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<15万PV達成>おっさん冒険者+レベル5  作者: 四季山 紅葉
第十章:王都・下着奪還戦
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今後の動き

 もう言葉も出ない。

 まさか小太郎の言った通り、下着ドロボーが始高天の策だったなんて。


 今私は大きな穴が開いた騎士団本部へいるが、戻って来たグランも驚いていたよ。


 そして下着ドロボーがノア脱獄の策だと聞いたら、頭を抱えていたな。

 安心しろグラン。私も同じ気持ちだ。


 目の前の牢に繋がれている下着ドロボーこと――フドシと言う元始高天・元隠密を見ながらな。


「ぬおぉぉぉぉやめろぉぉぉぉ!!」 


 目の前で拘束されているフドシが悲鳴を上げている。

 しかし同情はしない。これは報いだから。


 男性騎士達が囲み、自身の下着を脱いで彼に近寄ろうとしている尋問でもだ。


「さぁ! 漢臭い下着を浴びたくなければ吐け!! 始高天の連中はどこ行った! 目的は! あとまだ未返還の女性下着の場所も!!」


「嘗めるな! 我は穿かん! 穿けば汚すことになる! だからこそ被るのだ!」


「じゃあ被せてやるよ。訓練を終えたばかりの漢臭いパンツをな」


「やめろぉぉぉぉ!!」


 なんだろうな。これで本当に情報を吐くか怪しくなってきたな。

 こいつノア達の場所は疎か、まだ隠し持っている女性下着の場所も吐かないし。


「これで本当に情報を吐くのかルイス?」


「いや分からないさ。私が立案した訳じゃない。そう言う事はエリア達に言ってくれ」


 最早、変態を理解してこその尋問だよなぁこれ。

 エリア達が立案したってアレン君から聞いたが、意外と粘ってるぞこいつ。


「それでノア達の方は何か分かったのか?」


「いや、残念ながら騎士を動員しているが何も……そっちも同じか?」


「あぁ、弟子達に頼んだが期待薄と思ってくれと言われたよ」


 けれど仕方ない。ノア達は一瞬で転移魔法で消えたんだ。

 レイですら痕跡がないと言っていた。

 

 それ以外にもディオの場合は魔剣も消えていたと聞く。

 くそっ、アストライアだけじゃなく他の魔剣までも奪われるとはな。


 だが嘆いていても仕方ない。

 私は何か動かねば。


「おい変態! いい加減に何か吐け! ノア達はどこだ! 目的の創世ってなんだ!」


「場所は知らん! それに創世については貴様に言ったと言っていたぞ!」


 言っていたって。まさか本当に国全体をダンジョン化する気なのか。

 それを創世って、上書きするって事なのか。


「ダンジョン化が何故、創世なんだ! ダンジョン化したって面倒になるだけだぞ!」


「知らん! ノアに聞け! だがダンジョン化は手段の上での結果だとも言っておったぞ! それにノアは世界に何の未練もないと言っておったから本当にダンジョン化するだけで気が済む可能性もある」


 確かにノアの場合、どこか子供っぽい所もあったからなぁ。

 賢いんだろうけど、きっと幼い頃からの環境であぁなったんだろうな。


 色んな冒険者を見て来たから、何となく分かるよ。

 幼い頃から暴力の環境にいた冒険者は、途中で夜盗みたいになって勝手に自滅する。


 それ以外だって何かしら平凡から、少し離れた者達になるし、そう思えばノア達に同情はできる。


 だがやっている事も考えれば無視はできない。

 何とかして吐かせねば。


「おい! こうなったら知り合いの女性に頼んで、下着を分けて貰うから取引だ。国全体のダンジョン化の方法とか、次に行きそうな場所を何でも良いから言え!」


「なにっ! 良かろう……ならば話そう」


 こいつ一発殴っていいかな。


「我も任務を受けた身だ。確か各魔力の脈……その強いダンジョンで特殊な魔法陣を描けと言われた」


「魔法陣……?」


 待てよ、そう言われると心当たりがあるぞ。

 エルフ族の国ユグドラシル――世界樹の迷宮だ。


 そこでエルフの女王様が気付いて、破壊した魔法陣があったはずだ。

 そうか、あれか。って事は、特殊なダンジョンに奴等は向かう可能性があるな。


「良し! じゃあどこのダンジョンだ! 次に行きそうなダンジョンを言え!」


「今となっては我も知らん。始高天から抜ける為に、今回の任務を成功させたのだからな。――しかし確かディオは、あるダンジョンに向かう様に言われていたな」


「あるダンジョン?」


「そうだ……確か冥道樹林(めいどうじゅりん)・ハーデス樹海だな」


「なっ! 危険度8のダンジョンか……!」


 最近行ったダンジョンの中ではマシだが、間違いなくドクリスの森よりも厄介だな。


 毒の植物や魔物もそうだし、本当に迷い易い場所だった筈だ。

 

 だが確かにマナの濃度が高いからと、よく魔術師とかが向かうとも聞いたことがあるぞ。


「ルイス……向かうのか?」


「他に情報がないんだ。これに賭けるしかない……尋問や情報収集は頼んだ」


「あぁ任せろ!」


 グランは力強く頷いてくれた。

 取り敢えずは安心したし、今日は休もう。


 そしてまたダンジョンへ行く準備をしなければ。


「おい! 約束を忘れるなよ!」


「分かった! 何とかする!」


 そう言ってフドシへ背を向けるが、参ったな。

 どうしようかな、奴へ渡す下着。


 フレイちゃんに頼んだら絶縁されそうだし、近所の叔母さんにしたらフドシが今後協力する可能性がなくなる。


――仕方ない。ミアとレイに頼もう。


 レイはあんな感じだったし。

 ミアだって帰ってすぐ、脱いだ下着を洗わずに天日干ししていた所を盗まれたと聞いた。


 あの二人で大丈夫だろ。うん、多分。

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