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<15万PV達成>おっさん冒険者+レベル5  作者: 四季山 紅葉
第十章:王都・下着奪還戦
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冒険者+5:おっさん、下着ドロボーを発見する

 まさか十六夜まで、下着ドロボーの毒牙に掛かっていたとは。


「まさか裏ギルドの長まで被害が……最早、これは国家転覆と同じ所業。そう言っても過言ではありません!」


 いや過言だろ。下着ドロボーで破滅する国なら、逆に滅んだ方が良いだろ。


「しかし、どうしたものか……十六夜までやられるとは、本当にスキルの可能性が高いな。しかも隠密能力も高い下着ドロボーだ」


「この数日、俺も王都を見ていましたが、奴を捉える事はできなかった。しかし師匠ならば、もしかしたら……」


「類は友を呼ぶ」


「誰が友だ誰が。下着ドロボーの友人はいない」


 レイの冗談に付き合ってる場合じゃない。

 しかし小太郎でも逃す相手とは、かなりのやり手。


 もしかしたら危険人物かも知れない。

 追い詰めた結果、刃物で攻撃してくる可能性もあるな。


「何か特徴はないのか? 外見に特徴があれば……」


「特徴はあります!」


 おぉエリアが握り拳をしながら声を上げたぞ。

 余程の執念だ。これなら、犯人の姿を確実に覚えている筈だ。


「犯人は顔と上半身は黒装束でしたが、下はパンツ一枚の男です! それだけはハッキリ分かります」


「……そんな馬鹿な」


 なんで上だけ隠しているんだ。そんなドロボーいる訳ないだろ。

 私は頭が痛くなってきたが、エリア達は必死だった。


「本当なんです信じてください!!」


「本当にそんなふざけた姿の奴に盗まれたんです!!」


 うむ、他の騎士も言っているって事は本当みたいだ。

 しかし、そうなると余程の変態だぞ。


 けど、もしかしたら……。


 「そんな変態か……なら、意外と私達に近付いて来るかもしれないぞ?」


「ど、どういう事ですか?」


 不思議そうに聞いてくるエリアに私は、あることを言ってみた。


「私達は7日以上は王都から離れていた。そんな中、外見だけは確かに良いレイとミアが帰って来たんだ。間違いなく奴は狙うだろ」


 なにせ副団長のエリアと、裏ギルドの長の十六夜の下着を盗むぐらいだ。

 王国魔導士のレイと、オリハルコン級ギルド長であるミアを恐れる筈がない。


「た、確かにそうです! 御二人はまだ盗まれていない以上、確実に来る筈です!!」


「だが問題なのは、いくらなんでも弟子を囮にするのがなぁ……」


 師として間違いなく一線を越える気がする。

 まぁ命じゃなく尊厳を奪われる可能性はあるが。


「別にいいよ。レイは《《問題ない》》から」


「レイ!? 良いのか? 場合によったら奪われて、凄い事されるかも知れないぞ!?」


「大丈夫。手を打つから」


 何やらレイには秘策がある様だな。

 それなら弟子を信じて、このふざけた事件を終わらせよう。


「そうか……なら信じるぞ。丁度、日も沈んで来たし、間違いなく奴は現れるだろう」


「いえ、師匠。奴は昼間だろうが関係なく行動を起こします。だから油断はしない方が――」


 小太郎がそこまで言った時だ。

 何やら外が騒がしくなってきたと思った瞬間、突如大きな声が響いた。


「出たぞ!!! 下着ドロボーだ!!」


「なに!? まだ夕方だぞ!」


「奴は関係ありません!! 女性下着があるならば、時間も場所も選びません!!」


 おぉ、エリアの目が燃えている。

 そりゃそうか。年頃の女性が下着盗まれているんだ。しかも穿いた状態のままで。


 そりゃ怒りも凄まじい筈だ。


「良し! なら話は早い! 行くぞ!!」


 私は扉を蹴破る勢いで外に出た。

 その後ろからエリア達騎士達と、レイと小太郎も付いてくる。


 そして声のする方に行くと、時計台の周辺に人だかりが見えた。

 絶対にあそこだ。皆揃って上を向いて叫んでいるぞ。


「ここか!」


 私達が時計台に辿り着くと、そこは地獄絵図だった。


「降りて来い!! この野郎!!」


「下着返せ!!」


「俺の彼女の下着をよくも!!」


「こっちは娘の下着だ! 許さん!!!」


 おぉ、事態は想像を超えるレベルで凄まじかったようだ。 

 理由はともかく、下着の為に男女関係なく時計台へ叫んでいるぞ。


「いましたルイス殿! 奴です!!」


「なに!?」


 私達はエリアの言葉を聞き、彼女の指差す場所を見上げた。

 すると時計塔の針の上で佇む、一人の人影がいた。

 

 その声からして男は、私達を見降ろしながら大いに笑っていた。


「アッハッハッハ!! 哀れだな愚民共!! 下着も守れない愚かな者達よ!――聞け!! 我が名はパンツマスタ―!! 王都中の下着を奪いし生きる伝説だ!!」


 うわぁ、本当にいたよ。

 しかもエリアから聞いた通り、黒装束と頭巾で顔と上半身は隠しているが、下半身はパンツ一枚だ。


 隠す場所が違うだろ馬鹿野郎。

 何がパンツマスターだ。あんな変態、とっとと捕まえてこっちは休みたいんだ。


 始高天や魔物達に比べれば、あんな奴――


「そして見よ!! これが新たな戦利品!! オリハルコン級ギルドの長――ミア・ナックルヘッドの下着よ!!」


 そう言って奴は、紐下着をこれ見よがしに天へ翳した。

 おいおい、ミア……お前もか。


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