァァ!! こ、後輩!! テメェ……!!』


「魔人化する前の貴方の方が強かったです……《《先輩》》!」


 確かに魔人化してから剣技がまともな型になっていない。

 魔人化――肉体は強くなっても、人としての技術は失われるのかも知れないな。


『ば、馬鹿な!! 俺が……こんな……クソッ! 身体が!?』


「終わりだよ、ディオ。――グラビウス――重魔覇王拳!!」


 ガントレットの先端に、グラビウスの魔力を一点に集中させたこの拳。

 それを凍り付いたディオの腹部に私は叩き込んだ。


『ガハッ!!!』


 口から血を出し、ディオの瞳が真っ白に変わる。

 そして、そのまま吹き飛んで先程みたいに壁に叩きつけられた。


『そ、そんな……魔人化を……力が……負け……』


 そう言って、ようやくディオの動きは止まった。

 それを確認し終えると私は、ディオの作っていた魔法陣を魔剣で切り裂く。


 すると魔法陣はガラスの様に砕け散って消滅。

 そして、そんな私の下にエリアが駆け足で近付いてくる。


「ルイス殿!! やりましたね!」


「あぁ! エリアのお陰だ……よく、あんな相手に動いてくれた」


「そ、そんな……わ、私は自分の出来る事をしただけです」


 アハハ。照れているのかエリアの顔は赤くなっていた。

 良し! これで後はディオの身柄を確保して――


「ルイス殿!! あれを――!」


「えっ――」


 エリアがディオの方を向いて叫んでいた。

 私もすぐにディオの方を見ると、ディオの肉体は光り輝き、やがて光と共に姿を消してしまった。


「転移魔法……!」


「しまった……!」


 恐らくノアだ。これ以上、戦力を減らされるのが嫌なのか。

 理由は何にせよ、ディオを取り逃がしてしまった。


 結局、私達が出来たのは魔法陣を破壊する事だけだった。


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