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<15万PV達成>おっさん冒険者+レベル5  作者: 四季山 紅葉
第十章:王都・下着奪還戦
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冒険者+5:おっさん計られる

 もう訳が分からない。

 レイの下着はポケットに入ってるし、それを見て変態は怒って攻撃してくるし。


 皆も呆気になって私を援護することも忘れてるよ。


「死に晒せ! 漢の敵め!!」


「お前は女の敵だろ!!」


 私は奴の忍者刀の一撃を、魔剣ニブルヘイム化させたブレードで受け止めた。

 すると奴の忍者刀が凍り付いてきた。このまま、一気に――


「むっ! 卑劣な――!」


 そう上手くいかないか。本当に実力だけはある変態だよ。

 凍り付いてきたと分かった瞬間に離れるとは。


 しかし、一撃が重かったな。

 それだけ怒ってるって事だろうが。


「何故、そんな怒る!? 私が何をした!」


「当たり前だ! 美人な女子から直接穿いていた下着を渡された事など、我ですらないわ!! なのに貴様は!!」


 変態の嫉妬じゃないか! そんな事で恨まれて堪るか。

 私は咄嗟にレイの方を見て、お前の責任だぞ。と視線で伝えてみた。


「師匠……ポッ」


 ポッ!――じゃない! わざとらしく照れるな。 

 全く、そんな態度だとお前はな。


「なんだその分かり合っている感は!!」


 ほら見ろ! 何故か無駄に激怒してるじゃないか!


「死ね! 変質殺法――螺旋一点脚・怒武路苦」


「なっ!? 魔力で螺旋を――!」


 しかも足先は、刃先の様に鋭利に鋭く。

 そして周囲には濃い魔力の螺旋が覆っている。


 なんで実力だけはあるんだ。

 まるで始高天の連中じゃないか。


 だが黙って受ける訳にもいかない。


「魔剣ガイア――樹縛葬!」


「むっ! なんだ木々が生えて――我を縛るとは!?」


 ガイアの矛先から出したのは魔力の木々だ。

 それらは変態に絡む様に捉え、やがて一つの木となって奴の動きを完全に封じ込めた。


「なっ! なんだこの魔法は! ええぇい! 放せ!!」


「放すか……まずは下着を返してもらうぞ。――エリア!」


 そう言って私は奴の下着でパンパンになった道具袋を奪うと、下にいるエリアへ投げた。

 

「はい!――これは、確かに盗まれた下着です。ただやはり足りないですが」


 エリアは困った表情で言うが、そりゃそうだ。

 盗んだ下着を全部持って行動する馬鹿はいないだろ。


 私はやりたくないが、変態の身体を調べ始めた。

 まず懐に束になった下着が二セット見つけたぞ。


 あと袖にも一つ。他はないか。

 取り敢えず見つけてはエリアへって感じで渡すが、他には無さそうだ。


「くっ……無念。こんな変態に我の身体を好きにさせる事になろうとは!」


「お前に言われたくない!! 私だって好きでやってる訳じゃない!」


 なんで悔しそうな感じで、しかも乱暴されてる女性感を出すんだ。

 まるで私が悪いみたいじゃないか。


 少しでも罪悪感を抱いた事に自己嫌悪だよ。

 

「あとは無いのか?」

 

「フンッ、手元にあるのはそれで全部よ」


 怪しいな。まぁまずは顔のフードを取るか。


「素顔を見せろ」


 そう言って私は顔の頭巾を外した。

 すると現れたのは、やや中年っぽいが。歴戦の雰囲気のある、鋭い瞳をした白髪の混じった男だった。


「フッ、バレてしまったか……」


「バレるも何も初対面だろ……まぁ素顔が出た事には変わりないが」


 屋根の下では素顔が出た事で、罵詈雑言が凄いぞ。


「この変態野郎!!」


「滅べ!!」


「顔をもっと見せろ!!」


「ルイス殿にも見せた事なかったのにぃ!!!」


 凄い勢いのある罵声だ。

 もう何て言っているか、私ですら聞き取れないよ。


「取り敢えず、これで一件落着だ。――さぁ、牢に連れて行くぞ」


 私はそう言ってエリアや皆に手招きし、運ぶのを手伝って貰おうとした。

――時だった。


「……《《ノア達のいる》》牢にか?」


「――何て言った?」


 変態の言葉に、私は周囲が静かになった感覚に陥った。

 そして思わず、肝が冷える感覚も襲ってくる。


「まさか……!」


「頭巾を見てみろ」

 

 先程までと声色も違う変態の言葉を受け、私は頭巾を捲った。

 すると出てきた――古代文字が。


「お前!!」


「ノア……これで借りは返したぞ」


♦♦♦♦


「えぇ、確かに受け取りましたよ……フドシ」


 警備がいない。皆、フドシの行った騒動でいなくなった様ですね。

 愚かだ。しかし今こそ好機だ。


「覚えておく事ですね……魔封石にも限界はある」


 私は魔力を解放した。

 その瞬間、全ての魔封石が砕け、拘束具が破ける。


「ディオ……グリム……行きますよ」


 解放された事で、二人の拘束も遠隔で解除できた。

 これだけの魔力反応が起きても来ないとは、本当に騎士団は愚かだ。


「ノア様……!」


「我等、ここに……!」


 そして自ら檻を壊し、私の下に来た二人。

 彼等と共に私は牢の真上へ腕を翳し、一気に魔力の柱を作って破壊、吹き飛ばした。


 そのまま二人を連れ、一気に天へ駆けのぼる。


「待っていろ――ダンジョンマスター! ルイス!!」


 私の顔は歪んだ笑みで満ちているであろう。

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