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<15万PV達成>おっさん冒険者+レベル5  作者: 四季山 紅葉
第十章:王都・下着奪還戦
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冒険者+5:おっさん、下着ドロボー探しする

 一体、何がどうなっているんだ。

 王都に帰ったら『下着ドロボー』騒ぎで偉い事になってるぞ。


 取り敢えずエリアの下へ行こう。

 新聞を見る限り、彼女が最近の被害者っぽい。


 私はレイと共に騎士団本部へ向かった。

 そして、そこでは待っていたのは殺気めいた騎士達(女性騎士限定)だった。


「エ、エリア……いるか?」


 恐る恐るだが、騎士団本部へ入ってみた。

 本当なら入りたくない。こんな殺気めいた騎士団本部へ。


「ッ! ルイス殿!? あぁ……やっと帰って来てくれたんですね!」


 エリアは私を見て安心した様で殺気を消してくれた。

 だが彼女の姿は相変わらず露出が多い。その姿で下着ドロボーって言われてもなぁ。


 取り敢えず、聞いてみよう。


「あぁ、少しエルフの国にね。ところで何事なんだい? 聞いた話だと下着ドロボーが出たって――」


「そうなんです!! 今王都中の女性が被害を受けているんです!! しかも、とうとう私達騎士団まで……!」


 そう言ってエリアは悔しそうな、恥ずかしそうな顔を浮かべている。

 しかし、凄い奴だな。まさか天下の騎士団本部に乗り込んで下着を奪うとは。


「話は本当だったのか……しかし、凄い奴だな。まさか騎士団本部に乗り込んで下着を奪うなんて」


「あっ……いえ、違うんです。その……《《穿いている状態》》で盗まれるんです。日常生活の中でと言えば良いのか」


「えっ……!」


 それってかなり無理があるんじゃないか!?

 日常生活の中で盗むって、どうやって奪ってるんだよ。


「ちょっ……あまり聞きずらいが、詳しく聞かせてくれ」


「は、はいぃ……!」


 エリアは顔を真っ赤にしながら話してくれた。


 彼女達は下着ドロボーの騒ぎが起こると、悪即斬と言わんばかりに王都の警備に出たらしい。


 そして下着ドロボーを発見し、いざ対峙した。

――瞬間、穿いていた下着を既に盗まれていたとの事だ。


 成程、余計分からない。

 話を聞く限り、エリアはともかく他の騎士は鎧を着ている。

 

 なのに盗まれたと。成程、やはり分からない。


「……そんな馬鹿な」


「本当なんです!! 信じてください!! 本当に盗まれたんです!!」


 別にそこは疑ってはいない。

 あんな大々的に一面を飾ったんだ。そりゃ盗まれたんだろうね。


「そうです! 鎧を着ていたのに……破れもせず、あの変態の手に下着が……!」


「絶対にスキルですよ! 下着ドロボーに特化したふざけたスキルなんです!!」


 他の女性騎士も怒りを露わにしているが、まさかそんな。

 そんな馬鹿な事の為にスキルを使う人間がいるのか?


「そうだグランは? ここまで被害があるんだ、こうなったら騎士の全勢力を使って――」


「残念ながら団長は城で姫様の護衛です。姫の下着を盗まれる可能性があるからと……国王の勅命で」


 まさかそんな。そんな馬鹿な事に騎士団の最高戦力を投入する王がいるのか。

 

 だが実際、グランがいない以上、そう言う事だろうな。


「えっと……念の為、聞くけど。犯人は捕まっては――」


「いません!! 私達の下着も帰って来てません!!」


 でしょうね。そりゃそうだ。

 捕まってたら、こんな修羅の国に王都はなっていない。


 しかし王都の騎士団や冒険者相手に、よく逃げられるな。

 まさか隠密系か? それなら話は早いぞ。


「師匠、小太郎に聞いてみよう?」


 どうやらレイも同じ考えに至った様だ。

 既に小太郎は退院している筈だし、こっちから連絡を取れば来てくれるだろう。


「そうだ! あと十六夜にも連絡だ。彼女は裏の人間だ。きっと何か知っているかも知れない!」


「裏……ですか。いえ、こうなったら背に腹は代えられません!」


 エリアの許可も取れた。

 よし早速、手紙を書こう。


 これを小太郎に頼んで届けて貰うんだ。


♦♦♦♦


 それから数時間後、来てくれた小太郎に事情を話すと、小太郎はすぐに承諾してくれた。


 どうやら小太郎も犯人に興味があるらしい。

 隠密ギルドも動いているのに、捕まらない能力。


「恐らく始高天の可能性も……」


「それはないだろ」


 下着ドロボーで世界の創世はできないだろ。

 実力はあるらしいが、絶対にそれはない。


 私は苦笑しながらも小太郎へ、十六夜宛の手紙を渡すと彼はすぐに言ってくれた。

――そして僅か一時間ぐらいで小太郎は帰ってきた。


「師匠、裏ギルド――十六夜からの手紙です」


「もう来たのか! 内容は――」


 私はすぐに手紙を開けると、周りも左右から覗き込んでくる。

 いや必死過ぎるだろ。――いやいやそんな事は後回しだ。


 きっと十六夜の事だから、何か取引をしてくるに違いない。

 あんな事があったとはいえ、彼女は裏ギルドの長だ。


 私は息を呑みながら、手紙を読んだ。


――うん。一枚目は私への想いだな。寂しいとか、一緒の時間があればとか。


 少し恥ずかしかったが、隣にいるエリアからの鋭い視線が怖い。

 私はすぐに二枚目を取り出し、それを読んだ。


『単刀直入に申しますと、情報はありません。犯人の身柄も追っている状況です』


「なんだって……まさか裏ギルドからも逃げているのか!?」


「なんて隠密力……!」


「ヘンタイ、侮り難し」


「見事な隠密よ」


 エリア達騎士も流石に驚いてるか。

 レイや小太郎も流石に表情が鋭くなっている。


 それ程の能力を持つという相手なのか。

 しかし妙だな。まさか裏ギルドも追っているとは。


 知らないなら知らないで良い筈だが、追っていると書かれている。

 なら行方を捜しているのだろう。まさか、下着ドロボーは囮で、もっと凄いのを盗んでいるのか?


「続きに何か書いてないか……!」


 私は嫌な予感を抱き、続きをすぐに呼んだ。

 すると――


『――何故ならな、私も盗まれたからです。最初に見せるのは貴方様と決めてましたが、こんな不浄な女お許しください。ルイス様』


――あぁ、十六夜。君もなのか。


 どうやら下着ドロボーは無差別犯の様だ。

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