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<15万PV達成>おっさん冒険者+レベル5  作者: 四季山 紅葉
第十一章:冥道樹林・ハーデス樹海
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冒険者+5:おっさん。ドラゴン退治開始

 全くドラゴン・マンティスとは驚いたな。

 両腕が鎌で出来た、素早い動きと森の中での擬態力。


 それが脅威の<昆竜虫類>のドラゴンだ。


「エリア! 奴は速い! 気を付けろよ」


「分かりました! 任せてください!――魔法刃・光!」


 エリアは剣へ光を纏わせた。

 そして私もガントレットブレードを魔剣・ニブルヘイムとガイアへと切り替える。


 奴は竜であり虫でもある。

 ならば氷のニブルヘイムと、自然を味方につけるガイアが適任だろう。


『ギャオォォォォォン!!』


「早速きたぞ!」


 奴め、左右から同時に鎌を振るってきたか。

 だが甘く見るなよ。私とエリアを。


「エリア!」


「ルイス殿!」


 互いに声を掛け合って、私達は互いに背中をくっつけて武器を構える。


 そして私とエリアが、それぞれ迫る鎌を左右から受け止めた。

 

「ぐぅっ!」


「うっ! 凄い力……!」


 あぁ凄い力だ。危険度だけならツンドラオロチの方が上なのに。


 流石はドラゴン。5レベル差があっても油断はできないぞ。


「だが、私とエリアなら勝てる相手だ!」


「っ! は、はい……!」


 ん? な、なんだ。エリアの背中がすっごく熱くなっている気がする。


 戦いの中で興奮しているのか? 

 成程、士気が高いのは良いことだ。


「エリア! ニブルヘイムを使う! 相手が怯んだら頼む!」


「任せてください!」


「良し!――魔剣ニブルヘイム!」


 魔剣の力を解放。

 絶対的な冷気がブレードから発し、そのまま接触するドラゴン・マンティスの鎌を氷漬けにし始めたぞ。


『ギャオォォン!!』 


 奴め、嫌がって後ろに下がったから。

 だが鎌も離れて、確かな隙が出来たぞ。


「今だエリア!」


「――奥義・聖破十文字(せいはじゅうもんじ)!!」


 おぉ、これは凄い。巨大な光の十字斬りか。

 この威力なら確かに奴に効くし、実際奴の身体に十字の傷が刻まれたぞ。


『ギャオォォォォォン!!』


「なっ! まだ動ける!?」


 流石はドラゴンか。今の一撃を喰らっても平然と動いてる。

 それにマズイ。口からゆらゆらと炎の様なものが――


「下がれエリア! ニブルヘイム――氷神馬壁(スヴァジルファリ)!!」


 私はエリアの腕を掴んで下がらせた。

 そして、私達を守るように氷の壁を目の前に出現させた。


『ギャオォォォォォン!!』


 同時にドラゴン・マンティスは炎を吐いた。

 翡翠色の巨大な炎だ。それが私の作った氷壁とぶつかる。


 だが、これだってただの氷の壁じゃない。

 馬の氷像が飛び出す氷の壁だ。


 それは意思を持った様に壁から生え、炎と衝突する。

 凄い炎だ。ぶつかり合う攻撃の余波は、やがて大きな爆発を生んだ。


「うおっ!」


「きゃっ!」


 私達は思わず小さな悲鳴をあげたが、氷の壁の方が多く残っている。

 逆にドラゴン・マンティスは大きく仰け反った。


「これも喰らっとけ!」


 そこへ一気に投げナイフを数本私は投げた。

 ただのナイフじゃないぞ。爆発するタイプのナイフだ。


 ナイフは回転しながら飛んでいき、次々とドラゴン・マンティスの全身へ刺さった。


『ギャオォォォ!!』


 おいおいまだやる気か。

 大きな爆発を生み、出血したと思った。だが奴は、今度は羽を広げて飛び始めたぞ。


「させるか! グラビウス――マーズ!」


 奴を飛ばせてはならない。

 私は重力魔法と炎魔法を合わせ、球体として掌の中に生み出した。


 そんな私を見て奴も、再び空から炎を吐こうとしているが遅い。


「持ってけ!!――炎回流星(フォボス)!!」


 これで最後だと、私は口に向かって炎の重力球を投げた。

 それはそのまま真っすぐに飛んでいき、そして奴の口の中に入った!


 『ギャオォォ――!』


 その瞬間、口の中で炎が爆発。そして天へ向かって一気に放出された。

 しかも苦しそうな声を上げているし、首が隙だらけだ。


「エリア! 行け!!」


「背中を借ります!!」


 私の後ろからエリアが駆けてくるのが分かる。

 でも私は動かず、前かがみになる。


 そして一気にエリアが私の背中を蹴り、ドラゴン・マンティスの首へと跳んでいった。

 一瞬、腰がやばかったぞ。


「魔法刃・光――逆光の太刀!!」


『ギャ――!』


 あまりの光にドラゴン・マンティスが顔を逸らす。

 だが、それが死への道だ。


「これが王国騎士団の力だぁ!!」


 エリアが叫び。同時に光の刃が振り落とされる。


『ギャオォォォォォン!!』


 その瞬間、暴れようとしたドラゴン・マンティス。

 だがさせないよ。魔剣ガイアの力を――


「ガイアァァ!!」


 魔力を込め魔剣ガイアを天へと翳す。

 その瞬間、地面から木々が生えてドラゴン・マンティスを拘束する。


「行けぇぇエリア!!」


「これで最後ぉぉぉ!!」


 エリアの剣が更に輝いて見えた。

 そして光が晴れた瞬間、ドラゴン・マンティスの首は斬られ、そのまま地面に落ちる。


「良し! これで――!」


 私は喜んだ。だがその刹那、強烈な殺気を側面から感じとった。


「――獄王剣・殺那(ごくおうけん さつな)!」


 側面から私に向かってきたのはディオだ。

 血の魔剣<ブラッドイーター>から、血液と魔力が合わさった禍々しい一閃が来る!


「グラビウス――ジュピター!!」


 だが間に合った。重力魔法と風魔法を纏わせたガイアの刃。

 それで受け止めた瞬間、血液が周囲に飛来。


――血の雨となって、私達へ降り注がれる。


「今のを止めるかぁ……ダンジョンマスター!」 


「ディオ……雨が降ってきた。早く終わらせよう」


 私の言葉にディオは口元を歪ませた。

 そして血の雨に濡れながら、ブラッドイーターを寧ろ構えた。


「おいおい……そりゃないだろ。アンタとはやり合いたいと思ってたんだ。前回は小娘に油断したが、今回はそういかねぇぞ」


「戦闘狂め……加減はできないぞ」


 いい加減、こんなおっさん放っておいて欲しいな。

 けど今回は始高天だ。そんな弱音は駄目か。


「ハッ!」


 私は隙をついて蹴りを放つと、ディオは笑いながら身体を反らして躱す。

 

 そして逆にカウンターが来た。

 ブラッドイーターを私へ向けると、血の刃が一気に噴き出した。


「くっ!」


 私は横へ身体を逸らし、側面から攻めようとした。

 だがそこにはディオはいなかった。


「ひゃっは!!」


「上か!」


 ディオが上からブラッドイーターを振り上げながら迫る。

 それをニブルヘイムで受け止めた。


 こうして私とディオの戦いが幕をあけた。


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